チーム保育とは?保育の実践を踏まえて現場目線で紹介!

チーム保育 って何??

簡単に言うと、担任制や複数担任制などの保育の方法の1つです。
実は、保育園の補助金の中にもチーム保育推進加算というのがあり、配置基準を超える保育士を配置した場合などに1人分の人件費相当額を受け取ることができるものがあります。そのチーム保育とは少し意味合いが違ってくるかもしれませんが、私の勤める園でも、チーム保育に励んでいますので具体的に紹介してみたいと思います!!

チーム保育とは?

一人の保育士(教諭)が1つのクラスを保育するのではなく、複数のクラスを複数の保育士で保育するという考え方です。

そもそも保育園には、保育士の配置基準があるのはご存じでしょうか。子ども〇人につき保育士〇人という基準です。子どもの年齢によって配置基準が異なり、0歳児は3人。1~2歳児は6人。3歳児は20人。4~5歳児は25人に対して保育士1人が配置されるようになっています。

3歳児20人を1人の保育士が保育するのが、クラス担任制ですよね。昔はこの方法が一般的で、子どもたちをクラスに分けて、担任が振り分けられるような形でした。チーム保育とは複数担任なので、例えば、3歳児35人を2~3人の保育士で保育したり、3~5歳児を4~5人で保育士したりする訳です。

私の勤めている保育園は、1~2歳児クラスと3~5歳児クラスの異年齢児保育をしています。

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異年齢保育をしている保育園がおすすめな理由

チーム保育が注目されている⁉

実は、チーム保育を取り入れる保育園が増えてきています。もともと担任制の保育方法では、3歳児20人を1人で保育するなんて無理がありますよね(笑)

知り合いの保育士から話を聞いたことがありますが、お漏らしをした子の対応をしていると、向こうでケンカが始まり、給食準備もしなくてはいけないような状態が日常だと言ってました💦
最近、4~5歳児の配置基準が76年ぶりに見直され、30:1から25:1になりましたが、保育現場にはまだまだ配置基準課題は山積みなのが現状ですね…。

そんな、保育の現状を改善するために、チーム保育の考え方を取り入れる保育園が増えているのです。

そして、乳幼児教育が注目されたこともチーム保育が増えている理由になっています。
具体的には、「子どもの自主性や主体性を保障する」「異年齢での関わりを重視する」などが注目されるようになり、これまで一般的だった担任制の保育ではこれらの実現は難しいため、保育の内容の見直しとともにチーム保育へと保育方法も見直す園が増えてきているのです。

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チーム保育のメリット・デメリット

6つのメリット

正直メリットだらけだと思いますが、6つに絞りって紹介します!

 

1,保育士の負担が少なくなる

1人担任の保育士の仕事量は、毎日の保育に加えて、掃除、保護者とのやり取り、園便りの作成、行事の出し物を企画、衣装や小道具の準備、子どもの成長の記録(月案・週案など)。細かく言えばまだまだ出てきますが、とても残業なしでは終わりません。
それが、チーム保育になると役割分担できるため仕事量は減ります。また、保育の活動によっては1人で見れる場面もあるため、その間にもう1人が事務仕事を進めたり、行事の準備をしたりすることができるため、かなり楽になるはずです。

 

2,子どもを多面的に見守ることができる

先ほど、月案という言葉が出てきましたが、保育士は子どもの発達を記録しなくてはいけません。1人担任の場合、常にクラス全体を見なくてはいけないため、子ども1人1人が何に興味を持って取り組んでいるのか?、得意なことや苦手なことは何か?など細かく気づくのは難しいです。そのため、複数で保育した場合、子ども1人1人の細かな所に気づく余裕が生まれますし、自分の前では見せない意外な一面を知ることもあります。

 

3,保育士の苦手分野をカバーし合える

1人担任の場合、保育中の絵本や手遊び、お絵描き、ピアノ、製作、ダンスなど、1人でやらなくてはいけませんよね。ということは、すべてある程度できないといけないということになります。「ピアノが苦手で、保育士になるのを諦めた」とよく聞く話ですが、チーム保育はそんな苦手分野をカバーし合うことが出来ます。言い換えれば、自分の得意分野を存分に生かせるということでもありますね。

