集中できない子どものことを心配されている方にぜひ読んでいただきたいです。
「うちの子大丈夫でしょうか…」と保護者の方に、聞かれることが度々あります。
そもそも、子どもの「集中力」って何でしょう。
静かに座ってお話を聞いたり、静かに取り組んだりする事なのでしょうか?
保育士目線で子どもの集中力について書いてみようと思います。
集中できない子ども?保育園の子どもたちの姿
保育園に来る子どもたちを見ていると、様々な姿を目にします。

「なんて名前の虫??」「何を食べるの?」「図鑑に書いてあるかも!」と言ってみると、図鑑を広げて、本物の虫と見比べ始めました。
その後も、絵に描いてみたり、触ってみたりを飽きることなくやっていました。
私は、これこそ「集中力」じゃないのかな?と思います。

ほかの子に当たりそうだったので、屋根に投げて落ちてくるボールをキャッチして見せました。
すると、真似して次の日も、また次の日も同じことを繰り返していました。
これも集中力じゃないのでしょうか。
私は、保育中に子どもたちに「集中しなさい」というのは、違うのではないかと思います。
子どもたちは楽しい事や、自分がやりたいことは大人が集中させようとしなくても、自ら集中し没頭して取り組むからです。
集中して取り組んでほしいのであれば、子どもが熱中できる取り組みを考えたり、興味を持つような仕掛けを用意したりすることが大事なのではないでしょうか。
「なんでだろう??」「もっと知りたい!」という子どもの探求心を広げてあげる事が集中力と関係してくるのではないでしょうか。
集中できない子どもは「興味が持ててない」⁉
大人が、子どもに「集中して!」と言うのには、、静かに取り組んでほしいという意味合いもあると思います。
確かに、保育中に子どもが遊べなかったり制作などの取り組みに集中できなかったりすると危険もあります。
ケガにも繋がるし、子どもたちを見守れなくなってしまいます。
だから、集中して取り組んでほしいという気持ちは、良く分かりますし、「集中しなさい」と言ってしまうのも分かります。
でも、0歳や1歳児を見てみると、小さな赤ちゃんでも、興味のある玩具では長い時間遊ぶことがあります。
同じ玩具で、同じ遊びを続け、繰り返している姿も見かけます。
1歳児と言えば、目につくも目につくもの、どんどん興味が移り、遊びが次々に変わっていくものです。
しかし、興味のある玩具では、没頭して遊ぶ姿を見ることも度々あります。
1歳児の保育環境については別記事にまとめています。
1歳児の保育室はどのような環境が適切なのでしょうか?? 近頃、「子どもの主体性」「質の高い保育」など乳幼児教育が注目されてきていますね。 質の高い保育は、「環境作り」が重要で、保育を変える為に1番最初に取り掛かるべきこと[…]
そして、2歳、3歳、4歳,5歳と、年齢が上がるにつれて、遊びに没頭する時間は増えていきます。
次の日も遊びの続きをするなど、日を超えて遊びを持続するような姿が見られることも。

こうした姿が見られるときに、【遊べる時間が長くなったな~”集中力”が身についていってるな~】と感じます。
あくまで、私の意見ですが「集中力がない」と言われる子どもたちは、「興味を持てるものがない」のではないでしょうか。
集中できない子どもVS大人の都合による保育
他の保育園にお邪魔した時に、こんな場面を良く見ます。
部屋に何もない状態で、子どもたちを集めて待たせている。次第に、子どもたちがザワつき始める。
そして、「静かにしなさい」や「かっこ悪い」「座って待てないね」などと怒る。
意外とこういう場面多いです。
この状況では、大人でも静かに待つのはしんどい状況ですよね…。
何のために待たされているのかも分からない状況で、「ただ静かに待ちなさい」と言われて、じっと待てますか?(笑)
子どもは静かじゃない方が自然!
子どもたちは、話をしたがるものですし、その状況では、静かにできない方が自然な気がします。
静かにさせたいのであれば、紙芝居や絵本、マジックや手遊びなどで興味を引き付けて大人が工夫することが大切だと思います。
紙芝居や絵本は、お話のストーリーから登場人物の気持ちになりきって考えるなど、学びの教具です。
しかし、ただ学ぶのためだけに読むのではなく、子どもを引き付ける、こちらに注目してもらうために使うこともできます。
紙芝居や絵本だけでなく、図鑑を広げて動物クイズをしたり、けん玉をして見せたりするのも効果的です。
「こっちを見なさい!」「静かにしなさい!」と言わなくても、子どもの注意を引くことができます。
私が保育士になりたての頃に、どうすれば「子どもたちを引き付ける」ことができるか悩んだことがあります。
ベテランの先生の保育を見て、子どもを引き付けるような絵本の読み方や、先生の話を静かに聞きたいと思ってもらえる工夫が重要だと気づきました。
子どもを引き付けることは、保育士にとって必須のスキルです。

