保育園の嘔吐処理が適切かどうか?
嘔吐処理は感染症対策の基礎中の基礎であり、新人保育士の最初の壁とも言えます。
突然の嘔吐にも慌てずに、正しい処理ができるように要点を押さえておきましょう!
保育園で必要な感染症の知識をクイズ形式にしてみました。
時間があったら挑戦してみてください!(40問)
嘔吐処理手順の意図を理解
まず始めに、保育園には嘔吐処理マニュアルは定められていますか?
そして、定められている場合は、職員1人1人が身に付けられていますか?
少し前のコロナウイルスの大流行で保育園に求められる感染症対策も高まりました。
コロナウイルスだけでなく、インフルエンザや手足口病、ヘルパンギーナ、ノロウイルスなど保育園で流行る感染症は沢山ありますね。
保育園で感染症が流行る原因は、正しい予防、消毒が不完全だからだと言えます。
正しい予防、消毒をするためには感染症ごとに効果的な対応をしなくてはいけません。
保育園の嘔吐処理マニュアルを定めるだけでなく、なぜその手順が必要なのか?を理解することで感染症の流行を食い止めることができるはずです。
保育園の嘔吐処理手順
手順①嘔吐が発生したら他の職員に知らせる。
⇒必ず1人で解決しようとせずに誰かに知らせましょう。保育中は複数の子どもたちを見ているため嘔吐処理の間にトラブルやケガが発生する可能性もあります。また、嘔吐処理を1人で行うよりも2人以上で行った方が早く、処理のクオリティーも高まります。
手順②嘔吐物を囲って、室内の換気をする。
⇒嘔吐物の周りにバリケードを作ることで、他の子どもが踏んだり、触ってしまったりして感染が広がることを防げます。1人がバリケードを作り、もう1人が部屋の窓を開けるなど役割分担ができるとよりスムーズです。
手順③吐物に新聞紙等で蓋をする
⇒嘔吐処理に入る前に、嘔吐処理の準備をしなくてはいけません。慌てないためにも吐物に新聞紙などを被せると落ち着いて準備できます。
手順④嘔吐処理セットを準備
⇒事前に準備している嘔吐物処理セットを持ってきて、マスクとエプロンの着用、手袋を何重にも重ねて着用、汚染物を入れる袋の準備、消毒用の次亜塩素酸ナトリウム(泡ハイター)を用意します。ここで慌てる必要はありませんのでしっかりと準備してください。
手順⑤汚染範囲の外側から中心に吐物を集める
⇒汚染範囲とは、飛び散った可能性のある範囲です。新聞紙や不要な布などを用いて吐物を外側から集めるように拭きます。この時に、吐物を拭いた場所を踏んだりしないように気をつけましょう。消毒が済んでない場所を触ったり踏んだりした時点で汚染されます。範囲が広すぎて踏むしかない状況の場合は、踏んだ後に歩き回らずに消毒、処分すれば問題ありません。
手順⑥汚染範囲の消毒をする
⇒吐物をある程度処理したら、消毒作業に入ります。嘔吐を伴う感染症は、ノロウイルス、アデノウイルス、ロタウイルスの可能性が高くアルコール消毒では効果がありません。必ず次亜塩素酸ナトリウムを使用してください。私の勤める園では、泡ハイターを振りかけ新聞紙等を被せて10分ほど放置しています。この時に注意しなければいけないのは、汚染範囲を触った手で泡ハイターや袋などを掴んだ時点で汚染されたことになるため、動作1回に付き手袋の内側を触らないように外してください。
手順⑦消毒が済んだらぞうきん等で拭きあげる
⇒消毒後は感染症の心配はありませんので、次亜塩素酸ナトリウムを水拭き、乾拭き等できれいに掃除します。
手順⑧処理に使ったものの処分
⇒嘔吐処理に使った手袋やエプロン、吐物の入った袋などをビニール袋に入れてまとめます。この時にも、汚染されている部分を意識して触ってしまったり、付けてしまったりするのに気を付けてください。
手順⑨正しい手洗いうがいを2回以上行う
⇒最後に手や手首を入念に洗います。正しい手順で手洗いを2回行うと感染を防げるとされています。手を洗った後に処分するビニール袋を触ってしまうと汚染された可能性があるため手洗いは一番最後に行なってくださいね。また、処理中に手袋を外す時に、素手に着いた可能性がある場合は、どこにも触れずに入念に手洗いを2回すれば問題ないということです。
保育園の嘔吐処理は対応力が必須
嘔吐処理の手順を紹介しましたが、手順通りにスムーズにいくことはほぼありません。
嘔吐物が飛び散って椅子やテーブルについてる場合、次亜塩素酸ナトリウムが使えないものに吐物がついた場合、子どもの衣服などに吐物がついた場合など毎回シチュエーションが違うからです。子ども自身に吐物がついている場合が一番難しいですが、エプロンをつけて子どもを抱えてシャワー室に連れていくのが1番良いかもしれません。防がなければいけないのは、吐物による汚染が触れたり、踏んだりして拡大してしまうことです。
汚染範囲を見極め、いかに広げないかが嘔吐処理のカギだと言えます。
次亜塩素酸ナトリウムが使えない場合は、熱湯消毒も効果的です。
例えば衣服やカーペットなどが汚染された場合は、熱湯をかけたり、アイロンを使って熱で消毒しましょう。
消毒せずに洗濯機で洗うのも感染を広げてしまう原因ですので注意が必要です。
嘔吐処理の対応力を身に付けるには、経験を積むしかありません。
そのため私の勤める園では嘔吐処理を実践形式で確認する時間を作っています。感染性胃腸炎が流行する時期に実践形式で確認作業を行うといいかもしれませんね。
嘔吐処理は感染症対策の基礎
嘔吐処理の手順と気を付けるべきポイントを理解することで、他の感染症対策にも活用できます。
感染源と感染経路を把握し、効果的な消毒方法を知っていれば正しい処置ができるはずです。
嘔吐処理で経験を積み、目に見えない菌やウイルスを意識できるようになることで、保育士に必要な感染症対策が身につくでしょう!
私は、保育士1年目の時にベテランの保育士さんから厳しく指導していただいたことをありがたく感じています。1年目の保育士さんにレクチャーできるような先輩になりたいですね。
ついでに保育園に必要な感染症の知識をクイズにしてみました!
私の勤める園の基準で作ってますので、多少違うところがあるかもしれませんが良かったら解いてみてください!