学童保育の遊びを充実させる方法の紹介記事です。
学童とは、小学生を預かるだけの施設といったイメージがあるかもしれません。
私の勤める学童では、学童支援員みんなで子どもが楽しく学べるような学童を目指して取り組んでいます。
以前の子どもたちは、「ひまい」「楽しくない」と言ってばかりでしたが、「○○したい!」「明日○○する!」「今、(遊び)で忙しい!」と言うようになりました。
そんな学童の取り組みを紹介していきたいと思います。
学童保育の遊びが充実する方法
遊びが充実するためのポイントは大きく分けて2つ。
環境構成と子どもの主体性です。
1つ目の環境構成とは、室内の家具の配置や玩具など物の環境と学童支援員など人の環境なども含みます。
物の環境で大事な点としては、子どもたちの選択肢が多いことです。例えば、室内の玩具がトランプやオセロしかない場合と、トランプやオセロ、本、ラキュー、ピアノ、製作系など…玩具が沢山ある場合、遊びが充実するのはもちろん後者よね。言い換えると子どもが何をして遊ぶかの選択肢が多いことになります。
また、学童支援員などの人の環境という点では、遊びが充実するような関わり方をすることで各段に良くなります。少し例を挙げると大人が何かをしてあげるような関わりではなく、子どもが自らやりたいと思えるような仕掛けを作ったり、興味が湧くような声かけをしたりすることです。また、子ども同士の遊びを繋ぎ、遊びを発展させるような繋ぐ役目も重要です。
環境についての詳細は別の記事にまとめていますので、そちらをご覧ください。
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そして2つ目の子どもの主体性とは、大人が遊びや活動を提案し、子どもたちに参加してもらうのではなく、子どもが提案し準備し、実行するような子どもが自主的に取り組めることです。一見、大人が企画したイベント中は楽しそうな様子を見せますが、「もう終わり?」「ひまいから、何かして」など、一時的な盛り上がりしかありません。遊びや活動の選択肢が豊富にあり、子どもが自分で考えて遊びや活動に取り掛かることができるようになると、学童保育の遊びが充実していくのです。
子どもの主体性について詳しく書いた記事はこちらです。
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遊びが充実するための手順
上記で紹介した内容をどのような手順で進めたのかについて紹介します。
もともとは、子どもたちに「サッカーするよ」「映画を見に行くよ」など大人の指示で一斉に動かすような保育をしていました。もちろん、「ひまい」「帰りたい」といった言葉が多かったです。そんな状態から、支援員みんなでアイデアを出し合い、試行錯誤を繰り返し、改善を重ねてきました。
①遊びを増やす
まず取り掛かったのは、遊びの選択肢を増やす作業です。増やすといっても玩具を買えばいいという訳ではありません。
例えば、トランプ遊びのババ抜きや七並べ、豚のしっぽ、さかな釣りなどなど、トランプでできる遊び1つ1つを子どもたちに伝えていきます。また、ラキューの作品集や作り方の説明書を用意するなど、子どもたちの興味を引けそうな工夫を凝らしながら、丁寧に遊び方を伝えていきました。
遊び方を知っているというのが大事で、そこまで習得して遊びの選択肢の1つになります。
②クエストを作る
クエストとは、私の勤めている学童で力を入れている保育の方法です。
子どもの主体性を引き出すための方法を模索して、職員みんなで作り上げてきました。
子どもたちに強制的に取り組ませることなく、大人が体験してほしいと思うことや、学んでほしいと思うことなど意図を組み込めるかたちになっています。詳しは、クエストについてまとめた記事がありますのでそちらをお読みください。
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③大人同士の連携を深める
遊びが増え、子どもたちの活動に幅ができてくると活動範囲が広がっていきました。
学童支援員は子どもたちの安全面に配慮しなくてはいけませんので、子どもたちを制限してしまう場面も出てきしまいます。
例えば、「学童周辺の探索に行きたい」と子どもからの提案があった時に、戸外活動マニュアルや連絡手段の確認など大人側の体制が整っていないと連れていけません。こうした点を改善すべく、職員間の共有事項の再確認や保育中の大人の立ち位置や役割の再確認などに力をいれ、連携を強化しました。現在も職員共有や連携は改善を重ねている最中です。
その成果もあり、戸外活動が増えたり、室内か戸外か地域の行事かなど複数の活動に分かれたりすることが可能になりました。
子どもたちの姿が変わった
冒頭でも紹介したように、学童保育の遊びが充実していくにつれて、子どもたちの姿は激変しました。
「ひまい」「つまらない」「帰りたい」といったネガティブな言葉がなくなりましたし、子どもたちのできることが増えたおかげで、高学年が中心となって話し合いを進めてくれたり、行事を企画してくれたりと支援員の役割を子どもたちが担ってくれるようになってきました。
以前は、大人の指示を待つ子どもたちでしたが、だんだんと大人を必要としなくなっています。
「子どもたちが自分で考えて行動し、子ども同士で協力しながら成し遂げていく」そんな姿が見られるようになったことは、支援員として嬉しい限りです。学童で体験したことは社会に出た時にきっと糧になっていると信じて、さらに良い学童保育を目指していきたいと思います。