保育園のプール遊びは何をすればいいの?

保育園のプールが今年も始まりました。
今日、子どもたちと一緒にプールに入りましたが、プールって何をさせればいいのでしょう。

水に親しむ?
泳げるようになる?
顔を水につけれるようになる?

今回は、自分自身の学びのために保育園のプールについてまとめてみます。

保育園のプールどう思う?

まず、保育園のプールは子どもたちにとっては楽しい時間です。
保育士の意見は違うのではないでしょうか。

死亡事故に繋がる事例もあって怖い…。
体調管理やら道具の準備、着替えなど段取りも増えるし、プールから室内までの動線や人員配置など大変…。
さらに、プールに入ると単純に疲れる…。

ほとんどの人が「分かる~」と賛成してくれるのではないでしょうか。

 

ではなぜ保育園でわざわざリスクを背負ってプールをさせるのでしょう。

まず、

プールをしないといけないという決まりはありません。

保育園でプールをするねらいとしては、乳幼児期から水に慣れることや、ケガや事故防止のためにルールを守ることを学ぶこと、自立を促すことなどが挙げられます。そして、夏の暑い時期に外で走り回るよりも、プール遊びの方が熱中症などのリスクが低かったり、遊びが持続しやすかったりするため、時期に合わせた活動の1つとして取り組まれているようです。

 

プール遊びも熱中症になる⁉

夏の時期に合わせた活動と言っても、最近では「プール中止」が多発しています。
その理由としては、外気温が高すぎて熱中症のリスクがあるからです。

プールで水に浸かっているから大丈夫な気もしますが、実は水中でも汗をかき、脱水状態になります。
プール中は肌をさらした状態で、水分補給もなかなかできません。

実際に、『学校屋外プールにおける熱中症対策』によると、小学校・中学校でのプール中の根中小の発生件数は、2013年~2017年の5年間で179件あったそうです。

保育園のプール熱中症リスク

保育園での熱中症対策は、子ども家庭庁からの注意喚起や施設でのマニュアル作成など年々厳しくなってきています。
暑さ指数(WBGT)を用いて、31以上は外遊びはしないなど施設で対策をされているはずです。

私の勤めている保育園や学童でもマニュアルを作成して取り組んでいますが、31~33がほとんど毎日なので外遊びはできません。

 

教育・保育施設における事故防止及び事故発生時の対応のためのガイドライン

 

保育園のプールでも、この暑さ指数が基にされていて「気温35度以上、WBGT(暑さ指数)31度以上は原則運動中止」という基準や、日本水泳連盟の「水温+気温が65度以上の時には適さない」と言う基準が一般的です。

保育園のプールは、こうした安全対策を万全に整えるために熱中症対策の基準を作成することが必須になりました。

 

事故を防ぐための職員配置と対策

保育園のプールで気をつけなければいけないのは、熱中症だけではありません。
溺れる事例も実際にあるため、(1)監視体制の確保(2)職員への事前教育(3)緊急事態の対応等などの体制を整えることも必要です。これらも、先ほどのガイドラインに記載されており、こども家庭庁からの通知も各保育施設に届いています。

(1)監視体制の確保
プール活動・水遊びを行う場合は、監視体制の空白が生じないように専ら監視を行う者とプール指導等を行う者を分けて配置し、また、その役割分担を明確にすること。

(2)職員への事前教育
事故を未然に防止するため、プール活動に関わる職員に対して、こどものプール活動・水遊びの監視を行う際に見落としがちなリスクや注意すべきポイントについて事前教育を十分に行うこと。

(3)緊急事態の対応等
施設・事業者は、職員等に対し、心肺蘇生法をはじめとした応急手当等及び 119 番通報を含めた緊急事態への対応について教育の場を設け、緊急時の体制を整理し共有しておくとともに、緊急時にこれらの知識や技術を活用することができるように日常において実践的な訓練を行うこと。

これらをクリアするためには、職員間で事前に準備し、連携しながら取り組むことが必要です。

 

プールの水の消毒など他にもありますが、こうした安全対策を万全に整えて、ようやくプールに入れます。

今回はプールの内容について書くつもりでしたが、安全管理は大事な部分ですので、長々と書きました。
ここからようやく今回の本題です。

 

保育園のプールで何をさせるべき?

先ほど少し書きましたが、保育のねらいとしては「水に慣れる」「ルールを守ることを学ぶ」「自立を促す」といったことが挙げられます。

こうしたねらいを踏まえると、保育園のプール活動でさせるべきことが見えてきますね。

乳幼児期から水に慣れる

水とは生活していく上で絶対に欠かせないものです。水分補給、手洗い、お風呂、雨など生活のあらゆる場面に水に触れる場面があります。水を容器に入れたり、手の平に溜めたり、水の中で動きにくさを感じたり、水に浮く方法を知ったり、息を止めることを体験したりと水をつかった遊びの中で色んな体験をすることこそが大事です。

特別な指導をするというよりも、容器や沈んだものを取る、水中を歩くなどそういった遊びでも十分学びに繋がります。教えるとすれば、クロールや平泳ぎなどの泳ぎ方を教えることよりも、溺れないように何かにつかまって浮かぶ練習や水に顔を付けてパニックにならない練習などが重要なのかもしれません。

 

ルールを守ることを学ぶ

プールに限った話ではありませんが、子ども自らの安全のためにルールを守ることを知るのは必要なことです。
そのためには、大人が伝えることは勿論ですが、なぜ危険なのか?をしっかりと伝える事が大事ですよね。

そう考えると、プールに入る前の準備運動や、プールでは走らないこと、お友達を押さないこと、お友達に乗らないこと、大人の言うことを聞くこと、お友達に異変があったら大人に伝えることなどのお約束・ルールの意味までしっかりと伝えることが大事だと言えます。そして、子どもの安全を守るためだからこそ、伝え方も大事で中途半端に伝えてはいけません。そして、ルールを守らないならばプールから子どもを出すというメリハリも大事ではないでしょうか。

 

自立を促す

プールに入るためには、着替えが必要になります。大好きなプールに入るために自分で着替え、荷物をまとめ、集団生活に合わせなければいけません。こうした体験こそが自立を促しています。そう考えると、大人がなんでもしてあげるよりも自分で着替えようとする姿を大事にしてあげて、少し待ってあげられるような余裕が必要なのかもしれません。バタバタと急かしてしまうことが多いですが、ゆったりと余裕を持ち、多少プールの時間が短くなってもOKくらいの心構えでいいのではないでしょうか。

 

保育園のプール まとめ

まずは、安全対策を万全にすることが何よりも大事だということが先確認でき、何のためにプールをするのかを考えると、プールですべきことが明確になりました。今日、子どもたちとプールに入りましたが、ルールの伝え方も不十分だったと思いますし、ただ遊ばせるだけになっていたなと反省することが多いです。すぐにでも、安全対策について職員間で共通認識できているか確認し、プールの内容も見直していければと思います。