「学童とは」について、学童支援員をされている方や、学童に関わる方に向けて学童保育の基礎的な部分をまとめた記事です。
どうやって運営するべきなのか? 勉強は教えるべきなのか? 支援員の役割は何か?
など、悩まれる方は多いのではないでしょうか。
学童は、運営指針に則って運営していかなくてはいけませんが、運営指針の内容はアバウトで難しく感じる人も多いと思います。むしろ、運営指針ってなんだ?と言う人も多いのではないでしょうか?
運営指針の内容を良く理解し、それを基に考えていければ、適切な保育の在り方が見えてきます!
今回は、学童保育の運営や支援員として働く上で押さえておきたい要点をできるだけ簡潔に分かりやすくまとめました。
学童とは?そもそも何?
まず、御存じだとは思いますが、「学童」「学童保育」「学童クラブ」など呼び名が複数ありますが、正式名称は、放課後児童クラブで、事業の名称は、放課後児童健全育成事業で児童福祉法や社会福祉法などの法律に基づいて運営しています。
学童保育が始まった経緯としては、昭和30年頃から母親の就労の増加に伴い、放課後の小学生の安全を目的として広まっていきました。
学童には、保育園と同じように、放課後児童クラブ運営指針と言う指針が存在します。その指針に沿って運営するように定義され、保護者会が運営していたり、保育園などの法人が運営したりしているのが現状です。学童の運営指針を持っていない方は、安くで手に入れられますよ!(改訂版 放課後児童クラブ運営指針)
運営資金は、国の補助金と利用者からの徴収金が主で、補助金を受け取るためには、施設の広さと子どもの人数、職員体制、開所時間、会計管理など基準を満たしていることが必要です。そのため、年に1回程度、管轄の行政が適切な運営をしているか監査を実施しています。
学童には、都道府県知事が行う研修を修了している者1人以上が義務付けられており、その条件を満たしていれば補助員(研修を修了していない者)でも従事することができるとされています。誰でも良いという訳ではなく、研修の終了証を受け取っている人が、どの学童にも1名以上はいるということですね。
学童保育の役割は?
これ↑は、運営指針を抜粋したものです。指針ってなんでこんなに難しく書くのでしょうね(笑)
ここで大事なのは、「遊び及び生活の場」「子どもの最善の利益」「学校や地域の様々な社会資源と連携」「子育てを支援」というワードです。
簡単に言うと、子どもが安全に安心して過ごすことができる遊びの場と生活の場であり、子どもの状況や発達段階を考慮して子どもの育ちを支援すること。また、子どもの人権を尊重し大人ではなく、子どもの利益を優先すること。そして、学校や地域、保護者と連携して子育てを支援することが学童保育の役割です。
学童とは「子どもの遊びと生活の場」
学童の運営で押さえておきたい点が、学童とは、子どもの遊びと生活の場だということです。
これ↑は運営指針の抜粋です。
生活の場としてふさわしい環境を整えることとは、衛生面と安全が確保された手洗い場や台所、トイレ、おやつや食事、自主的な学習、団らんや休憩、静養スペース、個別のロッカー下駄箱などの備品を揃えて、支援の提供に必要な環境を用意することが必要とされています。
また、子どもの発達段階に応じた主体的な遊びや生活とは、年齢の異なる子どもたち一人ひとりの感情や意思を尊重することが求められ、学童で生活する上での共通ルールや見通しを持って過ごせるような工夫が必要とされています。
こういった点を踏まえると、「宿題を強制的にさせる」「大人が決めた遊びや活動に強制的に参加させる」「特定の子だけが得する保育内容」など、こんな学童になってはいけないということです。そのため、宿題の取り組ませ方にも工夫が必要ですし、大人が保育を決定するのではなく、子どもの意見が基になって活動を決める工夫が必要です。
私の勤める学童でも、「宿題」と「子ども主体の活動」に着目して、支援員みんなで保育内容を考え作り上げてきました。別記事で詳しく紹介していますので、保育内容についてはそちらを呼んでいただけるとありがたいです。
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学童とは「子どもの最善の利益」を考慮しなければならない
子どもの最善の利益とは、世界中の子どもたちが持つ権利を定めた条約のことです。
生きる権利や、成長する権利、暴力から守られる権利、教育を受ける権利、遊ぶ権利、参加する権利など子どもが持っている様々な権利が定められています。弱くてただ守られる存在だけでなく、1人の人間として子ども一人ひとりが尊重されることが大事です。
差別の禁止
全ての子どもは、子ども自身や親の人種や国籍、性、意見、障がい、経済状況、などどんな理由でも差別されず、条約の定めるすべての権利が保障されます。
子どもの最善の利益(子どもにとって最もよいこと)
