学童保育の環境作りまとめ!子どもが通いたい学童保育の実践紹介

学童保育の環境は何が適切なのでしょうか?

学童保育に携わる方や、学童に子どもを預ける保護者の方に向けて、学童保育の環境について紹介していきます。

私の勤める学童保育の実践も紹介していますので、よかったら読んでみてください。

子どもが通いたくない学童の共通点

まず、子どもたちが学童に通う理由はなんでしょうか。
それは、小学校から下校した後や、春休みや夏休み、冬休みなどの子どもたちの安全を確保するためですよね。
”子どもを見れる人が誰もいない”状況は、核家族化によってより進んでいるのではないでしょうか。

親としては、お金を払ってでも子どもの安全を確保したいと思うのは当然ですよね。

しかし、子ども目線ではどうでしょうか。
小学校からそのまま帰宅する子もいれば、学童に通う子もいて、部活をする子もいるでしょう。
学童に通うように言われているから通っているだけの子もいるかもしれません。

「学童に行きたくない」

と言われたら、親としては困りますよね……。

私の勤める学童保育でも、「学童に行きたくない」と言う子を見たことがありますし、他の学童保育でもそのような事例は多いそうです。

 

以前は、学童に通いたくないと言う子が多かったですが、今では学童に通ってくることを楽しみにしてくれる子が増えました。
これまでは少なかった高学年の子たちも、学童に在籍し続けています。

「学童に行きたくない」と言う、子どもの本音を聞いてみると、

1,学童が楽しくない。することがない。
2,友達と家で遊びたい。
3,学童で嫌な思いをする。
4,学童の先生が嫌だ。

こんな意見が挙がります。楽しくなく、することがない場所に通い続けるのは、確かに嫌ですよね(笑)

私の通う学童の改革を通して、子どもが「通いたくない学童」は、することがなく楽しくない。学童支援員の子どもとの関わり方が適切でない。子どもの安全面が守れてない。子どものプライバシーの確保ができていない。など、そういった点に原因があります。

学童保育の環境作り ポイント

学童保育の環境作りといっても、室内の家具の配置だけではありません。子どもたちが学童に通って体験することや、関わる人、遊ぶ物や空間、宿題など、「環境」という言葉は広い意味を持ちます。

その中で、学童保育の環境作りで押さえておきたい要点まとめです。

1,子どもが自主的に取り組める
2,子ども1人1人の思いや行動が保障できる
3,学童支援員は子どもの安全確保とサポート役
4,学童職員の連携と学校や保護者との連携

この4つのポイントから学童保育の環境を見直していく事が重要です。

私の勤める学童で改革があったと書きましたが、この4つのポイントすべて見直しました。

ここから具体的に紹介していきます。

1,子どもが自主的に取り組める

まず、子どもが通いたくなる学童にするためには、「子どもが自主的に取り組める」ということが重要です。
学童に通ってくる子どもの姿を見て、「ひまい」「することがない」「先生何かしよう?」などの言葉があったり、部屋の中を走り回ったりする姿はありませんか?

そういった姿がある場合、子どもが遊び込めてないと言えます。

自主的に取り組めるというのは、子どもが自分から遊びを見つけて遊んだり、自ら目的をもって作り物をしたり、調べ物をしたりすることです。

私の勤める学童での一番大きな変化がこの部分で、「ひまい」「することない」「帰りたい」などボヤいていた子どもたちが、「○○をしたい」「○○したいけど、△△もしたい」と目的を持って過ごす状態へ変わっていきました。

やりたいことが沢山あって、それを実現できる学童になれば、学童に来ることが楽しいですよね。

そのために、私たちがやった学童保育の環境作りは、遊びの選択肢を増やしたこと、子どもが提案し実現できる仕組みを作ったこと、子どもが大人のサポートを必要とした時に手を貸すことなどです。

詳しくは、別の記事にまとめています。

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2,子ども1人1人の思いや行動が保障できる

学童によっては、学童を利用する学年に制限がありますが、私の勤める学童では1年生~6年生までの子が在籍しています。
1年生と6年生とでは、体の大きさも興味も違って、遊び方にも差がありますよね。また、子どもは家での出来事や小学校での出来事などで機嫌が良かったり悪かったり、体調も日によって様々です。

