保育園は楽しいのか?
保育士って業務も人間関係も大変そう…。
世間的にはそんな認識かもしれません。
この記事は現役保育士目線で、保育士になりたいと考えている方や現在保育士をされている方に向けて書いています。
私は、現在保育士として働いていて、保育の質と職員の働きやすさを追求している毎日です。そんな日々の中で私なりの学びをお伝えしたいと思います。
特に、保育園を変えたい!と思っている方にはぜひ読んでほしいです。
保育園は楽しいのか?
結論から言います。保育園は楽しいです!!
ただ、「業務が大変。人間関係がめんどくさい。」というのは私も感じます。
しかし、大変さや面倒くささを上回るくらいに保育を学び深めていくことが楽しいです。
もっと詳しく言うと、子どもと関わることや保育の業務が楽しいのではなく、保育を試行錯誤していくことが楽しいと感じています。
たまたま、保育士としての最初の勤め先が、レベルの高い保育園だったこともあり、世界の教育や乳幼児研究に触れながら考えながら保育する習慣が身についていきました。そんな環境で保育を深めれば深めるほど、子どもにとっての保育や保育士の重要性が理解でき、勉強したいという意欲が湧いてきます。正直、養成校で習ったことを実践するだけの保育をしていたら、「楽しい」と感じることはなかったはずです。
それだけ、保育士としての職業はネガティブな要素が沢山あります。
そのネガティブな要素を本音で紹介していきますね。そして、そのネガティブ要素を無くしていくために取り組んでいる実践も紹介していきます。
ひとまず、「保育園は楽しいのか?」という疑問の答えとしては、”保育を深めたい”意欲がある保育士は「楽しい!」と答えるのではないでしょうか。
保育園のネガティブ要素(リアル)
・業務が大変
→保育士の業務は大変です。なんと言っても仕事量が多いことが原因。子どもを見る(保育)に加えて、日誌や記録など事務的な仕事、行事の企画や準備、人前に出てのエンターテインメント、保護者対応。他の職業に比べて保育士1人に求められることが多いんです。事務処理だけの職業もありますし、イベント企画だけの職業もありますよね。そもそも保育園の仕組み的に、”保育士はなんでもこなせる”が前提になっているとしか思えません。
・制度的に無理がある
→保育士はなんでもできる人が前提になっていることも当てはまりますが、さらに、1人の保育士あたりが見る子どもの人数(配置基準)が深刻です。0歳児は保育士1人で3人。1歳児は保育士1人で6人。2歳児は保育士1人で6人。3歳児は保育士1人で15人。4~5歳児は保育士1人で25人。最近、4~5歳児が30人から25人に引き下げられましたがそれでも無理があるのが現状です。制度を作った人が保育を実践して見本を見せてほしいです(本音)
・モチベーションが続かない
→モチベーションの維持が難しい原因は、保育士はどれだけ頑張ったとしても個人の成果が変わらないことにあります。営業職では、ノルマ達成や成果報酬などがありますよね。しかし、保育園にはそれがありません。保育園単位でもどんな保育をしたとしても行政から評価される訳でもありませんし、同じ補助金額がもらえるのであれば、頑張るだけ損だと考える人が出やすいのではないでしょうか。
・身体的にも精神的にも疲れやすい
→子どもの相手は疲れます。1人の子どもの相手でも疲れるのに何十人も相手にしなければなりません。また、子どものペースに合わせたり、保育園の環境も子どもに合わせた設計になっていたりと身体的な疲労が溜まりやすいです。更に、子どもや職員、保護者など常に人を相手にしなくたはいけません。イライラする場面も多く気も遣うため、精神的な疲れも貯まりやすいです。
・保育士に対しての世間的な評価が低い
→世間的な評価が低いと感じる場面が多いです。そもそも、乳幼児教育に対する世間的な関心が低いことが原因で、小学校や中学校、高校、大学など教育者とは別に捉えられています。近年、乳幼児教育が注目されるようになってきて保育士の重要度も高まってきたように感じますが、”保育士は子どもと遊んでいるだけ”というイメージから脱却できていません。
5つのネガティブな要素を紹介してみましたが、読んでみてどのように感じたでしょうか。
これは、保育士として現場で勤めている身として本音で書いています。多くの保育士がそのように感じているはずです。
ネガティブ要素を見ると、保育園は楽しいはずがないと思ってしまいますが、実は改善することができます。
保育園は楽しい‼と感じるために
ネガティブ要素は工夫次第では改善できます。
実際に、働きやすい保育園や質の高い保育園も存在しますよね。私が新卒で勤めた保育園も保育の質も職員の質も高く、働きやすい保育園でした。
その保育園での経験を基に、現在努めている保育園の改革に奮闘中です。
