ベテラン保育士の役割ってなんでしょう?
私は普段、保育園と学童に勤務し、乳児から小学生の子たちと関わっています。
気づけば保育歴10年目の年です。
誰かに聞いたり、助けてもらったりするのが当たり前だったのに、いつの間にか他の人をサポートすることが多くなりました。
「年とったな~」「このままでいいのか自分?」と思うことも多くなりました。
今回は、ベテラン保育士をテーマに書いてみようと思います。
私は個人的には、ベテラン枠には入っていないと思っていますが、何年目からがベテラン保育士なんでしょうか。
これまで出会ったベテラン保育士さんの姿や、他の保育園のエピソードなどを踏まえて、これから目指すべきベテラン保育士像を考えてみました。
ベテラン保育士の役割
私が保育士1,2年目の時も、10年目の今でも、変わらずベテラン保育士に求めてしまうものがあります。
1つ目は、安心感です。
具体例を挙げると、新人時代は初めての経験が多く、対応に困る場面が度々ありますよね。
その時に、ベテラン保育士さんの対応方法を真似したり、助けてもらったりしました。
また、行事や係りの仕事など不安な時にはベテラン保育士さんに聞いてアドバイスを貰ったり、間違っていないか確認したりもしました。
そんな経験を踏まえると、ベテラン保育士さんの役割とは言葉や行動で、新人や他の保育士を安心させることだと言えます。
2つ目に、調整力。
これは、ベテラン保育士というよりもリーダーに求められることかもしれませんが、保育を円滑に回すための調整や、新人のカバーやサポート、行事や係業務などの軌道修正など全体を見ながら調整する力です。
保育経験を重ねると、この重要性をすごく感じるようになります。そして、過去の自分の視野の狭さや知識のなさなどを痛感し、気づかない所でサポートしてもらってたことに気づきます。
最近の学童エピソードですが、新1年生が入ってきて、新しい玩具や取り組みに興味津々で遊んでいます。やはり、新年度を迎え新しい子が増えた時には、遊び方を伝えたりトラブルの仲介をしたりと手がかかる状態です…。
そんな状態でも、手のかかる1年生ばかりを見る訳にもいかず、他の学年や事務作業、保護者対応など同時に対応する必要がありますよね。
些細なことかもしれませんが、やはりベテラン保育士の方が1年生の対応をしながらも、他の子たちへの気配りをしたり、保護者のお迎えに気づいたり、伝達漏れがないかチェックしたりと、周りのことを良く見ていて保育の守備範囲が広いです。
時には前に出たり、時には引いて任せたりしながら全体の調整をするのは、ベテランの役割だと言えます。
3つ目は、育成です。
子どもの育成、職員の育成、どちらも含みます。
ベテラン保育士は、周りを育てるために自身がどう振舞うべきか?を問われ続けています。
時には厳しく伝える判断をしたり、あえて何も伝えない判断をしたり、気づかせるように仕向けたりと、自分のことよりも、他の人や組織全体のことを考えて行動しなければいけないのではないでしょうか。
子どもがより良く育つためには?職員1人1人が向上するためには?保育の質がより高まるためには?このように考えながら周りを育成していくことがベテランの役割だと言えます。
ベテラン保育士がやってはいけないこと
次は、ベテラン保育士がやってはいけないこと。気を付けるべきことです。
責任転嫁・犯人捜し
ベテラン保育士とは自分が思っている以上に、発言力があります。
そして、新人や中堅保育士など周りからすごく気を使われているはずです。
これは私の経験上でも、他の園の保育士から聞いた話でも同じことが言えます。
ベテラン保育士が責任逃れをしたり、誰かのせいにしてしまうのは絶対NGです。
例えば、新人保育士が失敗した時に、「私は関係ない。○○先生(新人)が悪い」なんて言葉を言ったり、態度をとったりするのは良くありません。初めから失敗せずに完璧にできる訳ありませんし、失敗を経て上達していくものです。新人が失敗した時には、フォローするような言葉をかけたり、失敗しそうならアドバイスしたりすべきだと思います。
私が尊敬するベテラン保育士の方は、「新人のうちはどんどん失敗していい」「全部フォローするから」といった言葉をかけてくれていました。他の園の話を聞くと、ベテラン保育士が責任逃れをしたり、誰かに押し付けたりしている話がよく耳に入ります。そんな状態の園はきっと居心地が悪いですし、新人が育つとは思えません…。
