保育にメリハリは必要です。
唐突ですが、最近保育中に「メリハリ」の大事さに改めて気づかされることが増えました。
今回は「メリハリ」をテーマに保育実践と一緒に紹介したいと思います。
保育のメリハリとは?
保育のメリハリと言われてもピンとこないかもしれません。
分かりやすい例を挙げると、自由遊び、お集まり、給食などの生活の流れがありますよね。そういった生活の中での活動の切れ目や、今なにをする時間かなどを明確にすることが保育のメリハリだと捉えています。
また、保育者の話し方や伝え方、集団生活のルールなどにもメリハリが必要です。
保育者の方や保護者の方など、子どもと関わる機会のある方は共感できる点だと思います。
保育にメリハリが大事だと改めて気づいたと書きましたが、「子どもが話を聞かない」「物を片付けない」「子どもが自立しない」など子どもの姿で悩むことがありますよね。その時に、なぜだろう?と原因を考えていくと保育中のメリハリが原因になっていることが多いです。
私の勤める園では、子どもの主体性を重んじてる反面、大人が伝えるべきことをしっかり伝えきれていなかったり、子どもに委ねすぎていたり、注意すべきことをスルーしてしまったりする時があります。子どもの主体性を引き出せるような環境設定や保育者の関わり方は必要ですが、押さえるべきところは押さえることでメリハリを作っていかなくてはいけません。
保育にメリハリがないとどうなる?
保育にメリハリがないとどうなるのか、実際に保育園で起きたことや考えられることを紹介します。
〇話を聞かない・聞く習慣が作れない
⇒「今から大事なことを話します」と一旦準備させる言葉かけもメリハリです。話をする時に、抑揚がなく、リズムも一定で話をされても要点が伝わりづらいのは、子どもでも大人でも同じですよね。話し方のスキルとも言えるかもしれませんが、子どもが話をしている人に注目する習慣を作ることは大事です。習慣化されていないと相手が話している最中に、好き勝手に話してしまう姿も見られます。
〇切り替えができない
⇒すべてを子どものペースに合わせてしまうと、「まだやりたかったのに…」など気持ちを切り替える体験が無くなってしまいます。もちろん、子どもが気の済むまでやらせてあげるような対応も大事ですが、集団生活の中で他の人に迷惑をかけてしまう場面など、ちゃんとした理由があるのであれば子どもに伝えるべきです。自分の思いと自分以外のことを考えて、葛藤しながら、子ども自身が気持ちを切り替える体験をする必要があります。
そのためにも、集団生活の流れやルールなど、必要なルールはしっかりと定めて子どもたちにも伝えていかなくてはいけません。
〇自分勝手になる
⇒先ほどの「切り替えができない」と重なる点もありますが、他の人の気持ちや立場を考えて、自分の気持ちに折り合いを付ける体験を積み重ねていないと自分勝手な言動に繋がります。集団生活のルールをしっかりと定めた上で、子どもたちに伝えることや、他者を傷つける言動などに対してしっかりと注意することなどはメリハリをつけなくてはいけません。
〇子ども同士のトラブルが増える
⇒長い時間、自由遊びをしていると、最初は遊び込んでいたのに、だんだん遊びが崩れていくことがあります。子どもの集中力や周りの環境など原因は様々ですが、その状態ではトラブルが多くなります。一旦片付けて絵本の読み聞かせをして、もう一度何をして遊ぶぼうか?とリセットすることも時には必要です。1歳児クラスの担任をしていた頃に、教えてもらったことですが、朝のお集まり、給食前のお集まり、おやつ前のお集まり、帰りのお集まりと決まった生活の流れも大事ですが、子どもたちの様子によっては、一旦活動を切る必要がある場面もあります。
保育に必要なメリハリ
具体的にはどんな場面でメリハリをつけていくべきなのでしょうか。
基本的には、活動の切り替わりのタイミングだと思います。登園後の自由遊びと活動の合間のお集まりの時間、活動から給食の切り替わり、給食から午睡への切り替わり、午睡からおやつへの切り替わり、お仕度を済ませて自由遊びに移る前の帰りのお集まりなどです。もっと細かく言うと、散歩に出かける前に散歩中の約束事の確認や、散歩から帰ってきた後のこの後の流れの確認、製作物を作る前の道具の使い方の確認など、何かをする前と何かをした後の、子どもに向けて話をする場面がメリハリをつけるために重要なポイントです。
そのため、子どもたちへの話の仕方は工夫しなくてはいけません。子どもたちをこちらに注目させて、子どもが理解できる言葉に言い換えながら、集中が途切れないように抑揚をつけたり、テンポを変えたりしながら話します。質問形式にしたり、あえて反対のことを言ったりしながら、子どもたちに見通しを持たせたり、認識させたりするのも工夫の一つですよね。
大人の話し方次第で、保育にメリハリが生まれるはずです。
子どもに向けた話し方のコツは別記事にまとめています。
話を聞かない子どもへの対応にお悩みの方は多いと思います。 子育てをしている保護者の方や保育園や幼稚園に勤務されている保育士さんなど、子どもと関わる方にとっては1度は通る悩みなのかもしれません。 私も保育士になりたての頃に、他の保[…]
職員のメリハリも重要
保育のメリハリについて紹介してきましたが、保育者間でも同じことが言えます。
私の勤めている保育園では、ここ数年は、情報共有を徹底することに職員みんなで力を入れてきました。「伝えるべきことは伝える」「職員間のルールを作る」など職員間でもメリハリは重要だと感じます。
子どものお集まりと同じで、散歩に行く前には職員間で行先を共有したり、危険を予測したり、役割を確認したりする時間を挟むことで、共通認識したうえで保育できますよね。
1人1人が常に気を張り続けて完璧に保育できる訳ではありません。必ずミスしますし気が緩む時もあります。だからこそ、他の人と活動前に確認する習慣があるだけで、保育中のミスを減らすことに繋がるのではないでしょうか。
つい最近の話ですが、学童の職員の朝会にメリハリをつけるようにしています。以前から朝会はしていましたが、決まった人だけが話しをしており、なんとなく職員が集まっているけど、形だけになってしまっている状態になっていました。そのため、「朝会始めます」「朝会終わります」の言葉を言うようにしたこと、前日の保育中の気づきや伝達事項などを朝会で挙げるようにしたこと、特に気を付けて保育する点を確認し合うようにしたことなどを変更して、メリハリをつけるように取り組んでいます。
学童には新しい職員もいるため、朝会の中で、大人の立ち位置や動き方について伝えたり、保育中に意識するポイントを伝えたりすることも大事です。押さえるべき所はしっかり押さえながら、仕事にメリハリを作っていくことは、職員の育成にも関係するのではないかと思っています。
まとめ
2,メリハリをつける為には、大人の話し方が重要。
3,職員間でもメリハリをつけて取る組むことが重要。
今回は保育のメリハリについて書いてみました。私自身、子どもたちと関わりながら、反省を繰り返していますが、ここ最近、特にこのメリハリの重要性を感じる場面が増えてきています。子どもだけでなく、大人も日々成長していかなくてはいけませんね。