絵本や紙芝居だけでなくクイズやゲーム、素話や会話など、子どもの注意をひく技は沢山あります。
保育士としてレベルアップするために、日々の保育の中で、色んなことを試しながら、子どもたちを引き付ける技を磨いてきました。
だからこそ、「静かに座って待ちなさい!」「先生が話してるときにしゃべらない!」と言ってしまった時には、自分の保育スキルの未熟さを反省したものです。
集中力を身につけるには?
「子どもの集中力を高める為にどうしたらいいですか??」と保護者の方に質問されることがあります。
そんな時には「その子が興味を持っているもの」について、一緒に共有するように心がけていました。
子どもが興味を持てるもので遊び込む時間を少しずつ増やしていくことが、その子の「集中力」に繋がるからです。
とはいっても、「小学校に行った時にじっと座ってられるか心配だ」と思うかもしれません。
先ほども書いた通り、子どもたちが「楽しい!」「先生の話を聞きたい!」と思えれば、静かに聞くはずです。
私が思うことは、小学校の先生も、子どもたちの興味を引くスキルが必要だと思います。
子どもたちが集中できる話し方や授業など工夫はいくらでもできますからね。
小学校の授業中に静かにできるから集中力がある訳ではない。
そして、小学校の授業でじっとできるから「集中力がある」とは限りません。
【集団生活の中でのルールを守ることの大切さを知っている】
【他の人に迷惑をかけてしまわないように、周りのことを考えることができる】
こういったことが身についているから、じっとできているのかもしれません。
そう考えると、授業中静かにできない子は、単に「集中できない」のではなく、「集団生活でルールを守ることの大切さに気付いていない」「他の人がどう思うか?考えていない」など本当の原因が見つかるのではないでしょうか?
集団生活のルールを守ることの大切さや、他の人のことを考えることなどは、保育園生活で他のお友達と関わることで、体験しながら学んでいくものです。
だからこそ、保育園の環境や保育方法として、子ども同士が関わるということを重視し、関わり合いが生まれるような保育が必要だと考えています。
ご家庭でも、兄弟がいたり、従弟がいたりするならば、子ども同士が関わる瞬間を大事にしてほしいと思います。
また、同じ年くらいの子どもが他にいないのであれば、
「こんなことを誰かにされた時どう思う?お母さんはこう思うよ」など気持ちに気づくような声掛けをしたり、
「家族と一緒に生活する中でのルールを守ることの大切さ」を伝えたりすることを意識してほしいと思います。
終わりに
最近、発達障がい、LD、ADHDなどという言葉をよく耳にしますよね。
他の子に比べて、手がかかる子どもたちはそういう目で見られがちです。
簡単に発達障がいだと決めつけられている気がしてなりません。
保育士や学校の教員のスキルが未熟だから、落ち着きのない子どもたちに見えるだけではないのでしょうか?
扱いづらい子どもや、集団からはぐれがちな子どもは、発達障がいだと言われかねない世の中になっている気がします。
確かに、そういった子どもの特性にいち早く気づき、その子に合った環境や大人の関わりを提供してあげる事は大切です。
しかし、簡単に決めつけるのはやめてほしいなと思います。
保育士・教員のスキルは十分だろうか?と大人側に問題はないかと振り返ってみてもらいたいです。
そして、必要な体験が足りてないだけではないのか?家庭状況が原因でそういった行動をとるのではないか?
と子どもの姿の背景部分や原因をちゃんと見てほしいなと思います。
子どもの姿の事例
私がこれまで出会った子どもたちにも、「発達障がいでは?」と大人に言われたことのある子は沢山いました。
ですが、その後なんの問題もなく、他の子と変わらないように成長した事例も多いです。
1つ例をあげます。
ある小学1年生の子が、嫌な事があると癇癪をおこし、大人の話を聞かなくなり、部屋から飛び出してしまう姿がありました。
その子に対して発達障がいなのではないか?という大人の意見もありました。
しかし、保育園の頃に他の子との関わりの中で、自分の気持ちに折り合いを付ける体験が不足していたのではないかと考え、気持ちの整理ができるような声掛けを考えたり、落ち着く場所で話を聞いたりと、気持ちの切り替えをする体験を積み重ねました。
その結果、1年後には問題行動も無くなり、他の子を引っ張っていけるような子に成長しました。
「集中力」という話のテーマから、随分と逸れてしまいましたが、大人が決めつけてしまうことは子どもにとって良くないことに繋がりかねません。
”子どものために”と試行錯誤し、正解はなにか常に考え続けることこそが何よりも大事だと思っています。
この記事が少しでも誰かのお役に立てれば幸いです。