オープン保育という言葉を聞いたことはありませんか??
教育関係者の方であれば耳にしたことはあるかと思います。
オープン保育と聞くと「開放的?」「参観型?」などがパッとイメージとして浮かびませんか?
私の勤める保育園では、オープン保育をしているという訳ではありませんが、保育の考え方や保育方法に重なる点が多いです。
今回は、オープン保育についての簡単な解説と保育の実践を紹介したいと思います!
オープン保育とは?
「オープン保育」とは、職員全体で園全体の子どもたちを保育する保育。「私のクラス」、「僕の担任の先生」ではなく、「私たちの保育園」「私たちの先生」、職員から見れば「私たちの園児」という考え方です。
子どもたちは、どこで何をして誰と遊ぶかを自分で決めることができます。保育園はこうした子どもの決定権や、参画を保証する場で、子ども1人1人の欲求や子ども自身の個性を引き出すことが先生の役割と捉える保育です。オープン保育で子どもがどこで何をして遊ぶか選択できるようになると「すべての子どもを把握するなど不可能」だと思うかもしれません。こうした、課題や疑問を職員全体で乗り越える協力体制を作っていくことが、「オープン保育」の前提となります。
オープン保育 誕生の背景
70年代の西ドイツで「オープン」という概念が考案されました。障害児童特別措置に疑問をもつインクルージョン派(2)と子どもの身体づくり推進派 (3)が統合して発展してきたそうです。それにより「オープン園」の目指すところが、わけ隔てなくすべての子どもを受け入れることとされ、関わる全ての人々が参画可能なオープンな社会の基礎となる幼児教育を体現する場所とされました。
また、この子どもの参画という考え方は、1989年の国連総会で「子どもの権利条約」が採択されたことが背景になっていて、「参画」とは簡単に言うと企画や準備段階から子どもが関わって進めていくことです。
オープン保育の具体的な方法は?
担任制ではなく、子どもの選択制
毎朝の朝のお集まり時に、各先生からそれぞれの設定保育の説明がされ、子どもたちは自分がやりたいものをその中から選択します。
それぞれの部屋に特徴を持たせる
従来は、ごっこ遊び、お絵かき製作、ボードゲームなどのそれぞれのコーナーが各保育室に配置されていたが、部屋自体をごっこ遊びとボードゲームが出来る部屋。製作の部屋。ごろごろゆっくり過ごす部屋に分けた。
こうした保育を実現するために、職員全体の協力体制を作ることが必要になります。
子どもが選択肢、自由に部屋を行き来するため、どこに誰がいてどんな活動をしているのか?把握できなくなりますよね。保護者へ日中の子どもの姿を報告できない…というのも問題点として挙がると思います。
これらの課題を乗り越えるために、子どもがどこにいるか把握するために、部屋に入る前にマグネットを動かしたり、部屋別に今日の活動などの保護者発信をするなど、職員間で協力して取り組むことが必要です。
オープン保育について紹介しましたが、上記の内容は、ドイツで幼稚園の先生兼、ミュンヘン市教育スポーツ局保育視察担当者のベルガー有希子さんのブログを参考にしています。
オープン保育と見守る保育
さて、オープン保育についての紹介をしてきました。
冒頭に私の勤める保育園でも、重なる点があると書きましたが、私が勤める保育園は見守る保育(藤森メソッド)をしています。
① たてわりではない異年齢児保育
② 子ども主体の保育
③ ねらいに応じた選択制の保育
④ かかわりを大切にした保育
⑤ チーム保育(職員集団)
見守る保育は、この5つの柱に沿って保育する方法です。
”日本の教育は遅れている”という事実を藤森先生にお会いして初めて知り、脳科学に基づいた根拠や、人類の進化論、海外の保育研究や保育方法など、さまざまな視点から考え抜かれた見守る保育を学ばせていただいています。
日本の教育も現在、変化の真っただ中ですが以前から藤森先生が言われていた方向に進んでいっています。
そして、この見守る保育の中でもオープン保育については学ばせていただきましたが、子どもの主体性の尊重や、選択性、チーム保育など重なる点がすごく多いです。
そのため、見守る保育を学び進めていくと、オープン保育の保育実践と同じになる場面があります。
保育の実践紹介
私の勤める保育園で、オープン保育と重なる場面をいくつか紹介します。
まずは、子どもの選択制という点についてです。子どもたちが選ぶことのできる機会を保育の中に沢山用意していて、食事では、何をどれだけ食べるか?飲み物は牛乳とお茶どちらがいいか?の選択だったり、活動面では、外遊びと室内遊びの選択や製作物はどの難しさに挑戦したいか?などといった選択ができるようにしています。そういった選択肢を作るためにも、子どもの発達面を重視し発達に適した環境作りにも力を入れています。
それぞれの部屋に特徴を持たせるという点については、「絵本を読む部屋」「製作をする部屋」と部屋ごとに遊びを分けるほどまではオープン保育ではありません…。施設の規模的に、遊びごとに部屋を用意するのは厳しいからです。
クラス分けは0~1歳児のクラス、2歳児クラス、3~5歳児クラスといった異年齢でのクラス分けにしていて、部屋の中を遊びごとに区画分けして子どもが遊びを選択できるような環境を作っています。
子どものお仕度をする場所は、0~5歳までが共有する廊下やテラスです。また、トイレやランチルーム、園庭も共有スペースになっているため、テラスやトイレ、ランチルームや園庭は子どもたちは子どもたちが自由に行き来しています。
そのため、職員はクラス内だけでなく、自分のクラス以外の子も見るように連携して保育することが必要です。園全体でチームとして保育することで、0~1歳児に3~5歳児が絵本を読んでくれたり、一緒に遊んで見本になってくれたり、ランチルームからクラスへ連れて行ってくれたりと年齢を超えた関わりが多く見られます。
オープン保育と見守る保育では、考え方が似ていて重なる点が多いです。子どもの選択肢を重視したり、年齢を超えた関わりを重視したり、職員間の連携を重視したりしながら保育をしていると、子どもの育ちが目に見えて分かります。日本の昔から染みついた教育スタイルから脱却し、オープン保育や見守る保育へと移行していくのは大変です。また、園によって、部屋の数や職員数なども違うためすべての園が同じようにできるとも限りません。
そのため、子どもを第一に考え日々保育を模索し続けることが何よりも大事なことだと思っています。