学童の熱中症対策はどうすればいいのでしょうか?
行政から注意喚起などの通知が来ますよね…。
熱中症アラートが出ない日はあるのか?
夏には外遊びはできないのか?
そう思いながら、夏休み中、子どもたちを室内に閉じ込めることになっていませんか?💦
室内に大勢の子どもたちがいると騒がしいですし、発散できずに走り回ったりケンカしたりトラブルも多く起こりますよね…。
熱中症に気をつけなければいけないことは、皆さんも重々承知していることと思います。それでも外に出て遊べる機会を作りたい!子どもたちが満足し、充実した夏休みにしたい!と思う方にぜひ、読んでほしい記事です。
学童の熱中症対策で押さえるべきポイントにいてや、保育の実践などを紹介していきたいと思います。
学童の熱中症対策について
学童の熱中症対策について、放課後児童クラブ運営指針には具体的には示されていません。強いて言えば、熱中症だけでなくその他の事故やケガも含めて対策すべきだと記載がされています。
↑実際に最近学童のメールに添付されていた資料です。私の勤める学童では、以前はこうしたマニュアルも整備できていませんでしたが、保育内容や業務内容を整理しマニュアル作成も行いました。正直、すごく大変で面倒な作業です。
「こんな感じでいいでしょ」「面倒だから後回しにしよう」と形だけ行ったり、放置したりしたい気持ちはありましたが、「もし事故やケガなどが起きた時に突っ込まれる要素がないようにすること」を意識して、職員みんなで基準を作ってきました。
学童の熱中症対策を見直す手順
学童の熱中症対策を作り上げていく上で、大きくわけると3つの手順があります。
②熱中症対策の基準を作ること
③基準に沿って保育の内容や取り組みを考えること
まずは、私たち支援員が熱中症について正しい知識を付けないことには、適切な対策はできませんよね。
①熱中症についての知識をつける
まず、行ったのは熱中症についての正しい知識を付けるために、学童の熱中症対策の基準にできそうな資料をさがしました。
結局、環境省の熱中症環境保健マニュアルに辿り着き、分厚いマニュアルを読むことに💦
熱中症環境保健マニュアルに書かれている内容は、熱中症とは何か?、熱中症になった時の対処、熱中症を防ぐための方法、熱中症に関する保健指導についてです。
全てを完璧に覚えて実践するのは不可能ですので、学童支援員が知っておくべきだと思う要点をまとめ、職員間で共有し保護者にも周知しました。
熱中症対策の要点を紹介していきます。
熱中症は気温だけでなく、湿度も意識!
ついつい気温にばかり意識が向きがちですが、”湿度”を意識しないといけません。後で説明しますが、WBGT値早見表を見ると気温が28℃でも、湿度が高いとかなり危険だということがわかります。学童の熱中症対策は湿度も意識することを押さえておかなくてはいけません。
暑さ指数を参考に!
「暑さ指数」とは先ほど書いたWBGTのことです。暑さ指数の基準値は、25未満は”注意”、25~28は”警戒”、28~31は”厳重警戒”、31以上”危険”となっています。この暑さ指数(WBGT)の基準値をもとに学童の保育内容や取り組みを考えることが必要です。
熱中症になった時の対処方法
学童で熱中症対策に努めていても、起こってしまう場合はあります。そんな時には、早急に適切な処置ができなくては命に関わってしまうかもしれません。そのためにも、熱中症になった時の対処方法は押さえておくべきです。
①涼しい場所へ避難すること
②脱衣と冷却
→早急に体温を下げることが必要なため、子どもの服を緩め首の付け根の側面や脇の下、股関節など前進を氷嚢で冷やすなどの処置が必要です。また、冷たい飲み物を飲ませ、体内を冷やすのも効果的です。女の子の場合は、女性職員が対応することが望ましいですし、その場にいる職員が誰であっても対処できるようにしておくことや氷嚢などの身体を冷やすための道具も備えておく必要があります。
③水分・塩分の補給
→先ほども書いたように、冷たい飲み物は体内のを冷やすのに効果的ですが、「呼びかけや刺激に対しての反応がおかしい」「答えがない」「吐き気がある」「吐く」などの場合は、水分を飲ませると悪化する恐れがあります。すぐに病院での点滴が必要です。
エアコンの設定温度と実際の室内温度には差がある
「室温は28℃が最適」と聞いたことがありませんか?そのため、エアコンを28℃に設定する方も多いそうです。しかし、28℃に設定しても日差しの関係や部屋の広さなどの兼ね合いで、室温が28℃にならない場合もあります。そのため、室内の温度をこまめに計測し、室内温度が28℃になるように、エアコンの設定温度を調節すると良いです。
子どもは体温調節能力が未発達
