協同性は、保育所保育指針の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)の3番目に書かれていますね。
子どもたちが育つ上で、身に付けていくべき能力とも言えます。
今回は、協同性とは何なのか?協同性を育むために保育士がすべきことは何なのか?について保育の実践付きで紹介したいと思います!
協同性とは?
友達との関わりを通して、互いの思いや考えなどを共有し、それらの実現に向けて、工夫したり、協力したりする充実感を味わいながらやり遂げるようになる。
協同性を育むために保育士がすべきこと
子どもたちの協同性が生まれるように、保育士はどうすればいいのでしょうか。
先ほど、大人が強制しなくても自然と生まれてくるような姿と書きましたが、放置してて良いという訳でもありません。
まず、協同性が生まれる為には、子ども同士が十分に関わり合うことが大事です。そして、子ども同士の関わりが深まるためには「相手を傷つけないこと」や「自分の気持ちや考えを表現できること」「相手の気持ちや考えに気づくこと」などを子ども自身が身に付けていく必要がありますし、保育士は「関わりが生まれる保育環境作り」や「子ども同士の関わりを広げる大人の対応」が必要ですよね。
協同性が生まれる保育環境作り
協同性が生まれるためには、子ども同士が十分に関わり合うことが大事で、子ども同士の関わりが深まるためには、「相手を傷つけないこと」や「自分の気持ちや考えを表現できること」「相手の気持ちや考えに気づくこと」を子どもが身に付けていく必要があると書きました。具体的には0~1歳児くらいの言葉で伝えられない子が、「たたく」「蹴る」「噛みつき」などで感情を表現しますが、次第に言葉が増えていくにつれて、表情や言葉で相手に伝えられるようになっていきますよね。同時に自分の感情を制御したり、相手の気持ちに共感して慰めようとしたりする姿も見られるようになっていきます。
こうした子どもの発達段階に合った環境作りが必要です。
1歳~2歳の頃には、物と名称がリンクしていくため言葉が増えていきますよね。だから、絵本は様々なイラストや写真が載っているものだったり、簡単な言葉とイラストがリンクしやすいものを置くのが望ましいです。
とは言ってもすべてそうしないといけない訳ではなく、保育者が発達段階を良く把握し、目の前の子どもにとって必要な環境が整っているか考える事が大事だと思います。
また、1歳後半~2歳にかけて「いやだ」「やめて」などの言葉で相手に伝えることができるようになるため、噛みつきや叩くのを堪えて感情をコントロールするようになっていきますよね。その時に、保育者が気持ちを代弁してあげる事や、表情と感情がリンクするような掲示物、絵本などが必要だと言えます。
自分の感情を知ることをきっかけに、相手にも感情があることに気づき共感することが出来るようになるのです。そして、気持ちが通じ合ったり共通の目的を持ったりし始め、2歳児頃くらいになると、大人と関わるよりも、子ども同士で関わることを好むようになっていきますよね。
そのため、2歳児後半頃から、ルールのある遊びを置いてみたり、おままごとや、ブロック、製作など子どもたちの遊びを充実させていくことが大事です。そして、遊びの中で共同で遊んだり、役割分担をしたりする体験を積み重ねることで協同性が育まれて行きます。
子ども同士の関わりを広げる大人の対応
環境では、子どもの発達に合わせて充実させることが重要だと書きましたが、実は、私たち大人も子どもたちにとっては環境の一部です。保育者の子どもとの関わり方もとても重要で、子どもの成長に大きく影響します。
協同性を育むためには、子ども同士の関わり合いが重要ですが、保育者のちょっとした声掛けや対応で子ども同士の関わりが広がったり、止めてしまったりする場合があるのです。
私たち大人がすべきこととしては、子ども同士の関わり合いを十分に体験させてあげることです。
そのためには、「子ども同士が関わっている時に変に介入しないこと」「子ども同士の関わりが生まれたり、発展するキッカケを作ること」が大事です。困っている子や上手くできない子などを見かけると、ついつい子どもに介入してしまいがちですよね。
しかし、そこで大人が手を差し伸べるのを一旦待ってみるといいかもしれません。
一旦待つことで、他の子が困っている事に気づき、助けてくれるかもしれません。また、困っている子自身が助けて欲しいと誰かを頼るかもしれませんよね。
どちらも、子どもにとっては貴重な体験です。大人が気づき介入することは、実はこうした子どもたちの成長する機会を奪ってしまうことになりかねないのです。
また、子どもたちが大人に「折り紙で○○を作ってほしい」「○○を描いてほしい」など持ってくることがありますが、「○○ちゃんが上手だよ!」と声掛けするだけでも、子ども同士の関わり合いが生まれますよね。私たち大人の声掛けや行動の前に、一呼吸置いて、子どものためにはどうしたらいいか?と考えてみると子どもの成長にとって良い関わり方ができるのではないでしょうか。
保育園で見られる子どもの協同性
「きれいにする」という共通の目的を持って、会話をしながらタワシでこする子やホースで水を流す子など役割を分けて取り組んでいました。きれいになった小人たちの色が薄くなっているため、上から着色。
焼き芋の時期が近づいてくると、先生たちが「もうすぐ焼き芋の季節だね~」と話しをします。
「焼き芋をするために何が必要だっけ~?」と問いかけると、「火!」「薪!」など子どもたちから返答が来ますよね。
そんな流れから、散歩で薪を集めに行った時の写真です。
収穫したタケノコは、保育園の園庭で湯がくためタケノコの皮を剥がしている瞬間ですね。
みんなで植えた野菜を収穫するまでみんなでお世話します。水やりは子どもたちの日課で「まだかな~」「大きくなってる!」など収穫できる日を待ちわびている姿も見られたり、5歳児さんが3歳児さんの水やりをサポートしてくれたりとクラスみんなで協力しながら取り組んでる活動の1つです。
異年齢児保育をしているので、5歳児さんを中心に3~4歳児さんも一緒になって教え合ったり助け合ったりしながら日々学んでいます。大人が指示を出せば、子どもたちを動かすのは簡単ですが、次は何をすべきか?どのようにしたらいいか?など子どもが自ら考えるキッカケにもなりますし、子ども同士で教え合ったり、助け合ったりと関わりの場面にもなったりしているのです。
協同性まとめ
2,協同性が生まれる為には、子ども同士が十分に関わり合うことが大事!
3,子ども自身が他者と関わる力を身に付けていく必要がある!
4,関わりが生まれる保育環境作りが保育者の役割!
5,子ども同士の関わりを広げるような大人の関わり方が重要!
日々、子どもたちと関わる中で私たち自身学びの多い毎日ですが、少しでも子どもにとって良い保育に近づけるように、職員みんなで保育を模索しています。