 

4,子どもを大人の都合で制御しなくていい

1人担任の場合、「お片付け始めるよ」「給食の準備するよ」「トイレ行ってきて」「お昼寝の時間だよ」など子どもたちを一斉に動かさないと保育ができません。子どもの立場になってみると、「あとちょっとで、すごい作品が完成する!」って時に、「片付けて~」と言われる訳です…。また、「今日は室内でゆっくり過ごしたい」と思っていても、「今日は、お外でしっぽとりで~す」って言われて外に行かなくてはいけません。チーム保育であれば、外遊びは○○先生、お部屋遊びは○○先生と選択肢を作ってあげることができますし、子どものペースに合わせてあげることもできるようになります。

 

5,保育でできることが増える

1人担任では、園外活動に連れていくのも大変ですし、イベントの企画や段取り、準備などに限界がありますよね。チーム保育では大人が複数いる事で、1人ではできなかったことが実現できるようになります。園外活動だけでなく、日々の保育の中でも子どもに○○させてあげたいな~と思ったことが実現しやすくなるのです。また、子どもからの提案を実現してあげることもできるようになるため、保育が楽しく充実し、子どもの学びにも繋がっていきます。

 

6,子どもの学びに繋がる

上記で説明したように、チーム保育を行うことで、子どもを大人の都合で制御したり、コントロールしたりせずに、子ども1人1人に合わせた保育ができるようになります。そうすることで、子どもの遊びがより深まり、子どもが協力して取り組むなど、子ども同士の関わりも深まっていきます。遊びや関わりが深まるということは、子どもの学びにも繋がっていくため、チーム保育をすることでより子どもの学びが深まっていくとも言えるのです。

4つのデメリット

デメリットに感じる部分はそこまでありませんが、あえて挙げるなら4つ。

 

1,責任の所在が曖昧になる

1人担任に比べて、誰の責任かが分かりにくくなる場合があります。例えば、1人で保育をしている時に子どもが怪我したら、見ていた保育士の責任になりますよね。しかし、チーム保育だと複数人で保育するためどっちが見ていた?自分のせいではない!など1人担任に比べて、責任から逃れやすいです。また、みんなで一緒にというスタンスなので、「誰かがやるだろう」という空気感が出やすくなります。とは言っても、チーム保育をしているとそういった事例が起きやすいというだけで、方向性がしっかり定まっていて、職員間でこまめに情報共有ができていれば防ぐことはできます。

 

2,職員が伸びない場合がある

チーム保育のメリットで紹介した、苦手分野をカバーし合えるという部分に関係します。1人担任の場合、苦手だろうがやるしかない!という状況の中で育っていく保育士さんもいますよね。その反面、チーム保育だと苦手な部分や嫌な部分から逃げ続ければ育たない可能性があるのです。これは、保育士1人1人の考え方や向上心次第な部分もありますが、チーム保育をやっていく上で、カバーしてもらったら、違う所で誰かをカバーするという、助け合いの心構えが必要です。

 

3,職員間での共有がより必要になる

これは、デメリットなのかは分かりませんが、1人担任に比べると職員間での細かな連携が必要になります。保護者への伝達をお願いしたり、保育中に誰がどこまで子どもを見るのか確認したり、一緒に保育していくためには、共有が欠かせませんよね。チーム保育に限らず、保育園は情報共有が必須ですので、職員間の共有にどれだけ力を入れているかで、良い職場・悪い職場の差がでる気がしています。

 

4、部屋が散らかる

これも、デメリットか分かりませんが部屋が散らかるんですね(笑)職員が複数いると「誰かが置いたんだろうな」と考えるため、棚の上にあるものがいつまでも残ってしまうなど、片付けにくい時があります。聞けばいいんですけどね(笑)

そして、チーム保育を進めていくと子どもたちの遊びが発展していくため、子どもの作品が増えたり、遊びの続きを保管したり、廃材や素材なども増えていきます。そのため、部屋が散らかりやすいです。逆に言えば保育中に綺麗な保育園は、掃除が徹底されているか子どもの遊びが深まってないとも言えます…。

 