先ほど紹介したネガティブ要素に沿って、改善策を紹介します。
・業務が大変
→昔ながらのやり方から変化することで大幅に業務を楽にすることが出来ます。
子どもの保育の仕方で言うと、昔は担任制が主流でしたが現代では複数担任が増えました。複数担任に変わるだけで保育士1人あたりの負担を減らすことが出来ます。日誌や記録についても、手書きをやめることや、記録の量を減らすことができますし、行事の在り方も変えることができます。昔ながらのやり方から脱却して新しい方法で取り組むことで、業務改善に成功している保育園は多いです。業務が大変な保育園は、施設長の考え方や変わることに抵抗がある場合がほとんどで、そんな話をよく耳にします。昔からやっていることが正解とは限りません。
・制度的に無理がある
→これも、担任制であれば絶望的ですが、複数担任制や異年齢児保育にすることで改善することができます。それでもまだまだ制度の改善は必要だと感じますが、子どもにとっても保育士にとっても複数担任制や異年齢児保育へ移行するべきです。
・モチベーションが続かない
→成果報酬や給与アップなどは難しいですが、保育士1人1人を評価する仕組みを作ることや、保育士が職場で必要とされる体験、達成感などモチベーションアップの方法は工夫次第です。個人的には、他園の保育を知る機会や、世界の保育を知る機会など保育士の視野を広げられることで、自身の保育への意欲に繋がると思っています。また、モチベーションを高めることだけでなく、モチベーションが下がる原因を無くすことも効果的です。例えば、職場の居心地が悪いとモチベーションの低下に繋がりますよね。職場の居心地を良くするためには、職員間の情報共有を見直したり、職員間の交流の機会を増やしたりすることで改善できます。実際に情報共有の見直しと職員間のイベント企画などは現在効果を感じている部分です。
・身体的にも精神的にも疲れやすい
→複数担任制や異年齢児保育にすることで、身体的・精神的疲れを軽減できます。また、NCT(ノンコンタクトタイム)のように保育に入らない時間を作ることも効果的です。私の園では、シフトの仕組みを見直すことで、保育士の休みを確実に消化できるようにしています。また、シフトを見直すことで、保育に余裕のある日を意図的に作る事もできるため、保育から離れて事務仕事や保育以外の仕事に集中できる日も確保することができるようになりあました。改善の余地はまだまだありますが少しずつ良くなっているのは確かです。
・保育士に対しての世間的な評価が低い
→世間的な評価は簡単には変えれません。しかし、保育園が目指している保育をしっかりと定め、保育の根拠を職員間で再認識していく作業をすることで一丸になって取り組むことができ、私たちの保育を保護者へ周知したり、SNSで発信することで保育に自信が持てるようになってきます。保護者が保育園の方針を理解してくれるのは保育士にとってはすごく喜ばしいことなのです。
紹介した内容は、現在の保育園で取り組んでいることがほとんどです。
毎日、試行錯誤が絶えませんが少しずつ良くなっているのは実感しています。特に、今年大幅に変化したと思う点は、職務分担にイベント企画係を設けたことです。イベント企画係が率先して食事会やボーリング大会、カラオケ大会などを企画してくれており、保育以外で交流する機会が定期的にあることで居心地の良さにも影響していると感じています。もちろん、自由参加型です。
そして、ネガティブ要素を改善することに加えて、「保育園は楽しい!」「もっと勉強したい!」と思えることがなによりも大事だと思っています。
そのためには、普段の保育の環境構成や子どもとの関わり方1つ1つに根拠を持てるようになることが必要です。最初に就職した保育園では、保育士1人1人が勉強したり職員同士で語り合ったりと、保育をもっと良くしようとする姿勢が当たり前になっていました。始めは、難しくついていくのが精いっぱいでしたが、周りの人たちに追いつきたい、役に立ちたいという気持ちがあったから楽しいと感じれていたのかもしれません。
園長先生を始め、ベテランの先生方が常に学びの姿勢を見せてくれることが保育園の文化を作っていくのではないでしょうか。
保育園は楽しいのか? まとめ
職業の中で、保育園は楽しいのかどうかと保育園のネガティブ要素について紹介しました。個人的には、保育を深めていくことはすごく楽しいと感じていますが、業務が大変さなど世間的なイメージ通りの点もあるのは事実です。1人の保育士の意見に過ぎませんが、多くの保育士さんが共感してくれることと思います。保育士さんが「保育園は楽しいよ!」と自信を持って言えるようにすることは出来るはずです。
保育士が働きやすく、子どもたちにとっても良い保育を提供できるような保育園を目指したいと思います。