以上児のケンカどうすべき?現役保育士目線で伝えます。

以上児のケンカが起きたとき、大人はどうするべきなのか?

悩む保護者の方や保育をされている方、多いのではないでしょうか。

大人の声掛けや対応で、子どもの成長に大きな影響を与えます。

今回は、以上児(3~5歳児)のケンカ対応について、現役保育士目線で書いていきたいと思います。

以上児のケンカで大人がすべき役割

まず最初に、子どものケンカが起きた時に、1番大事な大人の役割についてです。

大前提として、大人の役割は、子どもの安全を守らなくてはいけません。

 

以上児同士のケンカでも、乳児同士のケンカでも、ケガや事故に繋がる可能性はあります。

子ども同士のケンカが始まった時には、まず安全かどうかの判断を大人がしなくてはいけません。

では、安全かどうかの判断はどうすればいいのか?

目安として、ケンカを止めに入ったほうがいいと判断する場面を紹介します。

 

① 子どもが叩く・蹴るなど手が出る場合。

子どもが何歳児であろうが、叩く・蹴るなど、ケガをする場合は止めに入ります。

 

ケガをするのを防ぐというのもありますが、叩く・蹴るなど”相手を傷つける行為はいけない”と、子どもに伝えるべきです。

 

1歳児くらいから他の子とのケンカは増えていきます。

その頃から”相手を傷つける行為”については、ハッキリとダメな事だと伝えていっています。

同時に、暴力ではなく”言葉で伝えるように”と繰り返し伝えていくことで話し合いで解決できる子へと育っていきます。

1歳児頃は、叱るべきかどうか悩む方も多いと思いますので、”叱る”をテーマに年齢別に記事にしていますので、よかったら読んでみてください。

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② ケンカの場所が、危険な場合

ケンカが起きた場所が危険だと判断したら、止めに入る場合があります。

 

例えば、高い所、階段付近、道路、ブランコの近くなどです。

この子たちであれば、叩いたり・蹴ったりしないと分かっていても、とっさに押してしまうかもしれませんし、ケンカに夢中でその他の危険に気づかないかもしれません。

 

ケンカが始まったら、危険な場所ではないか?に注意して見てみましょう。

この場合は、止めに入ると言っても、子どもたちを移動させるだけの方が多いです。

ケンカは、危険でなければ止めなくていいの⁉

では、子ども同士のケンカは危険でなければ止めなくていいでしょうか?

保育士目線で言うと、子ども同士のケンカはできるだけ止めたくありません。

以上児同士のケンカであれば、ほとんど介入していないです。

なぜなら、子どもにとってのケンカは、成長のチャンスだからです。

 

「自分や相手の気持ちを知る

「自分の感情をコントロールする」

「意見を伝えたり、相手の意見を聞いたりする」

このように、ケンカの中には学ぶきっかけがあふれています。

そのため、危険は防ぎつつ、できるだけケンカは止めないようにしています。

ケンカを止めないのなら、ただ見ているだけでいいの?

以上児のケンカは、いくら危険がないとは言え、ただただ放置していれば良い訳でもありません。

 

先ほど述べたように、ケンカの中に学びのチャンスがあふれています。

しかし、暴言を言い合うだけのようなケンカや、それ以上の発展がないケンカは、学びは少ないです。

 

そんな時は、話し合うように声をかけ、落ち着いて話し合いができる場所へ移動させます。

話し合いでは、お互いに何に怒っているのか?を整理できるような言葉がけをし、自分の意見や言葉を相手に伝えるように言います。そして相手の意見もちゃんと聞くようにします。その後、相手の意見を聞いた上で、また、自分の意見を伝えることを繰り返します。

