保育実習の受け入れについて、現役保育士目線で紹介します。
保育実習とは、養成校に通う学生さんにとって最大の難関かもしれません。私が実習を経験したのは10年前になりますが、正直嫌でたまりませんでしたし、実習期間中はホントに大変でした。当時の同級生や先輩の話もネガティブな話ばかりで実習がきっかけで保育士を諦めた人も数人知っています。
保育士になり、実習生を受け入れる側になりましたが、実習生に同じような辛い思いをさせないように色々と工夫中です。
今回少しだけ紹介してみようと思います。
保育実習の受け入れ手順
まずは、保育実習の受け入れ手順についてです。自園には、保育養成校の学生さんの他に、高校生のインターンシップ、中学校の職場体験も受け入れているのでそれぞれ紹介します。
保育養成校(大学・短期大学・専門学校)
1,1年前に保育実習の依頼文書が養成校から届く
2,実習内諾書を送付(学生が来園する場合と来園しない場合がある)
3,実習の事前打ち合わせ(実習生来園)
4,実習(実習日誌へのコメントあり)
5,養成校職員来園
6,評価表送付
高校インターンシップ
1,年度初めにインターンシップの依頼文書が届く
2,受け入れ時間や人数、持ち物等用紙に記入して送付
3,電話での事前打ち合わせ
4,インターンシップ(3日間)
5,評価表・アンケート送付
中学校(職場体験)
1,年度初めに職場体験の依頼文書が届く
2,受け入れ人数などを用紙に記入して送付
3,職場体験参加者一覧表が届く
4,中学生から事前打ち合わせ日の連絡がくる
5,事前打ち合わせ
6,職場体験(3日間)
7,中学校職員来園
養成校と高校、中学校それぞれの流れを簡単に紹介しました。
養成校についてはどこの地域でもだいたい同じだと思いますが、高校や中学校は、地域によって違いがあるかもしれません。
高校生と中学生の実習内容は保育園側に委ねられているため、学生と話しながら内容を決めています。
保育実習の受け入れ前準備
保育実習の受け入れ手順で紹介したように、実習当日だけなく事前打ち合わせなどの段取りが必要です。
受け入れを担当するようになった当初は、対応に追われてバタバタしていたのを覚えています。保育実習の受け入れに余裕を持たせるためには、事前に準備が必要です。
スケジュール管理
まず、一番大事なことですが見通しを立てることが必要です。保育実習の受け入れに限った話ではありませんが「いつ頃何がある」と予定を管理しないと、何を準備するべきなのかも分からないままになります。自園では、年間計画表を見直して年間の業務が誰でも把握できるように可視化してきました。当たり前のことですが、毎年毎年改良を重ねながら、スケジュール管理と職員共有の方法は更新されています。
保育実習ファイルに記録を残す
養成校から送られてきた資料や保育園側から提出した資料の記録を残します。受け入れ可否や実習時間、仕事内容など、処理自体は簡単ですが、その場その場で対処法を考えて取り組むよりも、昨年度の返答を見ながら処理することでミスが減り処理スピードも早いです。また、昨年度の反省を踏まえて対応できるので回数を重ねる度に余裕が生まれ内容も良くなっていきます。例えば、学生へ事前に伝えないといけないことを毎年考えるよりも記録を見て伝える方が伝え忘れ防止にも繋がりますよね。
具体的には、受け入れ手順の他に、実習に入るクラス決め、学生の荷物置き場確認、日誌の提出場所や記入者確認、午睡時間の過ごし方の確認、責任実習の確認、持参物の確認、NG行動(子どもにしてはいけないことなど)の確認、反省会の日程調整などです。自園もまだまだ改善すべき点がありますが記録を残し確認事項や準備事項を書く出しておくと誰でもスムーズに対処できます。
職員間共有
スケジュール管理や記録を残し、事前準備を済ませた上で職員間での共有も必須です。保育実習生は、担当者だけでなく他の職員とも関わるため、園全体の職員が知っておく必要があります。また、保育実習生に対しての関わり方や指導の仕方、実習内容はどこまでさせるのか?など確認しておくことでトラブル防止に繋がります。職員によって対応がバラバラだと実習生も戸惑い園に対して悪い印象を受けかもしれません。「実習生に掃除や雑用ばかりを押し付けるのは良くない」という話が挙がる割りに、実際には雑用を押し付けられたという話をよく耳にしますが、園全体で実習生に対しての共通認識が持ててないからではないでしょうか。
午睡中の実習生の過ごし方

自園では、午睡中は日誌を書いて良いとしています。そういう園が増えてきているという話を聞きますが、実習生にとって日誌の負担はかなり大きいです。私自身も日誌のせいで睡眠時間が削られきつい思いをしましたが、それがわかるからこそ、実習生に同じ思いをさせる必要はありませんよね。しかし、保育士の仕事として、午睡中に製作の準備をしたり、お便りを書いたりしていることも実習生に体験してもらうことは大切です。そのため、強制はせずに日誌を書くかどうかは実習生自身が決めれるようにしています。
「何かお手伝いできることはありませんか?」と実習生が聞いてくれた時に、すぐに返答できるように実習生に任せられる仕事を事前に用意しておくことも必要です。自園で実際に任せたことは、子どもの製作物に使う材料準備や子どもが理解しやすい掲示物や装飾作り、折り紙の見本作り、園庭にある木の名札作り、塗り絵の見本作り、ピアニカの楽譜作り、絵本修理、オリジナルの絵本作りなどです。中学生や高校生は日誌がないため、学生に任せられることを書き出し、一覧表に完成図を付けて用意しています。保育園側も助かりますし、学生も楽しそうです。
昨年、中学生6人と高校生2人がそれぞれオリジナル紙芝居製作に取り組んでくれました。3日間しかない中、上手に作ってくれたので紹介します。
高校生チーム「けんかしたとまたとピーた」