そんな様々な子たち1人1人の思いややりたいことを保障してあげる環境作りが2つ目に大事なことです。

例えば、勉強に集中したい子が、周りがうるさくて集中できない。1人で落ち着ける場所がない。いつも同じ人が場所を占領していて、使わせてもらえない。

こういった思いをさせてしまっては、学童への居心地が悪く「行きたくない」と言わせてしまう原因になるでしょう。
子ども1人1人が思い通りにできるのは難しいことですが、勉強をする部屋と遊びの部屋を分ける、勉強の時間は静かにするというルールを作る、静かな部屋を作る、道具や遊びの場所の予約ができるなど、こういったことに配慮することが学童保育の環境作りにおいて大切です。

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3,学童支援員は子どもの安全確保とサポート役

1,子どもが自主的に取り組めるようになるためには、学童支援員の子どもとの関わり方が重要です。
「今日は○○をします」と大人が中心になって子どもたちの活動を決めていては、子どもはさせられているだけで楽しい学童とは思ってもらえません。その瞬間は楽しそうにしていても、「次は?」と言われたり、別のことをしたい子も強制的に参加させないといけなかったり、大人が中心では限界があるのです。

学童支援員の役割は、子どもたちのサポート役で子どもたちが提案し、子どもたちが自ら取り組めるようにしていくことが必要になります。そのために、大人が子どもに介入しなくても子どもたちだけで解決していけるような環境を作ることを意識してみるといいでしょう。

 

また、学童保育の環境作りとして子どもの安全確保については、絶対に怠ってはいけません。
安全確保とは、子どもの出席確認や、学童と子どもの家庭との登下校。そして、学童内のケガや事故の防止、学童外での活動のケガや事故の防止。感染症対策や熱中症対策。などこうした安全の確保ができることが1番重要で基礎的な部分です。

最近になって、行政からの指摘が厳しくなってきていますが、運営指針にも記されていて、本来であれば出来ていなければいけない点ですよね。
私の勤める学童でも、完璧とは言えませんが職員みんなで見直し、日々問題が起きたり、危険性を感じたりした場合は改善することに時間と労力をかけて取り組んでいます。

学童保育の環境作りは、子どもたちの安全確保に重点を置くことと大人と子どもの距離感が重要だということです。

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4,学童職員の連携と学校や保護者との連携

上記で紹介した、ポイントを実現させていくために欠かせないのが、学童職員の連携です。
いくら個々で意識したところで、学童保育の職員みんなが把握し協力する体制ができていないと持続しません。

例えば、子どもの受け入れとお迎え対応。出席したのを確認した職員が子どものお迎えを対応するとは限りませんよね。また、1人の目から見た子どもの姿よりも、複数の目で見た子どもの姿の方が、その子の性格や個性は見えてくると思います。子ども1人1人の性格や個性、興味などを正確に捉えることで子どもにとって適切な環境作りや適切な関わり方も見つかるでしょう。

大切なのは、学童職員全員が情報共有し合い、協力しながら取り組める組織になることです。

そして、小学校や保護者の方とも、子どもたちの安全面や子どもたちの学びや成長を第一に協力し合える体制を作ることが重要になります。これは、運営指針にも書かれていますが、学童外部との連携を深めていくためには、まず学童内部での連携が取れていないといけません。

こうした体制を整えていく事も、学童保育の環境作りに置いて欠かせないことです。

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学童保育の環境作り まとめ

1,子どもが自主的に取り組める
2,子ども1人1人の思いや行動が保障できる
3,学童支援員は子どもの安全確保とサポート役
4,学童職員の連携と学校や保護者との連携

運営指針に書かれている言葉を、実際に形にしていくのは非常に難しいと思います。今回の記事は、実際に学童保育の改革をやってみた、実践を踏まえた内容です。大変だと感じるかもしれませんが、確実に子どもたちの姿として結果が見えてきます。

「学童はただ預かればいい」「学童は教育ではない」などの世間的なイメージがあるかもしれませんが、私はそうは思いません。
運営指針に書かれたことを実践するには、専門的な知識が必要ですし、学童で体験する遊びや生活すべてが子どもたちの学びに繋がっていると思っています。そういう意味では、立派な教育者であり、むしろ子どもたちの人生の基盤になる土台部分に影響を与える重要な職業ではないでしょうか。

学童支援員の専門性や子どもにとって学童が必要な学びの場でもあるということを、より多くの方に知って頂ければと思います。
日々、学童での実践を記事にしていますので、読んでいただけると嬉しいです!!

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