子どもの自主性 はどうやったら身につくのでしょうか??
子育てをされている方や教育に携わる方であれば「自主性」と言うワードは良く耳にすると思います。
近年の研究により、「自主性」や「主体性」が重要視されるようになり、日本の教育も変化の真っただ中です。
今回は、「自主性」を伸ばすための保育の方法や子どもとの関わり方について保育士目線でまとめてみようと思います。
子どもの自主性が重要視される理由
子どもの自主性について、保育所保育指針にも記載
これらは、保育所保育指針の抜粋です。
「自発的・意欲的に関われるような環境を構成」
「主体的な活動や…」
「子ども自らが環境に関わり…」
こういった子どもの自主性や主体性を培うことの重要さが保育所保育指針を読むと分かると思います。
子どもの自主性が重視される根拠「Vuca」
VUCAとは、「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとった言葉で、「予測困難な」という意味です。
急速なテクノロジーの進化により、人々の生活は格段に便利になりました。
YouTubeやInstagram、TikTokなどこれまでなかった仕事が誕生した一方で、これまで必要とされてきた仕事は、ロボット化され徐々に無くなっています。
また、新型コロナウイルスのまん延により、世の中は大きく変化しました。情報が錯綜し、「何が正しいのか?」と不安を感じた人も多かったのではないでしょうか?
これからの時代では、自主性や主体性を求められる仕事が多くなります。経済産業省では「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」として12の要素からなる3つの能力として定義されています。
こうした、これからの時代を作り出していくのは、今の子どもたちです。だからこそ、教育が見直され「自主性」や「主体性」が重視されるようになりました。大人になってからでは、自主性を身につけるのは難しく、子どもの頃に土台作りをしっかりしておくことが必要です。
さらに、小学校以前の幼稚園や保育園の時期に体験したことが、学業成績や将来の所得、犯罪数にも大きく関わっていることが、あらゆる研究で証明されています。
子どもの自主性を伸ばすために大事なポイント
子どもの自主性を伸ばすために大事なポイントを挙げていけば、いくつもあります。
特に、0歳~6歳までの保育園に通う子どもにとって重要なポイントを3つに絞りました。
2⃣ 子どもの個性を尊重し、考えや意見を肯定する
3⃣ 大人が決めつけるのではなく、子どもと対等に関わる
1⃣ 子どもに選択肢を与える
子どもが自ら考えて行動できるようになるためには、自分で選んで決めることが大切です。
例えば、麦茶と牛乳はどちらを飲みたいか?食べる量はどのくらいか?何をして遊ぶか?など、保育や子育ての中で子どもに選択肢があるかどうか?という視点で環境を整え、子どもと関わるようにします。
小さい頃から、自分で選択する体験を積み重ねた子とそうでない子は、保育士の目から見てもすごく差があります。
大人から指示されないと、「何をしたらいいのか分からないず、自分で行動することができない」などまさしく指示待ち状態です。
小さい頃から、自分で選択する体験を積み重ねると、3歳頃には自分の選択に責任を持てるようになっていきます。食べる量を自分で決めたから最後まで食べる。自分が決めて遊んだから、片付けまでする。など大人が細かく指示を出さなくても自分で考えて行動できるようになるのです。
しかし、全ての選択を子どもにさせても良いという訳でもありません。
子どもにとって危険な場合やしてはいけないことなどは、大人が制御することも必要です。また相手を傷つけたり迷惑をかけたりすることも、大人が伝えていかなくてはいけません。
子どもを”叱る”場合に気を付けるべきポイントは、以下にまとめています。
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2⃣ 子どもの個性を尊重し、考えや意見を肯定する
子どもの自主性や、行動力には、自信が持てることが重要です。自分を肯定できるようになるために、子ども1人1人の個性や考えを尊重することが大切で、否定したり子どもの意見を無視するなどは絶対にしてはいけません。
子どもは、失敗を繰り返し学んでいくものです。失敗したことを大人が毎回叱ったり、嫌な態度をとったりすると、失敗を怖がってしまうようになります。そして、自己肯定感が低下してしまうことに繋がります。失敗した時には、失敗したことへの共感や、次回成功することへの励ましの声掛けをしてあげてください。
しかし、子どもの意見にどうしても賛成できない場面や聞き入れきれない場面も必ずあります。
そんな時には、頭ごなしに否定しないことを心掛け、大人の考えや意見をちゃんと伝えるようにしてみてください。
大人:「私は、こう思ったから○○したんだよ」
大人:「今は、こういう理由で○○はできない、ごめんね」
など、大人の意見をちゃんと伝えてみると子どもは納得してくれることが多いです。
子ども:「じゃあ、今日は我慢するから、明日、○○一緒にしよう?」
子ども:「それが終わったら○○してもいい?」
など子どもの方から別の提案をしてくれることもあります。
3⃣ 大人が決めつけるのではなく、子どもと対等に関わる
子どもに選択肢を与えることと、子ども個性を尊重することと重なってきますが、子どもを子ども扱いしすぎないことが大切です。
「子どもだからできないだろう」と、大人が子どもに与えすぎることは、子どもの成長する機会を奪ってしまいます。
例えば、靴を履かせてあげたり、お仕度をしてあげたり、抱っこして連れて行ってあげたり…
子どもが自分でやろうとしている姿こそが、自主性です。できるようになろうと自分でやっているのならば、大人は余計な手出しは控えるべきです。
どうしてもできない時は、子どもの方から大人に手伝ってほしいとアピールしてきますので、その時には、手を貸してあげてください。
また、子どもの行動には、子どもなりの理由があります。
大人の決めつけたことを押し付けるのではなく、「なんで○○しようとしたの?」「○○をどうしたかったの?」と子どもの考えや意見をちゃんと聞いてあげてください。
こうした関わりが、子どもが自分で考え、自分で行動できる「自主性」へと繋がっていきます。
子どもの自主性を伸ばすために大事なポイントまとめ
2⃣ 子どもの個性を尊重し、考えや意見を肯定する
3⃣ 大人が決めつけるのではなく、子どもと対等に関わる
子どもの自主性を伸ばすために、特に重要な3つのポイントを紹介しました。
具体的な、子どもの発達に対する、環境作りや大人の関わり方などについては、別記事にまとめています。
また、学童保育に関しても具体的な保育方法について紹介しています!
保育士として、保育園に通ってきてくれる子どもたちに、最高の保育が提供できるように、日々の学びを発信しています。
子どもたちが将来、社会で活躍できるかどうかは、保育や教育にかかっていると思います。
目の前の子どもたちや、日本の子どもたちがよりよい保育・教育を受けられることを願っています。
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