選択性 って保育の方法を聞いたことありますか?
実は、これからの時代を見据えた保育の方法で「 選択性 」がかなり重要です。
今回は、これからの時代を見据えた保育や教育について、そしてなぜ「 選択性 」が重要なのかの理由について、保育の実践付きで紹介したいと思います。
選択性がこれからの保育には必要
現在、教育が激的に変わっていることをご存じでしょうか。
大学のセンター試験の内容、高校や中学、小学校の教育方法など、それに伴い保育園の保育方法も変わりつつあります。
簡単に説明すると、大人が子どもに向けて一斉に授業するスタイルから、子どもの個々のペースや個性、興味、能力を引き出す方法へと変化しているのです。
その変化の理由は、これからの時代に人間が社会で求められる能力が変わったから。
この点について詳しくまとめた記事もありますので、まずはこちらからお読みいただけるとありがたいです。
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こらからの時代の教育で、鍵になってくるのは「子どもの主体性」です。
大人に指示されて行動する子ではなく、子どもが自ら考え自ら行動したり、物事に自ら関わっていったりするように育てていかなくてはいけません。
そして、この「子どもの主体性」を育んでいくためには、保育の中で子どもに選択権があり、子どもが自分で選び自分の行動に責任をもって取り組んでいけるような「 選択性保育 」が重要なのです。
選択性の保育実践紹介
選択性が重要なことは分かりましたが、では保育の中で子どもに選択権を与えるにはどうすればいいのでしょうか。
私の勤めている保育園で子どもが選択している場面を紹介していきます。
食事の場面での選択性
何をどれだけ食べるか、何をどれだけ飲むかの選択ができるようにしています。
赤ちゃんだから選べないだろうと決めつけずに、「どっちを食べる?」「いっぱい?ちょっと?」など声かけして聞いてみることが重要です。もちろん理解できないこともありますが、こうした体験の積み重ねで言葉と行動がリンクし、自分で選べるようになることに繋がっていきます。
保育園のおやつでは、2種類以上の飲み物と、数種類のおやつを用意。給食でも子どもが選択できる機会を増やすために、多めに注いだお皿や少な目に注いだお皿を用意したり、食器も子どもが選べるようにしたりとあえて子どもが選択できる機会を増やしています。
3~5歳児クラスはバイキング形式の給食で、5歳児さんが中心になって配膳してくれます。こうした給食の時間は、「野菜少なくして」「ごはん大盛り」など言葉のやり取りも見られ、子どもが選択するだけでなく、量や数、言葉、表現、気遣いなど様々な力が身についていく場になっているのです。
保育活動での選択性
「今日は鬼のパンツを作ります!」など一斉に同じ活動をするのではなく、製作か外遊びか、先に製作をやるか、後で製作をやるかなど、子どもが選択できる選択肢を考え、子どもたちに提示します。
また、製作物でも〇歳児だからこの作り方と決めつけてやらせる訳ではありません。簡単・普通・難しいなど難易度も選択肢として選べるように見本を作って飾るなど、選択肢が作れそうな部分には選択する機会を作っていきます。
保育室内の環境も重要です。子どもの選択ができるように、ブロックや製作、ゲームパズル、音楽、ままごと、科学などその場所に行くと、その遊びができる道具や玩具がある区画作り、作りかけの塗り絵や作品が置いて置ける場所も用意しています。
そうすることで、「今日はここまでにして明日続きをやろう」という選択肢が増えますよね。
人との関わりでの選択性
保育園での”関わり”は子どもの学びにとってすごく重要です。そして、その関わりの中にも選択肢があります。
私の勤める園は、0~2歳児、3~5歳児の異年齢児保育です。5歳だから5歳児と一緒に遊んだり、一緒に取り組んだりする訳ではありませんよね。同じ5歳児よりも、4歳児の方が生まれた日が近く発達が近い場合もあります。
クラス分けや子どもの年齢に拘らず保育園全体を子どもたちが行き来し、誰と一緒に過ごすのか、誰の側に居たいのか選ぶことができることで、子ども同士の関わりがより深く、学びにも繋がるのです。そのために、保育士は「○○クラスの先生」ではなく、「みんなの先生」であり、保育園に通うすべての子どもを職員みんなで保育するチーム保育をしています。
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選択性 の保育で育った子どもの姿
以前勤めていた保育園でも、選択性 を重視した保育をしていましたが、その頃に途中入所で5歳児がクラスに加わりました。
選択性 を重視した保育で育った子どもたちは、遊びも活動もトイレや食事も自分で考えて動く子ばかりです。
そんな保育園に途中入所してきた5歳児は、保育園に慣れていないのもありますが、「どっちにする?」「どうしたい?」「どう思う?」と言う問いかけをしても「自分の意見を言えない」のです。
最初は人見知りなのか?その子の性格なのか?と思っていましたが、観察していて気付いたのは、大人に次の行動を指示してもらったり、大人に自分の行動を決めてもらったりしないと自分では決断できないことが分かりました‥‥。
前の保育園では、決められた活動を大人の指示に従って取り組み、食事も配られた量を食べ、トイレも大人の指示で行ってたみたいです。
その時に、この「 選択性 」が保育の中で重要なことに改めて気づきました。
そして、現在保育園に勤めながら学童にも勤務することがありますが、地域の4~5園の保育園を卒園した子たちが集まってきています。そこでも、「トイレに行って」と指示しないとお漏らししてしまう子がいたり、大人が付きっきりでないと遊べない子やどうしていいか分からずに動けない子がいたりします。
選択性 保育上がりの子は、慣れない学童でも生活の流れを把握して、今すべきことを考え、集団生活のルールの中で自分のやりたいことを見つけ取り組むことができ、大人の手がかかりません。
そういった子どもの姿を見る度に、保育園の頃に自分で選択し、自ら考えて行動する体験を積み重ねることの大切さを痛感します。
【学童編】保育実践
学童の話を少し出しましたが、学童でも子どもの選択性は重要です。
まず、学童という場所は小学生の生活と遊びの場であり、本来は学童の集団生活のルールを守りながら子どもが自由に活動できなければいけません。
しかし、実際は大勢の子どもたちを少ない支援員で見ないといけないため、大人が指示を出し一斉に子どもを動かすような学童が多いのが現状です。
私の勤めている学童も以前はそうでしたが、保育園と同じく 選択性 を取り入れ、「子どもの主体性」を重視した学童保育方法に職員みんなで変えていきました。
子どもたちの姿も激変し、子どもの満足度、遊びの充実度、学びの深さが伸び、良くなったと実感しています。
学童の実践についても記事にしていますので、学童に関係のある方はぜひ読んでみてください!!
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まとめ
2,保育の中に子どもが選択できる機会を作ることが大切
3,選択性保育を受けた子どもとそうでない子の差が小学生になった時に顕著になる!
子どもの主体性が大事だと他の記事でも書いてきましたが、子ども主体の保育を実現するには”選択性”が必須になります。