子どもの主体性 を育む保育。実践例を踏まえて解説します!

子どもの主体性 を育む保育は、保育所保育指針にも記されており、本来の保育のあるべき形です。

しかし、日本の保育は戦後の教育体制からなかなか進歩がなく、海外に比べると教育が遅れているのが現状です。そして、保育所保育指針にも「子どもの主体性」というワードは記載されているものの、保育士の配置基準や、保育園の園舎の作りなどが原因で、保育の中で「子どもの主体性」を実現できている園は、少ないです。

ここ最近になってようやく、日本の乳児教育が重視され教育の在り方が変化しつつあります。

今回は、「子どもの主体性」を育む保育を実現するためのポイントをまとめ、自身の学びを記録することで、現在保育でお悩みの方の参考になれればと思っています。今から紹介する内容は、保育の大先輩であり、恩師でもある藤森平司氏から学ばせてもらったことが土台になっています。

時代が進み、社会に必要な人材(能力)が変化

時代が進むにつれ、社会に求められる能力は変化していきます。AIの発展により、ロボット化や自動化が進み、これまで必要とされていた労働者がいらなくなりました。これからの時代は、これまで存在していた仕事がなくなっていき、新しい仕事が生まれると言われています。

新しい仕事で例を挙げると、YouTubeInstagramTikTokなどこれまで存在していなかった職業が生まれていますね。

このように、時代が変わることで、社会に必要な人材(能力)が変化し、それに伴って教育も変化しているのです。

これからの時代、社会で必要とされる能力は具体的にどんな能力でしょうか?

社会人基礎力の高い人材

社会人基礎力とは、職場や社会で活躍するために必要な基礎的な能力のことで、「前に踏み出す力」「考え抜く力」「チームで働く力」として12の要素からなる3つの能力を経済産業省が定義しています。

経済産業省「人生100年時代の社会人基礎力」

グローバル感覚・多様性のある人材

グローバル化にともない、国や文化、伝統、言語などの違いを超えて活躍していける人材が必要。

マネジメント能力のある人材

誰かに指示されてから動くのではなく、自分で考え行動できる力が必要。また、1つの目標に向かって他者と協力しチームで取り組んでいくことも重要視されており、社会で活躍していくためには、チームをマネジメントする力も必要です。

クリエイティブな人材

発想力や想像力などこれまでなかったものを生み出したり、新しいものを作り出したりする能力が必要。そのためにも、物事を結びつけることができる、物事の本質に気づく能力も必要になります。

粘り強く、課題を解決することができる人材

物事を成していくためには、あらゆる課題を解決していく力や粘り強さが必要。

 

これからの時代に社会で必要な能力はまだまだ他にもあると思いますが、この辺にしておきます。

社会に必要な人材を育てるために教育も変化

これからの時代に社会で必要とされる能力を身に付けていくためには、教育も変化しなくてはいけません。

ここ最近では、教育が見直され乳児期の教育が重視されるようになりましたが、海外に比べると日本は何十年も遅れてしまっているのが現状です。

これまでの日本の教育は、大人が子どもに教え込むスタイルが主流で、一斉に同じカリキュラムに取り組み、その中で成績が良い生徒や大人の指示に従順な生徒が優秀とされてきました。それは、上司の指示に従順であり、知識豊富な人材が社会に必要だったからです。

しかし、AIの発展により労働者がロボットに変化し、AIにできないことが求められるようになりました。

大人の指示に従順に従い、知識が豊富なことではなく、自分で考え抜き、自ら行動できることが必要で、「子どもの主体性」が重視される根拠です。

子どもの主体性の捉え方

冒頭で書いたように、保育の大先輩であり恩師でもある藤森平司氏は、何十年も前から「子ども主体の保育」を実践されており、全国各地で講演されてきました。ここ最近になって、ようやく日本全体が藤森平司氏が以前から言っていた形に近づこうとし始めた感じです。

本来、「子どもの主体性」という言葉は、保育所保育指針にも記されていましたが、具体的な保育方法は記されていないため、園によって様々でした。

「子ども主体で遊ばせています」と宣伝しつつ、実際の保育内容は大人が決めた活動を子どもたちに一斉に取り組ませ、終わったら飴を配るといった保育をしている所を聞いたことがあります。でも、飴をもらえなくても、子どもたちはその活動に取り組むのでしょうか??

