「子ども主体の保育」や「子どもの主体性」など日本の乳幼児教育が見直されつつありますね。
「海外に比べると日本教育はかなり遅れている」このことを知ったのは、保育士1年目の時。
私は、恵まれたことに最初に入社した保育園で、恩師に出会い、意識の高い保育士に囲まれて保育を学ぶことができました。そこでは、子どもの主体性を育む保育方法や保育の実践など沢山のことを教えていただき、私の保育観の基礎となっています。
そして、 長崎の実家の保育園に戻り、学んだことを生かすために最初に取り組んだのは、学童保育の見直しでした。
その時に、試行錯誤を繰り返しながら、たどり着いたのが”クエスト”です!
結果的に、クエストをやったことで子どもたちの姿が激変し、楽しく学びの多い学童になれたと思います!
そのクエストについての紹介記事です。
子ども主体の保育とは?(簡単に)
まず、「子ども主体」の考え方についてです。
詳しく書いていると、文字数がすごいことになりそうですので、簡潔にまとめます。
これまでの日本の教育は、詰め込み型で大人が子どもに教え込む教育方法が主流でした。
今でも、一斉保育や小学校の教師1人が生徒に向けて授業する詰め込み型が大半ですが、減少しつつあります。
詰め込み型の教育では、上司の指示に従順に従い、真面目で勤勉な人材を育成することが目的でした。
しかし、AIや技術の発展により、社会に求められる能力が変化しました。
これからの時代は、経済産業省が公開している、「社会人基礎力」を向上させていく必要があります。
具体的には、誰かの指示のもと動くのではなく、「自分で考え動くことができること」や「他者と協力できること」などです。
だからこそ、「子どもの主体性」というワードが注目されていて、乳幼児教育や小学校教育が変わってきているのです。
子ども主体の保育 クエストの由来
子ども主体の保育を実現させるのは、難しいです。
これまで当たり前とされてきていた、子どもに教え込むスタイルから脱却しなければいけませんし、その反面、子どもたちに自分勝手に自由にさせればいいという訳でもなく、そのバランスが難しいからです。
学童保育に着手し出した時に、子ども主体の保育について職員みんなで勉強したり、意見を出し合ったりしましたが、やはり上手くいきませんでした。
試行錯誤を繰り返している時に、モンスターハンターというゲームに出会いました。
ゲームでは、クエストボードに依頼が掲示されて、依頼を選択し挑戦します。
そして、クリア報酬を受け取り、自分のステータスを上げて、さらに高難度の依頼を受けます。
武器や、必要なものを購入することもできます。
まさに主体的にゲームをプレイしていると言えるのではないか??
これが、クエストをひらめいた理由です(笑)※ゲームをさせる訳ではないです。
子ども主体の保育の方法(クエスト)
1,クエストボードの設置
大人が子どもに体験してほしい取り組みをボードに貼ります。
子どもたちは、ボードを見て、自分のやりたいことを選び取り組みます。


2,子ども1人1人のステータスカード
クエストを達成すると、スタンプを押せるようにしています。
子どもを競わせるのが目的ではなく、ステータスによって参加できるクエストを限定したり、子どもの成長を見える化することが目的です。
3,学童内専用のマネー発行
ステータスが上がると、マネーも貯まります。
マネーでは、虫取り網や魚釣りの道具などアイテムの購入ができます。
また、マネーで必要なアイテムを購入しないと参加できないクエストもあります。
子どもの参加意欲を高めたいことと、金銭感覚を養うのが狙いです。
手作りで準備して使っていましたが、時代的にタッチ決済やPAYPAYが主流になり、今では使わなくなりました(笑)
代わりに、ステータスカードに収支と残高を記入する欄を設けました。個人の通帳のような形式です。
4,意見箱の設置
子どもから大人への要望ができる意見箱を設置しました。
学童での活動に子どもたちからの意見を取り入れるためです。
意見箱に入っている内容を少し紹介すると、
「次の土曜日に○○に散歩に行きたい」
「イモリの飼育用に水槽が欲しい」
「釣りにいきたい。道具を準備してほしい」
などの意見を基に、大人が協議し回答します。
時には、園長先生の所へ、子どもたちが直接お願いにいくこともあります。
子ども主体の保育 実践例紹介
子どもだけで焼き芋を成功させる!
