保育士の子育て支援とは、具体的にどんなことをすべきなのでしょうか。
保護者のサポート的な役割かな?
そんなイメージがあると思います。私は保育士をしていますが子育て支援について説明できるほどの自信がなかったので、今回、保育所保育指針を読み直し自分の勉強も兼ねて記事にまとめました。
今回は完全に保育士さん向けの記事だと思いますが、保育関係者の方や保護者の方にも読んでいただけると嬉しいです。
保育士の子育て支援とは?
実は、保育所保育指針の中に第4章子育て支援として記されています。
「長い!!堅苦しい!!」って思いませんでしたか?(笑)
要点を絞ってまとめると、子育て支援とは子どもの育ちに関係する家庭や地域に保育園や保育士が働きかけ、子どもの育ちを保障することです!
改めて読んでみると、保育士の専門性への期待と保育士に求められるもの大きさを感じないでしょうか?保育園だけでなく、家庭の問題の解決も保育士が担っているということですね。
保育士が子育て支援をする意味
なぜ、家庭や地域の子育て支援を保育士に求められているのでしょうか。
保育所保育指針に書かれている文章には、一貫して子どもの育ちを保障することが書かれています。
保育士に子育て支援を求められる理由としては、各地域、各家庭で子育てへの熱意やスキル、金銭的状況など子どもを取り巻く環境に差があるからです。子どもに一番近く専門性のある存在が保育士であり、子どもの健全な育ちを保障するためには保育士が、家庭環境や地域に働きかけることが1番効果があるということですね。
確かに、虐待やネグレクトなどは行政職員が気づく機会はほとんどありませんし、保育士か近所の住人ぐらいしか気づけないかもしれません。
保育士の担う役割はかなり重要だということが、保育所保育指針を読んでみると伺えます。
子育て支援の内容
保育士の子育て支援は、具体的にどんなことをしなくてはいけないのでしょうか。
現役保育士さんは、無意識的にやっていることも多いと思いますが、改めて整理してみましょう。
保育所保育指針に書かれている文章を要約して抜き出してます。
1,子育てに関する知識や技能を生かし、保護者が子どもの成長に気づいたり、子育てに喜びを感じられるように努める。
保育者が子どもの成長に気づくというのは、子どもの発達の理解と言えます。子どもの発達には段階があり、発達に応じて大人の関わり方も変化していきますよね。そういった子どもの発達を保護者に伝えることや、子どもの成長に見通しを持たせること、発達に応じた関わり方や子どもとの適切な関わり方を保護者に伝えることが役割と言えます。また、子育てに喜びを感じられるように努めるという言葉も奥が深く、保護者の育児に対するモチベーションを維持するために、保護者の状況に応じて声掛けやサポートの仕方も変えなくてはいけないということではないでしょうか。
2,保護者の子育てに対するモチベーションを高められるように促す。
保育行事や保育園でのイベント参加などに保護者が参加することが、子育てに対するモチベーション維持にも繋がります。行事やイベントだけでなく日頃の会話や保育園での子どもの様子を口頭で聞いたり、園便りで知ったり、SNSを通して知ったりなども関係しているのではないでしょうか。実際に、現在保育園に通われている保護者の方に、SNSを通して保育園での様子を知れたのは嬉しいという言葉を頂きましたし、SNSがキッカケで保育方針の理解も深まり、保育園と保護者間の連携が取りやすくなる実感もあります。
3,必要な場合は、市町村や関係機関と連携し保護者に個別の支援を行う。
障がいのある子どもや発達上の課題がある子どもなど、保育園だけでなく関係機関との連携が必要な場合があります。そういった場合の関係機関と保護者との繋ぎ合わせも役割の1つだと言えます。また、保育士が知り得た情報を他の保護者や外部に漏らさないことも大事です。そのため、個別に対応したり対応の仕方に気を遣うなども求められますね。
4,外国籍家庭など特別な配慮が必要な場合は個別の支援に努める。
外国籍家庭などの特別な配慮については、分かりやすいと思いますが、言葉や文化の違いがあったり、保護者や子どもが保育園生活に慣れるのに時間がかかったりする場合も考えられますね。そういった場合は、他の家庭以上に支援が必要になります。
以前勤めていた保育園では、外国籍の子どもが数人登園しており、やはり言葉や文化の違いなど個別の対応が必要でした。言葉の違いは今では携帯で翻訳できますが、難しかったのは食べものの違いです。給食の提供をどこまで個別に対応できるか?という点が難しく保護者と保育士、調理と話し合いを重ね提供方法を何度も確認したのを覚えています。
5,育児不安が見られる保護者には、希望に応じて個別の支援を行う。
育児不安が見られる保護者とは、どこまでのことを示しているのか難しいですが、上記の子育て支援の内容と重なる点が多いと思います。希望に応じてという表現の仕方から、気を付けなくてはいけないのは、保育士が決めつけてはいけないということではないでしょうか。「若いから心配」「片親だから心配」など保育士側の勝手な決めつけはよくありませんよね。保育所保育指針の文言には、保護者との関わり方についても子どもと関わる時と同じように保護者を尊重した書き方がされています。保育士には、子育て支援が必要かどうかの見極めも求められており、日々の保護者との信頼関係の構築も重要視されていますね。
6,家庭で不適切な養育が疑われる場合は、関係機関と連携し対応する。
不適切な養育というのは、虐待などを指します。子どもの身体に痣があったり、ケガをしてくることが度々あったり、身体的な成長に異常が見られたり、子どもの様子がおかしかったりと保育士には気づく機会が多くあるのです。子どもの健全な育ちを守るためには、早めに気づき適切な対処が必要だということですね。
7,地域や関係機関と積極的な連携を図る。またその体制を整える。
こうした子育て支援を実現さえるためには、保育園と地域や関係機関との繋がりが大事です。何か起きた時の対応手順を保育園だけでなく、地域の方や関係機関とすり合わせ、対応に困らなくて済むような体制作りが必要だということですね。そういう意味では、地域を巻き込みながら、地域の方や関係機関の方が保育園に関わりやすいような園になることが必要なのかもしれません。
まとめ
子育て支援とは、子どもの育ちに関係する家庭や地域に保育園や保育士が働きかけ、子どもの育ちを保障すること。
今回は、保育所保育指針に書かれている保育士の子育て支援についてまとめてみました。
個人的な感想としては、保育士に求められている役割は社会的にもとても重要なものだということです。
そして、「子育て支援」という言葉を普段何気なく使っていましたが、保育所保育指針を読み直すことでより細かく理解できた気がします。
この記事を読んでくれるのは、保育士をされている方か、保育関係者が多いと思います。皆さんの振り返りと保育士という職業のすばらしさに改めて気づくきっかけになっていれば嬉しいです。