「子どもの主体性」の考え方と捉え方について私が学んだことをまとめます。

子どもに選択権があること

保育の活動や遊びの玩具や相手、食事の量やトイレのタイミングなど、あらゆる部分で子どもが選択できることを保障することが大事です。これこそが、子どもの主体性を育むために最も重要なポイントで、保育の中に子どもが選択できる場面を増やさなくてはいけません。

しかし、全てを子どもに選択させればいいという訳ではないです。全てを子どもに選択させ任せるのは、ただの放任と同じになってしまいます。

保育士は、子どもの発達を理解し見極め、子どもに必要な体験をさせてあげることが役割です。
子どもに選択させることは重要ですが、「するか」「しないか」の2択では、したくない子は体験しないままにもなりかねません。
「どっちをしたいか?」など、選択範囲は大人が設定することで、子どもの成長にとって必要な体験をさせてあげる事ができます。

子どもが選択する場面は、保育の活動だけでなく、保育園生活のいたるところに存在します。子どもが自ら遊びを選ぶことが出来る環境を作ったり、食べる場所や食べる量を選ぶことができるようにしたりと、子どもが選択できる場面を増やすことで「子どもの主体性」を育むことができるのです。

子どもの主体性を育むためには、保育士のスキルが重要

保育を深め学び続けていくと、自分自身の保育スキルを高める必要性に気づきます。

・子どもに選択させる時にどうしたら子どもたちが興味を持ってくれるのか?
・子どもがやりたいと言ってくれたことを実現するために、臨機応変に対応できるか?
・子どもがやりたいことを、いかに安全で怪我がないようできるか?
・子どもがやりたいことに介入しすぎて、大人主導になってしまってないか?
・やりたくないという子に、どうやって必要な体験をさせてあげられるか?

子どもの主体性を実現するためには、いかに子どもが自ら取り組もうとするきっかけを作れるか子どもへの声掛けの仕方や適切な距離感がとれるか子どもの意見は尊重しつつ、伝えるべきことは伝えるなどの線引きができるかなど保育士として自分自身が学び、スキルアップしていかなくてはいけません。

私の保育士1年目の時は、子どもと一緒に遊ぶことを楽しんでしまって周りが見えていなかったり、自分がやりたいことを優先してしまっていたりすることが度々ありました。保育を学んでいくと、保育士の役目は常に裏方であることが大事だと感じます。常に子どもを中心に考え、保育士は裏方として子どもを安全に見守りながらサポートする。それでありながら、遊びが発展しそうな仕掛けを環境に用意したり、子どもが自分で気づきそうな声掛けをしたり大人の意図は保育の中にさりげなく組み込みます。

保育士としての引き出しが増え、子どもの発達を見極めることができるようになり、保育士としてのスキルが高まっていくと、自分の意図通りに子どもの遊びが展開していくことも増えていきます。

そのため、すごいなと思える保育士さんは、子どもたちの行動を制限しなくても、ねらい通りに子どもたちが動いていました。

私は日々、子どもと関わる中で、子どもの行動を予想して意図を持って環境を作ったり、声掛けをしてみたりしますが、まだまだ失敗だらけです。
しかし、藤森平司氏に、色々と模索しながら試行錯誤している保育士は、質が高い保育士だと言えると教えてもらいました。

これからも良い保育を模索し試行錯誤し続けたいと思います!

子どもの主体性を育むための具体的な保育実践

子どもが選択できる場面作り 5つの例

・麦茶と牛乳どちらか選ぶことができる。

・おやつは、1品だけでなく2品以上あり選ぶことができる。

おやつを選ぶ子ども

・保育室は区画を分け、子どもが遊ぶものを自分で決めることができる。

保育室

・保育の活動も2つ以上の候補があり、その中から選ぶことができる。

・給食は食べる量を選ぶことができる。

配膳中の子ども

こういった子どもが選択できる場面をいたるところに用意しています。クラス分けは縦割りの異年齢児保育で、複数の保育士でチームで保育することで、選択肢を複数作ることができます。

保育士の意図を組み込む

子どもの発達に合わせた玩具を置き発達に合わせて入れ替える。移行時期には、玩具を年度初めの物に戻すことで、次のクラスの玩具が発達に合ったものになるようにします。また、子ども同士の関わりを重視し、子ども同士の関わりが生まれそうな環境を作ります。発達が上の子と関わる機会も作り、見て真似したり、教え合ったりなど子ども同士の関わりから学ぶことを重視しています。