→あるひ、トマトのトマた とピーマンのピーたがこうえんであそんでいました。
「すべりだい、いっしょにすべろ~!!」

→すべりだいのまえでピーたがいいました。
「ぼくがさきにすべる‼」トマたはびっくり‼
「えぇ~さっきはぼくだったのに…」

→トマたはおこってどこかにいっちゃった。
ピーたも「もういいよ‼」
といって、ブランコにいってしまいました。

→ひとりであそんでもたのしくない。
ピーたはブランコにのりながら、
「トマた…いっしょのほうがたのしいのになぁ~」
とぽつり。

→トマたもすべりだいのしたで、しずかにつぶやきました。
「ぼく、ごめんねっていいたいな…」

→ピーたと トマたは おたがいに ちかづいて
「ごめんね。」「こっちもごめんね。」
にっこりしてぎゅーってしたよ。

→ふたりはいっしょにすべりだいにのって
「きゃー‼」
とわらいながらすべったのでした‼
おしまい
すごく完成度の高い紙芝居です。セリフも、ちゃんと紙芝居として機能するように1枚目のセリフが7枚目に書いてあり、すべてひらがなで書かれていました。多分、子どもたちが読めるようにと考えてくれているのだと思います。保育養成校の授業で紙芝居や絵本を作ったことがありますが、構成を考えてイラストを描いて色を付けて、文字を入れる作業は大変です。それを3日間の午睡中に終わらせたのでびっくりです。保育園で活用させていただきます。
中学生チーム「うにごろう」

→うにごろう

→むかしむかし
イケイケなじいさんとイケイケなばあさんが海で泳いでいました。
すると海の底からウニが浮いてきて足にささりました。

→おこったばあさんはウニをたたきました。
するとウニの中からウニ五郎が生まれてきました。

→ウニ五郎はすくすくと育ちました。

→ある日、イチゴどろぼうのマサキマンの
うわさを聞いたウニ五郎は
マサキマンを倒そうと考えました。

→たおしにいくとちゅうで
ひとでが仲間に入りました。

→次にパンダが仲間になりました。

→次に、ヘラクレスオオカブトが仲間になりました。

→マサキマンを見つけたウニ五郎は
頭のトゲでマサキマンをたおしました。

→お礼にイチゴをもらい、幸せにくらしましたとさ
おしまい
中学生チームも上手ですよね。桃太郎のエピソードをアレンジしています。マサキマンは学童の先生をモデルにしており、イチゴは保育園の側にイチゴ農家があるので、保育園周辺で学童の先生がイチゴどろぼうをしているという設定で作ったみたいです(笑)ストーリーは6人みんなで考えていましたが、絵は女子たちが担当し、男子はその間、園庭の木の名札を作るなどしてくれました。職場体験3日目に、間に合いそうにない!と必死に完成させてくれましたが、そういった体験も学びに繋がったのではないかと思います。

保育実習の受け入れで注意すべきこと
保育実習の受け入れ手順や事前準備などを紹介しましたが、最後にこれまでの経験を通して注意点をまとめます。
養成校の実習生には、保育士になることを見据えてやる気があるかどうか?子どもへの声掛けや関わり方はできているか?などそういった目で見てしまいがちです。私が実習生の時にもそんな目で見られていることがビシビシ伝わってきました。しかし、実習生が初めから上手にできる訳がなく、子どもの前で初めて話してみて、大勢に対して話すことの難しさや注目させる方法、活動の段取りなど見えてくるものです。
私が養成校の実習で行った幼稚園では、責任実習中にチェックシートを持った担任の先生から黙って見られていました。そして、最終日の反省会でダメだった所をいくつも告げられました。幼稚園実習とは反対に、保育園実習では評価されるというよりも、実習生は観察がメインで朝の会や設定保育など、やってみたいと思ったらやってもいいよというスタンスでした。ダメ出しをされることはなく、失敗してもすぐにフォローしてくれる人ばかりですごく充実して学びも多かったです。
このような実習する側の経験と、受け入れる側になってからの経験を通して、実習生を評価することよりも、実習生が現場を体験できることが重要だと思います。もちろん、実習生1人1人の意欲も必要ですが、実習生に求めすぎてはいけないし、責任を押し付けてもいけません。また、出来なくて当然なのだからフォローも必要ですし、やってはいけないことや、必ずやって欲しいことは、ちゃんと伝える必要があります。
実習生に限らず、新人職員の育成にも言えることですが、「できて当たり前」「言わなくても分かるはず」など決めつけてしまうのは良くありません。特に、世代間のギャップが人間関係を悪くすることはどこの園でもあるあるの話だと思うので、考えや価値観は人によって違うことを前提に「丁寧に伝える」作業を怠ってはいけないと思います。自分自身への戒めも込めて保育実習の受け入れで注意すべきことを書かせてもらいました。
おわり