学童支援員としてのケンカの対応はどうすべきなのか?

学童支援員としてのケンカの対応で悩む方は多いと思います。

この記事は、支援員として子どものケンカの対応をどうすべきか?
向き合う際のポイントをまとめたものです。
止めるべきか見守るべきか?という点だけでなく、子どもの成長のために必要な学童支援員の関わり方や、子どもに質の高い保育を提供するためのポイントなどについて、その根拠とともに紹介していきます。

学童支援員としてケンカの対応をどうすべき?

学童でケンカが起きた時はどうしていますか??

支援員が介入してケガを防ぐべきだ!
見守って子どもたちだけで解決させるべきだ!

この2つの意見に分かれるのでがないでしょうか?

どちらが正しいのか結論から言うと、どちらも正解でどちらも必要なことです。第一に支援員として子どものケガは防がなくてはいけません。そして、子どもの将来のために自分たちで解決していく力を育むべきですよね。

ケンカの対応に介入すべき場合

学童支援員として子どものケガを防ぐべきだと書きました。
では、学童の子どもがケンカでケガをするのはどんな場合でしょう。

叩く・蹴る・押す・引っ張る・噛みつく・投げつけるなど、子どもが手を出してしまった場合にケガに繋がる可能性がありますよね。

子どものケンカが起こった時、手が出るなら介入する。もしくは、手が出る可能性がある場合はいつでも止められる準備をします。また、手が出ないだろうと思えても、ケンカをしている場所が階段や道路などの場合は、介入し場所を移す必要があるかもしれません。感情的になりとっさに押してしまうかもしれませんし、ケンカに集中しすぎて周りが見えていないことも考えられるからです。

学童でケンカが起きた場合は、手が出ないか?ケガに繋がる危険性はないか?を見極めること。そして見極めるためには、子ども1人1人のことを十分に理解しておくことが必要になります。

ケンカを見守ったほうが良いのはなぜ?

ケンカを見守る(大人が介入しない)方が良いのはなぜでしょうか。

それは、子どもは様々な体験を積み重ねる中で学び成長していくからです。例えば、1~2歳くらいの子どもをイメージしてください。1~2歳くらいになるとイヤイヤ言いながら「自分でやる」と言いますよね。これまでは大人にしてもらっていたことも、自分でやってみようとする姿が急増します。時には上手くいかずに泣き出すこともありますが、何度も挑戦して失敗して出来ることが増えていきますよね。自分で体験しながら身に付けていくのです。

しかし、大人がなんでも先回ってやってあげたらどうなるでしょうか?
子どもが体験する機会が減り、自分でできるようになるまでに時間がかかってしまいます。

保育士をしていると、親がなんでもやってあげてしまうせいで、できることが少ない子どもを見かけることも少なくありません。

子どものケンカも同じで、子ども同士のケンカは学びが詰まっています。自分の気持ちを知ることや相手の気持ちに気づくこと。そして相手への伝え方や表現方法など。それらケンカを通して見につく力は、他者と協力できることや他者への気遣いなど社会に出て活躍していくためには必要不可欠な力です。

これが、学童でケンカが起きた時に、子どもが自分で解決するために見守るべきだという意見の根拠になります。

ケンカを見守るだけでは不十分

学童支援員としてケンカの対応には、ケガに繋がるかどうかの見極めと子どもが自分で解決できるように見守ることが必要だとわかりました。ただ、いくら手がでないからと言って、見守るだけでは不十分なのです。

子どものケンカを見守るのは、子どもが身に付けるべき能力がケンカの中に詰まっているからでした。

しかし、ただ見守っているだけでは解決しない場合もありますし、手は出さなくても暴言を言い合う、相手を罵倒し合うだけの場合もあります。

こんなケンカでは子どもの学びに繋がるものは少ないでしょう…。

子どものケンカが起きた時に、自分たちで解決していくために見守るには、子どもが話し合いで解決できる必要があるのです。

話し合いとは、手を出さないことは勿論ですが、自分の気持ちや意見を言葉にして伝える。相手の気持ちや意見を聞く。自分の気持ちに折り合いを付ける。ことをしなくてはいけません。

