焚火は危険?
田舎の子どもなら、誰もが大人から言われたことでしょう。
確かに、火の扱いは危険を伴いますし、子どもたちだけで火遊びをさせるのは良くないと思います。
しかし、私の勤めている学童では、焚火は遊びの1つです。
焚火は危険だからさせない方が良い
「火遊びは危ないからダメ」
「火事になったら死ぬかもしれない」
そんなことを保育園や小学校で大人から教わります。確かに火は危険ですが、人間の生活には欠かせないものです。
昔は、料理やお風呂、落ち葉掃除など焚火がありふれていました。
私が小学校の時も、落ち葉や木を燃やすのが仕事の1つだったような記憶があります。
しかし、今の子どもたちはどうでしょうか。
全く火に触れたこともなく、ただただ危険なものだと認識していると思います。もしかすると、子育て中の親も火の危険性を具体的に説明できないかもしれません。
子どもたちが火の危険性を理解するためにも、保育園や学童、小学校など大人の目の届く範囲であえて触れさせることの方が重要だと思います。
だから、学童では焚火をさせているのです。

学童で焚火ができるようになるまで
以前から、焼き芋やタケノコ掘りなど大人が火を扱う様子を見る機会がありました。
しかし、いくら「危ない」と言っても近寄る子、触ろうとする子などが目立ちます。
言葉で言われても、火の危険性を十分に理解していないからです。
そのため、子どもたちと一緒に焚火をしながら具体的に危険性を伝えていました。
「火は下から上に進むため、火の上が熱い」
「何が燃えやすく、何が燃えにくい」
「火の側にあるものも熱くなっている」
「火傷をしたら流水で流したら皮膚がはがれる」など。
そうして積み重ねていくうちに、高学年の子たちは火を起こす前の確認や、火の管理、消火までを責任を持ってできるようになり、それをキッカケに、「焼き芋を子どもたちだけでやってみたい」という活動が生まれ、少しずつ子どもたちが焚火ができる環境ができていきました。
今では、焼き芋などの行事だけでなく、普段から焚火をする様子が見られます。
危険性を理解させるための工夫
危険性を知るための方法
やっぱり焚火は危険を伴います。
だからこそ、誰でもやっていい訳ではありませんし、させるからには危険性を十分に理解させなくてはいけません。
そのため、火起こし試験を設け、免許がないと出来ないことにしています。火起こし試験は、日本焚き火協会の焚火検定の存在を知り参考にさせてもらいました。内容は、うち独自のものになっています。
火起こし試験に合格した後は実技試験も控えており、火を点ける前の確認事項、準備物、点火、消火までの一連の流れを大人の前で行わなくてはいけません。
これらの壁を乗り越えた子たちが、火を扱えるようにしています。

火の扱わせ方
1週間に1度子どもからの提案を、保育の活動に取り入れるための意見箱の回収があります。その意見箱を通して、日付やメンバー、目的などを書いて大人からの承諾を得なければ焚火が実現できません。
試験に合格し、免許を持っている子ができる範囲も明確にしており、やってはいけないことも可視化しています。
何度試験に落ちようが、心を鬼にしていっさい甘やかしません。そうすることで、合格した子たちの責任感にも繋がっていきます。
そして、一番大事なことですが、子どもたちに教える大人も火の扱い方を知っておく必要があります。

焚火を通した活動
先ほども書きましたが、焼き芋やタケノコ掘りなどの行事で焚火をしています。また、デイキャンプでの焚火や、夏祭りでの出店などでも焚火を行っています。
この前、畑で獲れたポップコーンを焚火で焼いてみようという新しい取り組みもありました。
最近、料理が得意な子がカレーやシチューを作る取り組みもあるので、焚火を使った料理も普段から取り組んでいけたらと思っています。

焚火まとめ
今回は、学童でも焚火についてまとめてみました。
子どもたちに火の危険性を理解してもらうためには、実際に体験させることが大事であり、そのために環境を整えることで学童でも焚火を取り入れることができます。
「危ないからさせない」のは、子どもの学びの機会を制限してしまうことになりかねません。
どうすれば、体験させられるだろうか?どうすれば、実現できるだろうか?と悩みながら、試行錯誤していくことが私たち教育者に必要なことだと思っています。