チーム保育を進めるためにすべきこと

もし、チーム保育を始めようと思った時に重要になってくるポイントをお伝えしておきます。これまでに私の勤めている保育園で実際にあった失敗例や課題点などを踏まえた紹介です。

チーム保育は、保育士間の連携が取れることが重要で、連携が取れていないと責任の所在が曖昧になったり、人任せになったりする危険性があります。

 

ポ1,保育の方向性がしっかり定まっている

私の勤める園では、「子ども主体」「子ども同士の関わり」「大人の都合で子どもを制限しない」など保育士間で共通理解しています。保育の方向性が定まっているからこそ、お互いの保育士の意図がある程度読み取れるため、カバーしたり連携が取れたりするようになるのです。

 

ポ2,役割分担や誰がどこまでやるのかを明確にする

私の勤めている保育園の運動会を例に挙げます。運動会の係の役割は、他の保育士たちに呼びかけ今年度の運動会についての話し合いの場を作ることです。そして、昨年の反省点をもとに、みんなで今年の運動会の方向性を決め、プログラムや放送原稿、保護者へのお知らせなど細かな役割決めを行い、運動会に向けて保育園全体で動き出します。係の役割は、話し合いの場を作ることや、みんなでスムーズに取り組むために昨年の反省点を前もってまとめておくなど、全体的な指示とサポートです。
このように、係の役割は何かを明確にしておくことが必要になります。

 

ポ3,保育士1人1人が必ずやるべき基準作り

感染症の受け入れ基準を作成し、子どもの受け入れ判断がどの保育士でも同じようにできることや、散歩に出発する前と散歩から帰る時の子どもの人数確認や他の保育者への伝達方法など、保育士1人1人が最低限同じようにできるべき基準が定まっていないと、チームとして機能しません。

 

ポ4,保育士間の共有の徹底

上記のポイントをクリアしていくためには、保育士間でのコミュニケーションが十分にとれることが絶対条件です。そのためにも、分からないことや疑問に感じたことを気軽に意見し、みんなで解決していこうという空気感を作っていくことが大切です。

私の勤めている保育園でも、チーム保育を進めていくために職員間の話し合いの場を見直したり、基準作りをみんなで行ったりとチームの基礎固めに時間をかけて取り組みました。

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チーム保育で育った子どもの姿

実際に、チーム保育で育った子たちはどうなのか疑問に思いますよね。

私は学童に勤務することもあり、保育園別の卒園児の違いを見比べることができます。1人担任の保育園とチーム保育の保育園との子どもの姿での大きな違いは2つ。遊び込む姿他の子と関わる力です。

遊び込む姿というのは、自分から様々な遊びや取り組みに興味を持ち集中してやり続ける姿のことで、チーム保育で育った子どもの方がそういった姿が見られる割合が高いように感じています。というよりも、1人担任で育った子はどしても大人の指示を待つ姿が多く見られ、大人と一緒じゃないと遊べないという子も多いです。保育園の時に、一斉に指示を聞いて動いていたことが染みついているのでしょうか。

他の子と関わる力というのは、他の子と一緒に遊んだり、協力して取り組んだりする姿が多く見られるということです。他者と協力するためには、相手の気持ちや意見を受け入れながら、自分の気持ちや意見を伝えるといったコミュニケーション能力が重要ですよね。チーム保育で育った子たちは、1人担任の保育園で育った子に比べて、他者を受け入れることや自分の意見を伝えることが得意な気がします。これは、社会に出てからも重要な能力なので保育園の時期から身に付けられることは貴重ですよね。

チーム保育 まとめ

・保育園の働き方改革にも繋がる
・子どもの自主性や主体性を保障した保育をするために必要
・異年齢での関わりを重視した保育をするために必要
・チーム保育をすることで保育の幅が広がる
・保育士の苦手分野をチームでカバーし合える
・チーム保育をするためには職員間の情報共有が必須
・子どもの自主性とコミュニケーション能力が特に育つ

実際に私の勤める保育園での保育実践を踏まえて紹介してみました。
保育の内容や、子どもたちの姿について、学童についても別記事にまとめてます。
良かったら読んでいただけると嬉しいです。