子どもの話し合い【要点まとめ】保育実践も紹介!

  • 2024年11月15日
  • 2024年11月16日
  • 保育園

子どもの話し合いについてまとめた記事です。

保育士や幼稚園教諭、小学校教員など子どもと関わる方が悩まれる所だと思います。
近年、教育が大きく変わり大人主導の一斉教育から子どもの主体性を尊重した教育が増えてきていますよね。
そういった教育の変化に伴って、”子ども会議”など子ども同士で話し合う機会作りも重視されるようになりました。

今回は、保育園や学童での実践紹介と子ども同士で話し合えるようになるためのポイントや手順をまとめます!

子どもの話し合い【実践紹介】

私の勤めている保育園では、子どもの主体性を尊重しています。
大人の都合で子どもたちの活動を制限したりコントロールしたりせずに、子どもが自らやりたいと思えるような環境作りや大人の関わり方を重視した保育です。子どもの話し合いについても、大人が強制的に話し合わせるのではなく子どもが自ら話し合えるように工夫しています。

3~5歳児クラスには、子どもたちが話し合うためのスペースがあり、話し合いのためのテーブルと椅子を用意していますが、それは、納得するまで話ができることを保障するためです。ケンカやトラブルが起きた時には子どもたちが自ら話し合いのスペースに来てとことん話し合う様子が見られます。

こうした話し合いができるようになるためには、叩いたり・蹴ったりなど相手を傷つけるのではなく、言葉を使って相手に伝える体験を乳児期から積み重ねることが重要で、乳児期の大人の声掛けの仕方や子どもとの関わり方を重視しています。

保育園の側に学童もありますが、他の保育園を卒園した子も多いです。学童の子どもたちを見ていると、保育園によって子どもの特徴が少し違うのを感じます。私の勤める保育園を卒園した子どもたちの特徴として、相手を傷つける行為(叩く・蹴る)が少ない、自分の意見を言うことができるといった姿が多く見られるのは、保育園での体験の差なのではないでしょうか。

そういった意味で、保育園の頃から子ども同士で話し合う体験は重要だと感じています。

子どもの話し合い【手順】

子どもの話し合いと言っても、「さあ、話し合いなさい」と子どもに丸投げしたところでできる訳ではありません。

3~5歳児で話し合えるようになるには、0~2歳児期の積み重ねが重要です。

0~2歳児期に喃語から始まり、言葉を習得していきますよね。次第に、自分の気持ちを言葉で表現できるようにもなります。
これこそ、話し合いができるようになる初歩の段階で、自分の気持ちを言葉にできること・相手の言葉を聞けること、その2つができて初めて話し合いが成立するのです。

だからこそ、0~2歳児期に大人が気持ちを受け止めながら、代弁してあげたり、噛みつきや手が出る時に、言葉で表現する方法を伝えたり、そういった小さな積み重ねが重要になります。

特に、1歳児後半~2歳児頃になると相手の表情や感情に気づき始め、泣いている子にティッシュを持って行く姿や慰めようとする姿が見られるようになります。自分の感情を知ることで、相手にも感情があることに気づき、相手を思いやったり、譲ってあげたり、我慢したりできるようになるからです。
こうした感情のコントロール(我慢する力)が育っていることも、子ども同士で話し合いができるようになるには必要になります。

子どもの話し合いは、0~2歳頃の保育の影響が大きいということですね。

①言葉を習得し、気持ちを言葉で表現できるようになる。
②相手の気持ちに気づく、知る。
③感情をコントロールして言葉で伝えられるようになる。
④相手の意見・言葉を聞くことができる。

この4つを体験しながら、身に付けていくことで話し合いができる子に育っていきます。
もちろん完璧にできる訳ではないため、子どもの発達を見極めながら大人が必要なサポートをしなくてはいけません。

保育士は、子どもの発達を見極めながら、この4つを意識した声掛けや関わり方をしていくことが大切です。そうすることで、大人が仲裁に入らなくても子ども同士で意見を伝え合うような姿が見られるようになります。

子どもだけで解決することが目的ではない

話し合えるようになるまでの手順を書きましたが、保育園で大切なのは自分たちで解決できることではありません。

「ごめんね」と謝り、「いいよ」と許すことで仲直りできた!とお決まりのパターンがありますが、これは大人が誘導してしまっていることが多いです。もちろん、子どもが納得した上であれば問題ありません。

しかし、謝られたからといって納得できないときもありますよね?

保育園の子どもたちを見ていると、「ごめんね」と言われたら「いいよ」と許さないといけない。でもモヤモヤする。そんな様子が見られます。

大人のケンカに置き換えると分かりやすいですが、そんな単純な話ではありませんよね。むしろ簡単に形だけ謝られると余計に腹が立つこともあります(笑)

 

保育園で子どもの話し合いをする目的としては、相手の考えを知ることです。

 

「○○君が押した」「○○君に壊された」などでケンカになることがありますが、お互いの話を聞くと、わざとやった訳ではない時もあります。
それでも、押されたり壊されたりした側は、○○君に対しての怒りでいっぱいです。

「なんで押すと‼」「なんで壊すと‼」と相手に問いかけ、「○○しようとしたら、そうなった」「わざとやったわけではない」とこちらの事情も説明します。

そしてお互いの状況や意見や考えを知った後は、子どもたちがどうするか考えればいいのです。
らちが明かない時には、「先生はこう思うよ」と大人の意見を伝えればいいと思います。

1番良くないのは、相手の事情や考えを知らないままにすることです。知らないまま相手を叩くなど攻撃したところで学びに繋がりませんよね。そして、大人が裁判官のように決めつけて謝らせるのもよくありません。

話し合いができる環境作り

冒頭で紹介した通り、私の勤める保育園には子どもたちが話し合うスペースがあります。

テーブルと椅子

話し合うためのスペースが確保されているということも環境作りでは大事なことです。そして、話し合いが他の子に邪魔されることなく落ち着いて話せる環境であればより良いですよね。

また、話し合いには子どもたちが共通理解しているルールがあります。

1,相手の話を最後まで聞く
2,話を聞くときは相手の顔を見る
3,自分の気持ちを言葉で言う

こうしたルールが定められていて、「相手の言葉を聞き、自分の思いや考えを伝えることがきる場所」と子どもたちが認識していることも大事です。ルールも子どもたちと決められると良いかもしれません。

 

また、保育士も子どもにとっては環境の一部です。
子どもが自分の気持ちを言葉にして伝えるようになるためには、普段から聞いてくれる存在が必要になります。
だからこそ私たち大人が、子どもの意見を最後までしっかり聞くことが大事で、「忙しい」「早く言って」など蔑ろにしたり、急かしたり、遮ったりするのはよくありません。

「この先生に話を聞いてほしい」と思ってもらえるような存在になれることが重要で、保育士1人1人が子どもの言葉に耳を傾け、最後まで聞いてあげられることで、自分の気持ちや意見を言葉にする文化が根付いていくのです。

子どもの話し合い【まとめ】

1,話し合いがきるようになるためには、乳児期の積み重ねが重要。
2,解決することではなく、お互いの意見を知る事が目的。
3,大人が決めつけ謝らせるのはNG。
4,話し合いができる環境作りが重要。
5,普段から話を最後まで聞いてくれる存在が大切。

今回は子どもの話し合いをテーマにまとめてみました。
自分の考えを相手に伝えたり、相手の意見を聞いたりする力は、コミュニケーション能力にも繋がります。
これからの時代は、コミュニケーション能力がより求められる時代です。
私たち保育士が、子どもたちの将来を見据えながら、必要な体験や学びを提供していけることが重要ですね。