子どもに関することが決められ、行われるときは、「その子どもにとって最も良いことは何か」を第一に考えます。
生命、生存及び発達に対する権利(命を守られ成長できること)
すべての子どもの命が守られ、もって生まれた能力を十分に伸ばして成長できるよう、医療、教育、生活の支援などを受けることが保障されます。
子どもの意見の尊重(子どもが意味のある参加ができること)
子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮します。
子どもの権利条約と言われると、難しく感じるかもしれません。
・学童の子どもが平等に扱われているか
・行事や活動に対して意見が言え尊重されているか
・学童の取り組みで子どもの安全と成長が保障されているか
・大人の都合で決定するのではなく、「子どもにとって良いこと」が大事にされているか
などを考え工夫しながら保育することに努めることが大事です。
学童とは「保護者や学校、地域や他の施設と連携」が重要
子どもの安全面や成長を保障するためには、学童と保護者、保育園、学校、地域との連携が必須です。
・子どもの出欠席についてあらかじめ保護者からの連絡を確認しておく
・子どもの状況について家庭と学童で情報を共有する
・情報交換や情報共有、職員同士の交流によって学校との連携を積極的に図る
・学校の校庭、体育館や余裕教室を利用できるように連携を図る
・保育所、幼稚園等と子どもの状況において情報交換や情報共有を行う
・地域での遊びの環境づくりへの支援も視野に入れ、必要に応じて保護者や地域住民が協力しながら活動に関わることができるようにする
これ↑は指針の抜粋です。
学童に求められる役割として、子どもたちの安全や成長、遊びや生活の場を保障するために、保護者や保育園、小学校、地域などと連携することが大事です。
私の勤める学童では、保護者へ学童保育の方針や考え方の発信、保育園児への学童解放、地域イベントへの参加などに積極的に参加するようにしていますが、連携は相手側の都合もあるため、難しい点でもあります。
外部との連携を進めていくためには、自ら発信していくことが大事で外部と協議するために、学童としての方針や考え方をしっかり説明できなくてはいけません。そのため、方針を固めたり、あらゆるマニュアルを作成し実践したりなど学童保育の基盤が固めが必要だと感じています。
この外部との連携は、私の勤める学童の現時点での課題点です。行事への招待など、できる点から少しずつ実現していければと思っています。
学童とは「家庭の子育て支援」に努める
学童とは、子どもの家庭の子育てを支援する役割も担っています。
・放課後児童支援員等は、育成支援を通じて保護者との信頼関係を築くことに努めるとともに、子育てのこと等について保護者が相談しやすい雰囲気づくりを心掛ける。
・子どもが放課後児童クラブでの生活に見通しを持てるように、育成支援の目標や計画を作成し、保護者と共通の理解を得られるようにする。
これ↑は運営指針の抜粋です。
学童に通う子どもたちだけでなく、その家庭の支援も役割だということです。そのためには、学童の方針や考え方を保護者に向けて発信することが大事ですし、保護者の意見も尊重しなければなりません。
私の勤める学童でも実際に、学童の方針と考え方についてはパンフレットを作成し、入所前にきちんと伝えることを大事にしています。また、子どもの安全面を保障するために、出欠席の連絡や送り迎えができず、子どもが1人で歩いてくる場合は連絡してもらうように協力をお願いしています。
そして、宿題については学童の本来の役割から、学童で強制的に勉強させることはしないと伝えています。しかし、家庭支援として、子どもと保護者間で決めた宿題の約束を基にサポートする旨を伝えて、支援員と保護者の方と共に協力して取る組める体制を作りました。
夏休みの宿題も同じで、家庭支援を考慮して自由研究や夏休み製作のヒントになる取り組みを計画し、家庭の負担軽減を目指して取り組んでいます。
終わりに
今回の記事では、学童の運営指針を基に大事なポイントを4つに絞って紹介しました。
少し堅苦しい記事になったかもしれませんが、学童を運営する上で絶対に抑えておきたい点です。
私が学童に携わるようになって、右も左も分からない状態の時に、この運営指針を読み込むことを1番最初に取り組みました。
保育園の指針も学童の指針もはっきり言って大雑把で言葉も難しくて分かりくいです(笑)そして読むのも楽しくない(笑)
とはいえ、学童で子どもを預かる上できちんとした運営をしなくてはいけませんので、他の支援員さんとともに試行錯誤を繰り返しながら改善を続けています。こうした指針を基に考えた保育方針や実践についても記事にしていますので、よかったら読んでいただけると嬉しいです!
学童保育に携わる方々で、学童の在り方に困っていたり、保育が適切なのか疑問に思っていたりする人は多いと思います。そういった方々に少しでも参考になれれば幸いです。