子どもの身体は、大人に比べると発汗能力が未熟なため熱を逃がすことができません。そのため、高温時や炎天下では子どもの身体の体温が上がりやすく、熱中症になりやすいです。”子どもは大人よりも熱中症になりやすい”というのは意識しておくべきですね。
子どもが活動する高さの温度を意識する
晴天時の気温は、地面に近づくとより高温になります。地面から150㎝の高さと50㎝の高さでは、50㎝の高さの方が約3℃も高いことが分かっています。そのため、大人が感じている暑さ以上に子どもたちは暑いということを知っておくべきです。
のどが渇かなくても水分補給をする
熱中症対策として、水分補給は必須です。定期的に水分補給の時間を作るなどの対応が必要です。また、水分補給もそうですが子どもたち自身が熱中症になりにくい子へと成長していかなくてはいけません。日頃から外で遊び暑さになれることも必要ですし、気温に合った服装を選べることも大事です。私たち大人の役目は、熱中症にならないように子どもたちを管理するだけではなく、子どもたち自身が自分の身を守る術を身に付けていけるように、教えていかなくてはいけません。
②熱中症対策の基準を作ること
ここまで、学童の熱中症対策の要点を紹介してきました。こうした要点を踏まえて、学童の熱中症対策の基準を作っていきます。
私の勤める学童では、熱中症環境保健マニュアル内の暑さ指数(WBGT)を参考に基準をつくりました。
その日の気温と湿度を計りWBGT値に沿って外に出られる時間を決めました。こうすることで、熱中症アラートが出ている日でも、学童の園庭では少しだけ外に出られる時間を作ることができるように。
正直、熱中症アラートが出ない日はほとんどありませんし、市単位でアラートが出されるため、学童がある場所は、そんなに気温や湿度が高くない場合があります。熱中症にならないために気をつけるのは確かに大事ですが、子どもたちの遊びや生活を制限するだけでなく、どうにか安全を守りつつ子どもたちがやりたいことを実現できる方法を考えることも大事ではないでしょうか。
③基準に沿って保育の内容を考える
こうして熱中症に対する知識を付け、学童の熱中症対策の基準を作ることで、基準に沿って保育の内容も工夫することができます。
”熱中症アラートが出ている日は外遊びができない”ではなく、”適切な対策ができていて、基準の範囲内であれば外遊びが可能”という考え方ができるようになりました。
外でも、身体を冷やすことができる場所が確保でき、水分補給ができれば大丈夫だということです。
私の勤める学童は、夏休みは川遊びに行く事が多いですが、以前は、熱中症警戒アラートが出た日は、外出できないため、川遊びにすら行けませんでした。しかし、学童の熱中症対策基準を作ることで、川遊びに行くことができるようになり子どもたちの遊びの幅も広がりました。
川の水は冷たいので、身体を冷やしながら遊ぶことができるため熱中症の心配が軽減しますよね。
とは言っても、川遊びも危険を伴うため川遊びでの職員間のルールも定めています。川遊びのルールや川遊びの実践については、別の記事にまとめてますので、よかったら目を通していただけると嬉しいです。
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また、学童の園庭で15分間だけゲートボールやモルックなど、激しい運動を伴わない遊びをすることもあります。15分後には、エアコンの効いた部屋で涼み水分補給をします。たったそれだけの時間でも、子どもたちの外に出れないストレスはだいぶ軽減され、室内で走り回ったりケンカしたりといったトラブルは少なくなりました。
学童の熱中症対策まとめ
②熱中症対策の基準を作ること
③基準に沿って保育の内容や取り組みを考えること
学童のマニュアル作成や基準作りなど、かなり大変な作業だと思っています。
しかし、時代が進むにつれて学童の体制を整える動きが活発になっていますよね。
日々の慌ただしい業務の中で、余裕がないかもしれませんが、マニュアルは形だけ作成するのでは意味がありません。
作成したマニュアルを現場の職員が実行できるように、職員間で共有したり確認して改善したりなどそうしたマニュアル作成後が何よりも大事だと思っています。
私も日々の業務の大変さや行政や世間からの要望などで、嫌気がさす時もありますが、何とか踏ん張って1つ1つ積み重ねているところです。どの学童さんも夏休み期間は非常に忙しいことと思います。長時間開所の夏休みはシフトを組むのも一苦労ですよね💦しかし、子どもたちにとっては人生で数回しかない貴重な夏休みです。「夏休み楽しかった~!」と言ってもらえるように、そして、子どもたちのためにより良い学童になれるように頑張っていきましょう!