話を聞かない子どもにどう関わればいい?保育士目線のコツ5選!

話を聞かない子どもへの対応にお悩みの方は多いと思います。

子育てをしている保護者の方や保育園や幼稚園に勤務されている保育士さんなど、子どもと関わる方にとっては1度は通る悩みなのかもしれません。

私も保育士になりたての頃に、他の保育士と自分とで子どもの態度や姿が違うことに気づき、「なんで自分の話は子どもたちに聞いてもらえないんだろう…」と悩んだ時期があります。

いくつか押さえておかないといけないポイントがありますので、自分なりに保育士目線でコツをまとめてみました。

話を聞かない子どもへの対応のコツ5選

早速、結論から入りますが私の保育士としての経験上5つのコツがあります。

コツ1,子どもの注目を集めてから話す
コツ2,話を聞く準備をさせる
コツ3,話の内容を分かりやすく飽きさせない
コツ4,子どもによって話し方を変える
コツ5,子どもの発達を把握して話方を工夫する

この5つのコツを意識するのとしないのとでは、かなりの差があります。
実際に、子どもたちがしっかり話を聞くベテラン保育士さんの保育を見て真似したり、アドバイスをもらって実践してみたりしましたが、子どもの姿がかなり変わりました。

話を聞かない子どもに対して、「この子は話を聞けない」など子どものせいにしてしまってませんか?

私も子どもが悪いと思ってしまった時もありましたが、まずは大人側に改善点はないか考えることが大事です。そして、保育や子どもとの関わり方に正解はないので、試行錯誤しながら最適な関わり方を模索することが何よりも大事だと学びました。

もちろん、今回の5つのコツも正解とは言い切れませんが、まずは意識して試してもらえると子どもの姿が変わるかもしれません。

これからこの5つのコツをより細かく紹介していきます。

話を聞いてもらえるようになるまでのステップ

話しを聞かない子どもが話を聞いてくれるようになるまでを3つのステップに分けてみました。

話を聞かない子どもの姿を見てみると、必ず原因があるはずです。「この子は話を聞ける子」「この子は聞けない子」といった見方ではなく、実際に大人が話している最中の子どもの様子を見てみてください。

第1ステップ

ありがちな原因として、「大人が話していることに気づいていない」「他のことに興味が向いている」ことが挙げられます。

5つのコツの1,子どもの注目を集めてから話す2,話を聞く準備をさせるが出来ていないとそういった姿になりがちです。保育園では、お集まりの時間がありますよね。保育士が絵本や紙芝居を読んだり、歌を歌ったり、ペープサートや手遊びなどを子どもたちの前でやっているのを見たことがあると思います。それは、子どもたちを楽しませているのではなく、子どもたちを惹きつけている役割もあるのです。

聞いてほしい話をする前に、絵本を読んでこちらに注目を集めて絵本が終わったら本題に入る。というような、子どもの注目を集めてから話す流れを意識してみると効果があるはずです。そして、「今から大事な話をします」「今から大事な話をしてもいい?」など、子どもが話を聞く準備をさせるような工夫を入れるともっといいかもしれません。

 

私が保育士になりたての頃、お集まりを担当する時に60~90人の子どもたちに向けて話をする場面がありましたが、撃沈したことがあります(笑)お集まりの手順に慣れておらず、変に間を空けてしまうとその隙に子どもが喋り出し連鎖していったり、子どもたちがこちらに注目していない状態で話出し、ザワザワ、ガチャガチャのまま数人の子にしか伝わっていなかったり…。
その頃は自信が持てませんでしたが、まずは子どもを惹きつける!変な間を与えない!話をする前に子どもに準備させる!を意識するだけですごく変わったことを今でも覚えています。

これが話を聞かない子どもに話を聞いてもらえるようになるための第1ステップです。

絵本を見る子どもたち

第2ステップ

話は聞くようになったけど、「途中でしゃべり出したり、最後まで聞いていない」場合もありますね。
その場合は、コツ3,話の内容を分かりやすく飽きさせないが大事かもしれません。

私たち大人も、面白くない・得るものがない長い話を聞くのは苦痛じゃないですか?(笑)
地域のイベントの開会式で来賓の祝辞を聞く場面など、「話ながっ」ってなりますよね(笑)

話の内容を簡単に分かりやすくすることとツラツラと話続けるのではなく、抑揚をつけたり、「ここで問題です!」などクイズを挟んでみたり、話しに飽きさせない工夫が時には必要です。大きな声で話すだけではなく、あえて小さい声で話してみたり、話しの途中に寝たふりをしたり、例え話を子どもの好きなものにしてみたりなどの工夫は、ベテラン保育士さんから学びました。目の前の子どもが何に反応するか?何に興味があるか?などは日頃から要チェックです。これが第2ステップだと思います。

第3ステップ

5歳児さんには話を聞いてもらえるけど、2歳児さんになると上手くいかない…なんてこともありますよね。第3ステップは、何歳児が相手でも話を聞いてもらえるようになる!です。そのためには、コツ4,子どもによって話し方を変えるコツ5,子どもの発達を把握して話方を工夫するが大事で、発達を見極めることが重要になります。5歳児さんには話を聞いてもらえるけど、2歳児さんになると上手くいかない…のは、子どもの発達に適していないからです。

