保育園の勉強とは、どんなことをすればいいのでしょう。
小学校入学までには、文字の読み書きや足し算引き算などができるようになった方がいいのか?
何歳頃から始めればいいのか?
保育園ではどんなことをしているのか?
など、お悩みの保護者さんや保育士さんがいらっしゃるかと思います。
今回は、保育園の勉強について考えていきます。
保育園の勉強ってどんなこと?
まず、勉強と言われると読み書きや計算が思いつきますよね。
結論から言うと、保育園の勉強は文字の読み書きや計算を教えることは重要ではありません。
私たち保育士は保育所保育指針に則って保育していますが、指針の中には、”文字の読み書きや計算を習得する”というような文言は書かれてません。文字や数量、図形などを体験したり、気づいたり、興味を持ったり、活用しようとしたりする姿を育むことが書かれています。
なぜなら、大人から教えられて覚えていくことよりも、子どもが自発的に覚えようとする意欲が大事であり、生活の中で文字や数に触れたり体験したりしたことが、学びに大きな影響を与えるからです。
簡単に言うと、保育園でどれだけ体験を積み重ねたかが、小学校以降の学習には大きな影響を与えるということですね。
子どもが自発的に行動することが大切だとされる理由については、別記事にまとめています。
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算数
保育園の勉強は、体験が大事と言われても、ピンとこないかもしれないので、少しだけ具体例の紹介です。
私は学童にも勤務していますので、1年生から6年生までの宿題を見る機会があります。
算数の宿題を見ていると、理解の早い子と躓いてしまう子の差が激しいです。
例えば、足し算と引き算の問題。
躓いている子たちは、足し算なのか引き算なのかが分からないようです。
その時には、「文章を読んで頭で考えてみて」「増えた?減った?」と聞くようにしています。
躓いている子は、「数字」「合わせて」「残りは」などの言葉だけを見て判断しているからです。
【みかんが9つある。○○君が5つ食べた。みかんは多くなる?少なくなる?】
という状況をイメージしていないから解けません。
具体的にその状況をイメージする手伝いをするだけで解ける子が多いですが、このイメージができるためには、同じような状況を体験していることが重要なのです。普段の遊びの中で、順番に並んだり、どんぐりを数えたり、お友達と分け合ったりなど、こうした体験を繰り返すことで、数の概念の基盤が出来ていきます。
4+5=などの計算は教えれば誰でもできますが、文章問題になったり、複雑になったりすと解けなくなるのはこうした体験不足と言えるのではないでしょうか。
保育園の算数はどこまで教えるべきなのでしょう? 保育園によっては、読み書きや計算に力を入れている所もありますし、そうでもない所もありますよね。 私の勤める保育園は、読み書きや計算の時間は作っていません。遊びの中に文字や数に触れる機会[…]
文字
文字についても同じことが言えます。読み書きができることに着目しがちですが、それ以前が非常に重要です。
例えば、物の名前を知る、言葉で表現できることを知る、言葉の並べ替えや接続の仕方を知るなど、文字の読み書き以前に習得していくことが多くあります。1歳児頃から簡単な言葉が出始め、早い子は2歳でペラペラ話すようになります。
次第に、気持ちを表現できるようになり、相手の気持ちを考えて言葉を使い分けるようになったりしますよね。
そして、自分の名前の文字やキャラクターの文字などに興味を持ち始め、読もうとしたり書こうとしたりする姿が見られ始めます。
こうした文字の読み書きの習得は、子どもが自発的に興味を持ったり、できるようになりたいと思ったり、楽しいと思ったりすることが関係していることが分かります。そして、いざ文字の読み書きを習得していこうとした時には、物の名前や気持ちの表現、話し方など体験を通して身に付けてきたことが土台になるのです。
保育園の勉強とは、「あ」「い」「う」と文字を教えようとするよりも、読みたい!書きたい!と思わせるような工夫をしたり、覚える時に必要になる50音表や書き順表などを用意してあげたり、見本となるものや人などを用意したりなどが私たち保育士がすべきことだと言えるのではないでしょうか。
小学校入学までにどこまでできるべき?
保育園の勉強は、文字や計算などを教え込むよりも”体験”や”興味”などが大事だと分かりましたが、そうは言っても、なかなか興味を持たない子もいますし、小学校に入ってついていけないのではないかと心配する方も多いはずです。
学童にも、周りと比べると遅れている1年生はいます…。
ですが、2年生に上がる頃にはある程度できるようになっています。
私たちが保育園で、文字の読み書きや簡単な計算をさせるかどうかで悩んでいますが、2年生に上がる頃にはできるようになっている子が大半なのです。
しかし今度は、3年生、4年生と学年が上がって行くにつれて勉強の差が大きくなっていきます。
その子たちを比べると、文章の意味が分からない、解き方を考えることが苦手、考えることが嫌いなどが大きな差だと感じます。さらに、できない状態でも学校の授業はどんどん進んでいきますので、1度躓くと更に面白くなくなり諦めてしまいます。
こうした現状を見ていて思うのは、やはり保育園での体験や興味関心は勿論のこと、自分で考えようとする力、自分で解決した体験、発想力や閃きなど、大人が教えようとする勉強ではなく、保育園での遊びや生活、人間関係などが大きく影響していると感じます。伸び悩んでいる子は、”先生から出された宿題を仕方なくやる”というような姿です。
学童の子どもたちの姿を見ても分かることですが、小学校入学までに○○させないと!と大人が焦って何かをさせようとすることは逆効果であり、どれだけ勉強に興味を持たせられるか?勉強に繋がるような体験を大事にできるか?が重要だと思っています。
勉強以外の練習は必要
保育園の勉強について書いてきましたが、勉強以外の部分についての対策は必要です。
机に座って取り組むことや小学校の授業スタイルに慣れること、給食の時間が決められていること、自分の物は自分で管理することなど、保育園生活と小学校生活のギャップはできるだけなくしてあげなくてはいけません。
いきなり何もかもが違う状況に放り込まれるのは、あまりに可哀そうですよね。そのためにも、小学校を見据えて生活の流れを工夫したり、取り組み内容を工夫することは保育園側の役割かもしれません。
文字の読み書きや計算についても、全くさせなかったり、すべて子どもに任せてしまったりと、極端に考えてしまうと不十分です。遊びの中で誘ってみたり、活動の中に取り入れたりとバランスを取ることが重要だと言えます。一斉に勉強ばかりをさせるor全く勉強をさせないと、どちらかに偏らないように子どもに合わせて柔軟に対応していける保育が理想ですね。
保育園の勉強 まとめ
保育園の勉強について上記で紹介した内容の要点をまとめます。
2,できるようになりたいと思える環境を作ることが大事
3,勉強以外の小学校以降をスムーズにすることが大事
4,大人が工夫したり学び続けたりすることが大事
4つ目は付け足しましたが、保育士をしていると時代の変化や研究結果などに伴って、適切な教育も変化することを常々感じます。また、子どもの発達は大まかには同じでも、ペースが違い特徴が違い子どもによって適切な関わり方が変わります。
だからこそ、「保育はこうすべき」「教育はこうすべき」と決めつけてしまうことが非常に危険であり、常に私たちの知識や技術をアップグレードさせていく必要があるのです。
学び続けることは大変だと感じますが、子どもと関わっていると日々発見することはありますよね。こうした発見をもとに、自分の保育が適切なのか?と試行錯誤するだけでも良い保育に繋がっていくはずです。そして、なによりそれが楽しくもありますよね。