異年齢保育 とは?具体的な実践例やメリットについて紹介!

異年齢保育 ってどういうこと?

保育士をされている方は、詳しいかもしれませんが保育園に子どもを預けている保護者の方にとっては、年齢別保育と異年齢保育との違いが分からない方もいらっしゃると思います。
子どもを預けている保育園が異年齢保育をしているけど、異年齢保育ってそもそも何?どんなメリットがあるの?そんな疑問をお持ちの方にぜひ読んでほしい記事です。

私の勤めている保育園も異年齢保育をしていますので、具体的な実践例を交えて紹介します!

異年齢保育とは?

まず始めに、異年齢保育について説明します。

なんとなくイメージは湧くかと思いますが、「異なる年齢の子を一緒に保育する」ということです。
例えば0歳と1歳が同じ保育室で過ごしていたり、3歳~5歳の子どもが同じクラスで生活したり、年齢で分けるのではなく、学年の違う子が一緒に生活や活動をしていることを異年齢保育と呼びます。

私たち日本人とっては、学校や幼稚園など学年別が主流ですよね。1学年違うだけで、敬語を使ったり上下関係が厳しかったりが当たり前でした。しかし、近年では異年齢保育もどんどん増えてきて年齢に捕らわれずに、子ども1人1人の能力や個性、性格を重んじるようになってきています。

小学校では、まだまだ学年別が主流ですが、都会の有名な私立小学校では異年齢に力を入れていたり、海外の教育レベルの高い国では、異年齢が当たり前だったりするのです。今現在の日本の教育は、これまでの教育から変化しようとしている段階にあります。

異年齢保育と学年別保育

なぜ、異年齢保育が増えてきたり、教育レベルの高い国では学年別ではなく異年齢保育が当たり前なのでしょう?

それは、学年に捕らわれないことで、子ども1人1人の理解度や習熟度に合った教育が受けられることが重視されているからです。
また、異年齢の子ども同士の関わり合いが、子どもたちの学びに繋がることもメリットと言えるでしょう。

学年別のデメリット

日本の教育が学年別で、その教育を受けてきてどうでしたか??

私たち保育士の目線で見ると、年齢別で分けられるのはかなり酷な事だと感じます。
例えば、4月生まれの子どもも3月生まれの子どもも12カ月も離れているのに、同じ学年で扱われますよね。
3月生まれの子は次の学年の4月生まれの子と1カ月しか差がありません。それなのに、12カ月も離れた同じ学年の4月生まれの子と比べられる訳です。

12カ月の差を保育園の子どもで言うと、寝返りと歩き回るくらいの差です。扱う言葉も12カ月ではかなりの違いがありますし、指先を使った食事やお絵描き、ハサミなどもかなりの差があります。

それでも、4月生まれの子と、同じお面を作ったり、運動会で競い合ったりしてかなくてはいけないのです。

日本の学年別の教育スタイルは、3月生まれにとってはかなり不利だということが分かりますよね。
実際、「3月生まれは4月生まれに比べてネガティブで自己肯定感が低い」という研究結果もあるくらいです。

そして、日本の教育はどんなに勉強についていけていなくても、学年は上がって行きますよね。
1年生の算数でついていけなくなった子でも、2年生では2年生の算数を習います。それが中学3年生まで続いていき、一度でもついていけなくなると追いつくのはかなり厳しいのが日本の教育の実態です。

異年齢保育のメリット

異年齢保育は上記で説明したように、年齢に捕らわれずに、子ども1人1人の能力や個性、性格を重んじる保育です。「5歳だからハサミで曲線を切らせる」「3歳だからハサミで直線を切らせる」ではなくて、直線のもの、曲線のものを子どもが自分で選ぶことが出来るようにしています。学年よりも、子ども1人1人の発達段階を優先しているということです。

異年齢保育の1つ目のメリットとして、子どもの発達に適しているからこそ、子どもが自ら取り組もうとする姿が増え意欲的になります。そして、発達にあったものを十分に体験できることで、苦手でできないままの物が少なくなります。

また、異年齢保育では年の離れた子と触れ合う機会があるため、上の子の遊びに混ざって刺激を受けたり、教えあったりする姿も多いです。年が上だから出来るという訳でもなく、子どもの興味によっては5歳の子よりも3歳の子の方が上手にできる場合もあります。

例えば、ある3歳の子が独楽回しが上手にできても、同じ3歳の他の子にはできない時に、一緒に楽しめるようになるまでに1年~2年ほど待たないといけないかもしれません。しかし、異年齢保育で5歳の子と一緒に過ごしていたら、独楽回しは5歳の子に混ざればいつでも楽しむことが出来る訳です。

 

異年齢保育の2つ目のメリットは、学年が違う子同士での関わりで得るものが多いということです。

異年齢保育のデメリットについては、ほとんど感じませんが、強いて上げるなら複数担任で3~5歳の子を見る時の保育士の連携や、月案など学年別で処理しなければいけない書類などでしょうか??

とはいっても、学年別で1人担任で子どもたちを見ることの方が絶対大変ですし、子どもたちにとっても異年齢保育の方が絶対良いと思うので、デメリットとは感じません(笑)

小学校に行った時に困らない?

異年齢保育のことを知ると、「小学校が学年別だから小学校に上がった時に困るのでは??」と思いませんか?

実際にこの質問は、保護者の方から最も多い質問だと思います。

結論から言うと、学年別で保育を受けた子よりも異年齢保育を受けた子の方が、小学校以降で伸びる可能性が高いです。
それは、上記でも書きましたが学年別の保育では、遅生まれの子はずっと不利な状況に置かれていますよね。そのため、小学校に行った時に早生まれの子が伸びて、遅生まれの子がついていけなくなる可能性が高いです…。

そして、異年齢保育の中で自分の発達に適した遊びや活動を選択し、十分に体験を積み重ねることで、小学校入学前には、早生まれ遅生まれの差が感じられないくらい出来ることが増えています。

保護者の方が心配されるのは、授業中に落ち着いて座っていられるだろうか?勉強についていけるだろうか?といったことが多いようですが、小学校就学に向けて文字や数に触れたり、椅子に座って先生の話を聞いたり、午睡時間が短くなったりなど保育園側でも5歳児だけで活動する時間を作る、小学校入学を見据えた工夫をするなどしています。

保育士目線で保護者の方に伝えたいのは、無理に子どもに詰め込もうとするよりも、子どもの発達に合った遊びや活動を十分にさせてあげる方が、結果的には伸びるということです。

異年齢保育 まとめ

 

・学年の違う子が一緒に生活や活動をする保育
・子ども1人1人の理解度や習熟度に合った教育が受けられる
・子どもが自ら取り組もうとする姿が増え意欲的なる
・学年が違う子同士での関わりで得るものが多い
・無理に子どもに詰め込むよりも、子どもの発達に合った遊びや活動を十分にさせてあげる方が、結果的には伸びる

今回は、異年齢保育についてまとめてみました。
私の勤める保育園では、0~1歳児クラス、2歳児クラス、3~5歳児クラスの異年齢保育をしています。
さらに、保育園内は割と自由に行き来できるため年齢の違う子同士で関わる場面はかなり多いです。

そんな日々の中で、教え合ったり助け合ったりしながら過ごしています。そして、私たち自身、同学年と関わるのは学生時代だけで社会に出たら年の離れた人と仕事をしますよね。子どもたちの将来を考えると異年齢の中で自分を発揮し、他者と関わっていく力を養うことの方が理にかなっているのではないでしょうか。