相手に伝えるためには、自分の気持ちを理解し、言葉に返還しなくてはいけません。

そして、相手の意見を聞くことで他者の気持ちを理解し、自分の感情に折り合いを付けることができるようになっていきます。

こうしたやりとりや体験こそが子どもの学びに繋がっていきます。

以上児 の発達段階を踏まえた関わり方

子ども同士で話合いができるようになるためには、日々の積み重ねが重要です。

以上児クラスの子どもでも、「話し合いなさい」といったところで話し合いになりません。

子どもは、2歳の後半頃から、少しずつ自分の気持ちを理解していき、相手にも感情があることを知っていきます。

 

そして、3歳・4歳・5歳と次第に、自分の気持ちを言葉で表現できる幅が広がっていきます。

子ども同士で話し合いができるようになるためには、「悲しい」「嫌だった」など気持ちを言葉に返還する手伝いをするしたり、相手の気持ちに気づくきっかけ作りをしたりと、子どもの発達に合わせた大人の手助けは必要です。

初めは、大人が手伝いながらですが、こうした体験を積み重ねていくと、自分たちだけで話し合いができるようになっていきます。

そして、子ども同士で、話し合う体験を積み重ねていくことで、相手の気持ちを理解できるようになり、他者を思いやることができたり、自分の気持ちに折り合いを付けれるようになっていきます。

私の勤務する保育園では、こうした体験を2歳後半頃から積み重ねています。

3・4・5歳児クラスでは、大人の介入がなくても自分たちで話し合いをし解決している様子が日常茶飯事です。

また、5歳児さんが、3・4歳児さんのケンカの仲裁役をしていることもあります。

以上児 のケンカは、「ごめんね」「いいよ」が解決じゃない⁉

話し合いについて書きましたが、ケンカの終わり方は、「ごめんね」「いいよ」が正しいと思っていませんか?

 

保育士さんにも、「ごめんね」「いいよ」を言わせて、「仲直りできてよかったね」とケンカを終わらせる人が多いです。

 

しかし、「ごめんね」と相手に謝る時に、本当に自分が悪かったと納得していなければ、子どもの成長には繋がりません。

「ごめんね」「いいよ」の形だけの解決よりも、話し合いで自分の意見を伝えることや相手の意見を聞くことなどの体験が重要です。

実際に子どもたちの話し合いの様子を見ていると、自分から謝る場合もあれば、相手が謝っているけど、納得できないからと話し合いが長引く場合もあります。謝るのではなく、許してもらうために相手を笑わせる子もいます。

このように、子どもによって解決方法は様々です。

実は、「ごめんね」「いいよ」の解決方法は大人が押し付けてしまっているだけなのかもしれませんね。

以上児 話し合う環境作り

何度も述べていますが、ケンカは子どもにとって学びのチャンスです。

仲直りをするために話し合うことで、さらなる学びに繋がります。

 

そのため、落ち着いて話し合いができる静かな場所に、話し合いができる場所を設置しています。

 

2歳頃から、ケンカをした時には、その場所に行き意見を伝え合う体験を積み重ねています。

以上児クラスになると大人が言わなくても、その場所に自分たちで向かい、話し合う姿が見られます。

 

その場所では、日々いろんなやりとりが見られます。

話し合いで解決できるようになっていくため、叩く・蹴るなど手がでていしまう子はほとんどいません。

こうした体験の積み重ねで身に付けたことは、人として生きていく上で必須のスキルです。

感情を抑制したり、自分の意見を言葉にして伝えたり、他者のこと理解したり思いやったり。

人としての土台を、保育園生活の中で身に付けているのです。

以上児のケンカで大人がとるべき対応 まとめ

① 大人は危険がないか判断し、必要であれば介入する
② できる限り、子ども同士のケンカを止めないようにする
③ 話し合って解決していく体験を積み重ねる
④ 子どもの発達を踏まえて関わり方を工夫する
⑤ 「ごめんね」「いいよ」だけがケンカの解決じゃない
⑥ 話し合う場所と時間を保障する

以上、保育士目線で以上児のケンカをテーマに書いてみました。

日々の保育で学びを深めつつ、子どもたちにとって良い保育とは何か?を模索しています。

他にも、保育の実践など書いていますので、ぜひ読んでいただけると嬉しいです。