クエストボードには「もらった芋をどうにかしてほしい」という依頼を掲示。
すると、数人の子が『やきいもにする』というアイデアを出しました。
その後は、やきいもの作り方を調べ、実行日を決定し、準備します。
意見箱をうまく活用しながら、ライターや焼き芋を作るドラム缶、ブロアーは大人に準備を頼みました。
火の扱いについては、以前から子どもたちに伝えていて、筆記試験と実技試験を作っています。
これもクエストとして掲示されています。
火おこし免許を持っているメンバーが中心になり、見事自分たちだけで成功しました。
今では、毎年恒例のやきいも行事になっており、年を重ねるごとに、クオリティーはどんどん上がっています(笑)
昨年の子どもたちは、さつまいもの栽培から始めました。
子どもたちの目標は、販売して本物のお金をゲットすることです。
さつまいもの栽培にも成功し、地域の祭りに出店して、見事完売しました!!
自分たちで作り上げる 夏祭り
毎年、夏休みの終わりに、夏祭りがあります。
クエストを用いて、子どもたちが企画し取り組んだ実践紹介です。
まずは、夏祭りの開催に向け、子どもたちに出店のクエストを掲示します。
参加条件 : 誰でもOK!!
報 酬 : 稼いだら稼いだ分だけ!!
内 容 : 友達と協力して出店をやってくれる人を募集!!
沢山の立候補があり、夏休み中空いた時間に出店の準備を進めて行きます。
「出店、順調??」
「お客さんが買ってくれるにはどうしたらいいかなー?」
など大人から声をかけて、出店の準備を忘れないようにしたり、進むようにヒントを出したりはしましたが、基本的に子どもたちだけで取り組んでいきます。
2年生の女子チームは、お寿司屋さんです。
ネタを色々準備して、ラップまでして本物に近づけてました(笑)
祭りっぽい出店!
一度湯通しした、フランクフルトとトウモロコシを購入して、自分で焼いて食べることができる出店です。
炭の作り方を調べ、自作した炭を使っています。
大人からは、かき氷屋さんの出店です。
高学年が手伝ってくれました。
食事&休憩スペースも設置。
食事&休憩スペースの前には、屋外ステージを設置してダンスやマジックなどの出し物が披露されます。
『出し物をしてくれる人募集』のクエストを掲示し、5組ほど参加がありました。
【アクセサリー屋さん】中学年女子のチームです。
自分たちで作り方を調べてこれだけの品揃えになりました。
【ぷよすくい】低学年男女混合チームです。
【シールくじ】仲の良い男子チーム。
他にも、【折り紙屋さん】や【お菓子屋さん】などもあり、かなり盛り上がりました。
各出店、5000チャリン~20000チャリンほどの売り上げをメンバで分け合います。
”クエスト”を取り入れた結果
以前までの学童は、建物内での室内遊びか宿題、野外でみんなでサッカーやドッジボールなど。
「ひまい」「何かしよう」「何かして」という言葉が多かったです。
また、一斉に同じ遊びをしないといけないため、やりたくない子も強制参加でした。
クエストに取り組むことで、活動の幅が広がり、子ども1人1人が目的を持って遊ぶことが出来るようになり、『ひまい』という言葉がなくなりました。私たち大人は、子どもたちが興味を持つために工夫を凝らし、さまざまな難易度のものを用意することが役割です。これまで取り組んだクエストの数は、数百以上にもなります。
大人の得意分野を生かせることもクエストの強みで、絵や音楽などの遊びも増えました。
「どうせダメやろ」「どうせできない」
という子どもたちの言葉は、大人の都合で意見を蔑ろにされ続けた結果だと思っています。大人に対して、意見したり提案したりしながら、自分から働きかけることで達成できる体験は大事ですよね。
また、できることが増えたことで、自信がつき新しいことに挑戦する意欲にも繋がります。
こうした、子ども主体の保育を実現するためには、クエストという保育方法はおすすめです。
何と言っても、楽しく取り組めることが大事ではないでしょうか。
子ども主体の保育とクエスト
クエストを経て、保育も子どもの姿は大きく変化しました。
ただし、クエストをやればいいという話でもなく、大人には、発想力や興味を引く工夫、職員同士の連携など、これまで以上に専門性が求められます。
そのため、クエストだけを進めてきたのではなく、大人の動き方や、専門知識など職員同士のスキルアップにも時間をかけて取り組んできました。
今後も、子どもたちにとってよりよい保育を実現するために、学び続けていきたいと思います。
子ども主体の保育を実現するために、取り組んでいるクエストの紹介でした!