これらができないのであれば、自分の気持ちや意見を言葉にして伝える手伝いや相手の気持ちや意見を聞く手伝い、自分の気持ちに折り合いをつける手伝いが必要で、大人に手伝ってもらいながら体験を積み重ねていくことで、話し合いで解決できる子へと育っていきます。

また、話し合いができる環境を整えてあげることも支援員の役割です。関係のない子に話し合いを邪魔されないようにしたり、話ができる落ち着いたスペースを作ったり、話し合いのルールを設けたり、話し合いが十分に行える環境を整えることも大切です。

ケンカの対応でやってはいけないこと

子どものケンカに大人が割って入り「ごめんね」「いいよ」を言わせて仲直りの握手をさせる。

子どもの頃にこういった経験はありませんか?
また、子どもにこうした対応をしていませんか?

これまで書いた内容を読むと、「ごめんね」「いいよ」の決まり文句を子どもに言わせることに意味がないことに気づいたのではないでしょうか。

最悪なのは、「いいから、謝りなさい」子どもが納得できていないのに強制的に謝らせる。そして、「謝ったから許してあげなさい」強制的に許させることです。

これこそ、子どもの貴重な体験を奪ってしまっていませんか?

「謝れば許される」「謝れば終わり」「謝られたら許さないといけない」と刷り込んでしまっていますよね。

子どものケンカの解決方法は「ごめんね」「いいよ」が正解とは限りません。
保育園の子どもですら、ちゃんと話し合いができるようになりますし、形だけの謝罪で早く終わらせようなんてことは嫌います。
お互いに納得するまで「なんで○○したの?」「話して」などの会話が見られますし、1時間以上も話し続けることもあります。そして、相手にちゃんとした理由があればすんなり許すこともあります。これが、子どものケンカで身に付けていってほしいことですよね。

学童支援員としてのケンカの対応まとめ

1,学童のケンカは大人が介入すべき場合と見守るべき場合がある!
2,ケガしないかどうか見極めることが重要!
3,子どもが話し合いで解決できるようにサポートする!
4,話し合いができる環境を保障する!
5,「ごめんね」「いいよ」を言わせるのは間違い!

今回は学童支援員としてのケンカの対応についてまとめました。子どものケンカの対応は非常に難しいことで、必ずしも正解というものはないと思います。しかし、今回の内容は子どもの将来を見据え、子どもたちが身に付けていくべき力を育むために必要な支援員の関わり方です。

他の学童クラブさんのブログ等にも、子どものケンカをテーマにした記事を見かけましたが、介入すべきなのか?介入せず見守るべきなのか?について意見は様々でした。
私が個人的に感じたことは、支援員自身の育てられ方が根拠になっていることが多い気がします。

現在、日本の教育は変化の真っただ中です。大人が介入しないというのも「子どもの主体性」を重んじた考え方が基になっており、ここ最近ようやく重視されるようになってきました。

私の勤める学童でも「子どもの主体性」を重視しています。子どもたちが提案し子どもたちだけで取り組めるような遊びや活動が実現できるような保育方法を模索し取り組んでいるところです。他の記事に、「子どもの主体性」についてと学童の保育内容についてまとめていますのでよかったら読んでみてください!

関連記事

子どもの主体性 を育む保育は、保育所保育指針にも記されており、本来の保育のあるべき形です。 しかし、日本の保育は戦後の教育体制からなかなか進歩がなく、海外に比べると教育が遅れているのが現状です。そして、保育所保育指針にも「子どもの主体[…]

子どもの主体性 抑えておきたいポイントと実践例を紹介します!
関連記事

「子ども主体の保育」や「子どもの主体性」など日本の乳幼児教育が見直されつつありますね。 「海外に比べると日本教育はかなり遅れている」このことを知ったのは、保育士1年目の時。 私は、恵まれたことに最初に入社した保育園で、恩師に出会[…]

室の高い学童 子どもの主体性を重視した保育

私たち学童支援員は子どもたちの人生の土台部分に影響を与える存在です。だからこそ、私たちが学び続け、最善の保育を模索し続けることが重要ですね。