そもそも、子どもの知っている単語や言い回しなど、理解できる幅が全然違います。そして、通用する面白さも違います。そのため、子どもを惹きつける方法も変えないといけません。私も0歳~2歳を釘付けにできるような技術はありませんが、リズムやテンポ、音などが効果的だと感じています。絵本の読み方もリズムよく読んでみたり、音を付けて読んでみたりするとよく聞いてくれるのではないでしょうか。

例外

障がいのある子どもは話しを聞けなかったり、理解できなかったりすることもありますが、「発達」や「特性」を意識して大人の工夫が必要です。例えば、「言葉だけでなく絵カードを使う」「大人の指示の数を少なくする」など、発達支援的な援助の仕方が必要な場合もあります。

また、「そもそも話を聞く気がない」子もたまに見かけますが、これにもちゃんと原因があるはずです。障がいでない場合は、「大人との関係性に問題がある」可能性があります。具体的には、「この先生なら聞かなくていいや」「この大人なら聞かない」など。こういった場合は、普段の子どもとの関わり方に問題があるかもしれませんし、大人の叱る叱らないの線引きができていないかもしれません。逆に「怒られ慣れ」している子は、話を聞かない子が多い気がします。「大人が話をする度に怒られる」ような体験が積み重なると話を聞くこと自体を避けてしまいかねません。叱る・叱らないのメリハリがない、線引きが曖昧などが原因でこういった姿になる場合があるため、「叱り方」を変える必要があります。

そして、話しを聞かない子どもは、「話を聞かない親」が原因な場合もあります。大人も同じですが、話しを聞いてくれない一方的な人の話を聞く気になれませんよね。子どもに話を聞いてほしいのであれば、子どもの話を十分に聞いてあげることも重要ですので、まずは子どもの話を聞いてから、大人の話を始めてみましょう。

輪になった子どもたち

話を聞かない子どもの保育実践例

上記で紹介したコツ以外にも、話を聞かない子どもの悩みとしてありがちな例と大人の対応のポイントをいくつか保育実践例を踏まえて紹介してみます。

ダメだと言っていることを何度も繰り返す

例えば、テーブルに乗る・食事中にウロウロする、物を投げるなど。
1歳児~2歳児頃に起こりやすい悩みですが、「テーブルに乗ったらいけない」と話しをしている時に聞いてない。そして繰り返す。こういった場面では、話しをする環境が大事かもしれません。集団から離れて話をしたり、別の空間で話をすると伝わり方が変わることがあります。また、「目を見ること」は重要です。叱っている時に目が合わない子がいますが、「今、先生お話してる、目を見て聞いて」と伝えると伝わり方が変わっていくことがあります。

何度言っても片付けをしない

片付けをするように何度話をしても、繰り返すなど。
先ほどと同じで、話しをする環境と目が合うことは重要ですが、片付けに関しては片付けやすさも原因になっていることがあります。どこに片付ければいいのか明確でないとなかなか片付けるようにはなりません。また、片付けをしないといけない理由を伝えましょう。片付けだけではありませんが、「なんでダメなのか?」を理解させないと改善しません。

大人が話している時に話す

大人が話をしている時に、子どもが話し出して、他の子も話出す場面もよくあります。
大人の話し方にも原因があるかもしれませんが、「相手が話している時は聞く」「相手の話が終わってから話出す」という会話のやりとりのマナー自体を知らないかもしれません。「今は先生がしゃべる時間」「さっきなんて言ったの?今喋っていいよ」など、子どもとのやり取りの中で伝えていく必要があります。

泣いていて話を聞けない

泣く子の対応に困る場面も多いです。叱ってる時に泣き出して、結局最後まで話ができない。泣くだけでなぜ泣いているのかも分からない。話しかけても泣くばかりでどうしようもない。などありがちな姿かもしれません。
子どもが泣いている理由を、保育士に伝えられることも大事で、これは乳児期の大人の関わり方が特に重要です。
泣けばすぐに助けてもらっていた子や、大人が気持ちを代弁してくれて自分で言葉にして表現する体験しなかった子など、こうした姿になることがあります。
そのため、「すぐに助けすぎない」ことや「なんで泣いているのか自分で伝える」「言わなきゃ分からないよ」などを大事にしてあげましょう。

また、泣いている最中に聞いたり、話したりしてもどうにもならないことがあります。
「一旦泣き止むように落ち着かせる」「時間をおいて、泣いていた理由を聞いたり話しをしたりする」ことも大切です。

保育園の中にリラックスできるような空間があるといいですね!

リラックスして本を読む子ども

話を聞かない子どもへの対応まとめ

コツ1,子どもの注目を集めてから話す
コツ2,話を聞く準備をさせる
コツ3,話の内容を分かりやすく飽きさせない
コツ4,子どもによって話し方を変える
コツ5,子どもの発達を把握して話方を工夫する

今回は話を聞かない子どもへの対応について5つのコツと保育の実践例などを紹介してみました。
私自身経験して身に染みていますが、話しを聞かない子は子どもに原因があるとは限りません。子どものせいにする前に、大人側に原因はないか考えてみることが重要です。

小学校や中学校の義務教育では大人の話は静かに聞く!が当たり前でよく怒られていましたが、保育士になってみて思うことは、話を聞かない生徒だけでなく、話しを聞いてもらえない先生の努力不足にも原因があるんじゃないかと思います(笑)

相手のせいにする前に、1度は自分に原因がないかと考えることが大事ですね。