子どもに文字に興味を持ってほしい時には、手紙でやり取りができることを子どもたちに話したり、紙芝居や絵本の中で紹介したりします。また、あいうえお表とポストを用意し、先生から子ども宛ての手紙を入れるのもいいかもしれません。このように、強制的にお勉強の時間を作るのではなく、子どもがどうすれば興味を持てるか??を考え、工夫を凝らすことに努めます。

ポスト

さりげない声かけにも保育士の意図があります。例えば子どもたちが虫探しをして遊んでいる時に、図鑑を見て虫の名前や特徴を知ってほしいなと思ったら、トノサマバッタを見つけた子に「トノサマバッタじゃん」とは言わずに「すごいね~何の虫?名前分かる?」と言ってみる。また、「何か名前がわかるものないかな~?」と考えるそぶりを見せると、「あ!図鑑」と気づく子がいるかもしれません。

保育の部分的な例ですが、このように子どもが自分で気づいたり、遊びが発展したりするきっかけを作ることを意識しています。

子どもとの距離感

子どもの主体性を育む保育は、子どもとの距離感や関わり方が重要です。「子どもの主体性」を重視するあまり子どもと距離を取りすぎると放任になりかねません。私が学んだことは、子どもの発達や特徴を良く知ることが大事で、発達に合わせて距離感が変わるということです。

そして、保育士の役目として子どもの安全は守らなくてはいけません。たたく・蹴る・噛みつくなど相手を傷つける可能性のある子は、いつでも止められる距離感で見守ることが必要です。

また、「子どもの主体性」を育む保育とは、初めから子どもと距離を取るのではなく、「主体的に活動していける」子どもに育てなくてはいけません。

そのために、0,1,2歳の乳児期に遊び込む体験を積み重ね、自分でできることを増やし、相手を傷つける行為ではなく言葉で話し合いができる子たちに育っていくように丁寧に関わっていく必要があります。

子どもとの距離感は、近すぎず遠すぎず、発達を見極め必要以上の介入はしないことが大切です。

子どもの主体性を育む保育で見られる子どもの姿

冒頭で書いたように、一斉教育のように大人から教え込まれる教育を受けた子と、子どもの主体性を育む教育を受けた子の姿はかなり違います。

私の勤める学童には、別々の保育園から上がってきた子たちが集まります。一斉教育上がりの子は、「大人に許可や指示をもらおうとする」「どうせできない、など諦めが早い」「遊びに飽きるのが早い」「感情を抑えられない」などの姿が見られることが多いです。子どもの主体性を育む保育上がりの子は、相手が誰であってもちゃんと自分の意見が言えることと、他人の意見も取り入れようとする姿が見られます。そして、自分がやりたいことを実現するために、あらゆる方法を模索して、やり遂げようとする姿が特徴的です。

学童で子どもたちと関わり、子どもの姿の違いを知ると保育園生活の重要性に気づくことができます。
「どうせ○○できない」という言葉を聞くと、自分の意見や思いが形にできる体験が少なかったのだろうと思ってしまいます。

しかし、小学生であっても「子どもの主体性」を育む保育方法と同じく、自分で気づくきっかけを作り、声掛けを工夫し、自分で選ぶことができる選択肢を与えることで姿は変わっていきます。これは、学童での実践を経て分かったことです。

保育園の実践と、学童の実践についても記事にしていくので見てもらえると嬉しいです。

子どもの主体性を育む保育 まとめ

1,子どもに選択権がある事が大事
2,環境作りや声掛け、子どもとの関わり方など保育士としてのスキルが重要
3,常に子どもを中心に考え、保育士は裏方の存在
4,子どもとの適切な距離感は子どもによって違う
5,保育によって、小学生の姿に違いがある
「子どもの主体性」をテーマに自分の学びをまとめようと書きましたが、長々とまとまりがなかったかもしれません。
これからの教育で、「子どもの主体性」は必ず重要になっていきますし、今回紹介した保育方法は、海外の先進国では当たり前に行われている部分もあるそうです。
保育士として、子どもたちの将来を本気で考え、より良い保育を常に考えていけるような保育士でありたいと思います。