ベテラン保育士は、園の中でリーダー的存在であり、周りから常に見られていることや気を使われていることを自覚し、リーダーとしての立ち振る舞いやマネジメント能力を身に付ける努力が必要です。
仕事を横取りする、成果を横取りする
これも他の園の保育士さんから聞く話です。
ベテラン保育士が他の人に仕事を任せられないず、「あーもういい。私がやる」と結局全部やってしまうことがないでしょうか。
気持ちは分からなくもありませんが、ベテランやリーダーという立場になると、他の人に仕事を任せる能力が必要です。
思った通りに他の人が動いてくれないのは、自分の説明が的確じゃないのかもしれません。
また、人は何回か経験を積まないとできるようにならないものです。だから、我慢強く待つことも必要です。
上手くいかない時には、誰かを攻めるのではなく、上手くいかない原因を探し、上手くいく仕組み作りをしなくてはいけません。
私も、「早く済ませたい」「上手く伝えられない」「なんでできないのだろう」などと思うこともあり反省することが多いです。
私が保育士2年目の時のベテラン保育士の行動で覚えていることがあります。
普段自分から話さない女の子がいました。なぜか私には少し心を開いているようで、他の保育士に比べると会話が多かったです。
ある日、その女の子が「お父さん、帰ってきてない」と話してくれました。
私は、すぐにベテラン保育士に伝えましたが、周りの保育士たちも誰も知らないことでした。
お迎えの時間に、ベテラン保育士がお母さんに女の子のこの言葉を伝えていましたが、その時に、「普段、○○ちゃんはお家のことを話さないんですけど、○○先生には話してくれるみたいなんですよ。今回も○○先生に話してくれたんですよね」と私の名前を出してくれていました。その時に、嬉しかったのを覚えています。
今になってこの時のことを考えると、ベテラン保育士さんはあえて自分の名前を出してくれていたのだと思います。
もし、私の名前を出さずに、保護者と話しているところを見たら、「手柄を横取りされた気分」になっていたかもしれません。
ベテラン保育士は、自分の成果よりも周りの成果を喜べることが必要なのかもしれません。
周りに伝えない
年数を重ねると、新人に話すべきかどうか迷うような情報が入ってくる時があります。
私が新人の時に、職員が辞める話や他の保育士が育たない…など、こういった感じの話を中堅やベテラン保育士で話している場面に遭遇しました。
新人からすると何を話しているのかすごく気になります。
私には話してもらえないんだ…。まだ認められてないんだな…。戦力になれてないな…。などと考えてしまうこともありました。基本的にネガティブ思考なので(笑)
今思えば、新人の私にはあえて話していなかったのだと思いますが、それなら何か話しているなと気づかれないように配慮すべきなのかもしれません。
このように「伝えてもらえない」「自分のいない所で話が進んでいる」という状況は、職場の居心地の良さに非常に関係すると思います。些細なことであっても、ちゃんと伝えてもらえると感じられると必要な存在だと認めていると実感できるはずです。
私が保育士1年目の頃は、「背中を見て育つ」「察して動く」が当たり前で、伝えてもらえないのは当たり前でした。
「若い子のやる気が感じられない」
「言わないと動かない」
時代が変わり、若者に対してこのように感じる人が多くなったかもしれません。
しかし、若者目線で考えると「何を考えているのか分からない」「私にどうしてほしいの?」「はっきり言ってほしい」とベテラン保育士に対して感じています。
どこの園でも似たような悩みを抱えているみたいで、「○○世代」と世代間のギャップが話題になることが多いです。
このままでは、お互いに平行線のままで溝は深まるばかりですよね(笑)
ベテラン保育士は、そういった時代のギャップを受け入れ順応していくことも必要なのかもしれません。
まとめ
今回は、ベテラン保育士をテーマに自分がどんなベテランになるべきか考えて書いてみました。
最後に私が1番大事だと思っていることを書きますが、時代が進むにつれあらゆるものが変化していきます。
だからこそ、常に「変化」を受け入れていかなくてはいけないと思っています。
これまでやってきた保育がずっと正解だとは限りませんし、これまで当たり前だと思っていたことが当たり前じゃなくなっていきます。だからこそ、「こうすべきだ」「これが正解だ」と決めつけて閉ざしてしまうのは良くありません。
そのためにも、日々学び続けることが必要なんだと感じています。